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IDT、HQV技術取得とDisplayPort戦略について説明
-テレビ用レシーバチップなどに高画質化技術を導入


10月28日発表


 日本アイ・ディー・ティー株式会社は28日、米Integrated Device Technology(IDT)による、米Silicon Optixのビデオプロセッシング技術の買収についての説明会を開催。HQVなどのビデオ技術をDisplayPort製品に向けて、活用していく方針を明らかにした。

 Silicon Optixは、高画質化技術「HQV(Hollywood Quality Video)」やビデオプロセッサ「Reon」などを展開。高品位なアップスケーリングやI/P変換、ジャギー低減などの技術が評価され、プロジェクタやBD/DVDプレーヤーなどでの採用例も多い。米IDTは21日(現地時間)、Silicon Optixのビデオ関連技術資産やReon製品、関連技術者、知的所有権などを獲得し、ディスプレイインターフェイス技術「DisplayPort」の展開に生かしていく。

 なお、IDTが買収したのはSilicon Optixのビデオ関連技術資産のみ。また、ビデオ関連でも、HQVやReon製品ラインは取得したものの、「REALTA」についても取得の対象外という。


■ DVI/LVDSの置き換えと目指す。テレビ用のHDMIとは共存

米IDT チャド・タッガード氏

 IDTでは、レシーバチップ「Panel Port」シリーズなど、DisplayPort向けの半導体ソリューションなどに力を入れており、今回のビデオ技術獲得もその一環と位置づけられている。

 米IDTのワールドワイドマーケティング担当バイスプレジデント チャド・タッガード氏は、同社のDisplayPort関連技術について説明。1080p、240Hz対応、LEDバックライトによる部分駆動などの液晶ディスプレイの最新技術を紹介し、DisplayPortが対応可能であることを強調。DVIやLVDS、HDMIなどから、DisplayPort、さらに、その先のインターフェイスとしてワイヤレス化の可能性を訴えた。

 DisplayPortは、VESAの標準規格として定められており、当初はPC向けの利用が想定されている。PCとディスプレイ間のDVI/HDMI接続からの移行とともに、DVIやノートPCの内部デジタル接続で利用されているLVDS技術の置き換えを狙っている。


ディスプレイ技術の将来予測 「ケーブルから直接パネルに信号伝送」が、DisplayPortのコンセプト PC向けのDVI/LVDSの置き換えと、テレビ向けのHDMIとの共存を目指す

 DVIでは、送信側と受信側にLVDSのチップが必要となるとともに、送信側にその制御のためのコントロールボードが必要という。DisplayPortでは液晶パネルが対応することで、送信側の複雑なチップ構成を省き、入力信号の受信/表示までを行なうことがことができるという。「トランスミッタの信号を、そのままパネルで表示する」という点が、DisplayPortの最大の特徴といえる。

 パネル側の対応により、部品コストの削減などが図れる点が、競合技術への大きなアドバンテージとなる。そのため、液晶パネルメーカーにDisplayPort対応を積極的に呼びかけているという。また、伝送帯域や低消費電力、といった点もLVDSに対するアドバンテージとしている。

通常のDVI接続時の接続構成 DisplayPortでパネルに直接映像伝送可能に 10mまでのケーブルを利用できるなど、伝送距離もDisplayPortのアドバンテージ

テレビとPCディスプレイの将来の接続イメージ

 PCのDVIやLVDS置き換えだけでなく、民生用テレビなどにも順次展開していく。HDMIとの棲み分けについて、タッガード氏は、「民生用テレビではHDMIが主流。これは長くスタンダードであり続ける。ただ、テレビの中にDisplayPortもあわせて内蔵されるようになっていくだろう」とした。

 同社のDisplayPort製品群は、液晶テレビ、PCディスプレイ、ノートPCの3つの製品カテゴリに対して提供している。今回のHQV技術などの獲得により、主にテレビ向けのチップセットなどに生かしていく方針という。

3つの製品カテゴリに向けてDisplayPortを拡張する

 具体的にはノイズリダクションやアップコンバートなどのビデオ技術の融合を計画しているという。スケーリングについては、レシーバ側でなく、トランスミッタLSIなど出力側での対応を見込んでいるという。

 現在、DisplayPortはバージョン1.1aだが、2009年内に伝送帯域を5.4Gb/Secまで拡張した1.2の規格化作業を完了する予定。HQV技術の導入についても、次世代チップセットでの対応を目指しているという。

 なお、テレビメーカーでは、自社の映像エンジンによる高画質化などを付加価値としてアピールしている。DisplayPortではパネルモジュールにダイレクトに映像を伝送することになるため、テレビメーカーでは差別化の領域がなくなることを懸念するのでは? との質問も出たが、「ドライバで、かなり広くカスタマイズできるようになっている」という。また、「テレビメーカーのハイエンド製品については、独自の技術を入れて差別化を狙うだろう。しかし、ミドルからローエンドでの価格競争力を出すという差別化もありうる。そうした方向を狙っていく(日本IDT 小山佳助代表取締役社長)」としている。

□日本IDTのホームページ
http://www.idt.com/japan/
□IDTのホームページ(英文)
http://www.idt.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.idt.com/?id=5182
□Silicon Optixのホームページ(英文)
http://www.siliconoptix.com/home.cfm
□関連記事
【10月24日】IDT、高画質化技術「HQV」のSilicon Optixを買収
-DisplayPortなどに応用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20081024/idt.htm

( 2008年10月28日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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