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NECエレクトロニクス株式会社は、低解像度の映像や静止画像を拡大して高解像度パネルに表示する際に生じる画像ボケを改善する「1枚超解像技術」を搭載したLSI「μPD9245GJ」を開発。12月よりサンプル出荷を開始する。サンプル価格は3,000円/個。2010年4月には月産100万個の量産を計画している。
同社とNECの中央研究所が共同で、少ないデータ解析量でも鮮明な画像を実現できるアルゴリズム「1枚超解像技術」を開発。画像データを拡大処理する際に、人物や物体の輪郭部分となる画素の表現調整を行なうことで、画質の補正や色再現性の向上を図り、画像を鮮明に表示するという。このIPコアを専用LSIに実装した。 1枚超解像技術の詳細については特許申請中のため明らかにしていないが、前後のフレームの相関ではなく、1枚の画像内のデータを元に処理を行なっているという。1枚の画像だけを扱うため、外部メモリが不要でシステムの低コスト化が図れるほか、消費電力量を抑制できるのが特徴となっている。また、演算量が少ないため遅延も少なく、「フレーム単位で示せるほど大きな遅延は無く、ごく小さなもの」としている。
今回開発したμPD9245GJは、20mm角で144ピンLQFPパッケージ。画像サイズは1,280×1,024/1,366×768ドットまで対応。ドットクロックは108MHz(SXGA/60fps動作時)、システムクロックは10~30MHz。RGB-YUVの変換/逆変換にも対応する。I2Cのホストインターフェイスも備えている。 デモ映像で、オリジナルと超解像映像を比較したが、埋もれていた木の葉のディティールや壁の凹凸などがしっかりと浮き出てくるほか、赤や緑などの色がしっかりと見えてきて、確かな効果が感じられた。
専用LSI化により、既存の画像処理LSIと表示ディスプレイの間に追加するだけで、超解像処理を導入できる点が特徴。テレビやDVDレコーダ、STBなどのAV機器だけでなく、監視カメラや車載カメラ、PDA、携帯電話など、さまざまな機器への応用を想定しているという。 今回のLSIでは、1,366×768ドットまでの対応となっているが、1,920×1,080ドットのフルHDと10bitカラー対応版も開発中で、2009年第2四半期の量産開始を目標としている。
■ EMMAへの超解像技術組み込みも
同社第一SoC事業本部 金井徹郎 副事業本部長は、超解像LSIの開発経緯などについて説明。画像のデータ量の拡大や高画素化、高画面化などが進む中で、「低解像度のデータと高解像度の表示パネルにギャップが生じている」とし、こうした課題を解決するものとして超解像LSIを提案。 また、その際に求められる能力として、高速処理、拡大処理に伴うボケの改善、組み込み機器向けの小型化の3つの要素を挙げた。 今後フルHD対応を進めるとともに、ASICへの超解像コアIPの組み込みや、同社のデジタル家電用システムLSI「EMMA」シリーズへの導入を予定。EMMAへの組み込みは2009年度の製品での対応を計画している。
□NECエレクトロニクスのホームページ ( 2008年11月6日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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