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「組込みシステム開発展」でNECエレが“超解像”をデモ
-フルHDトランスコード対応のDLNAサーバーや、新GUI技術も


期間:5月14日~16日

会場:東京ビッグサイト


 最新の組込み技術を用いたハード/ソフトウェア製品やソリューションを展示する「第11回組込みシステム開発技術展」が東京ビッグサイトで5月14日~16日に開催。14日に発表されたNECエレクトロニクスの「超解像」技術や、フリースケールなどによるDLNAソリューションなどの技術展示も行なわれた。

 なお、期間中には同時開催の展示会として「ソフトウェア開発環境展」、「データウェアハウス&CRM EXPO」、「データストレージEXPO」、「情報セキュリティEXPO」、「RFIDソリューションEXPO」、「ダイレクト マーケティングEXPO」、「Web2.0マーケティング フェア」も行なわれた。



■ NECエレクトロニクスの「超解像」デモ

 NECエレクトロニクスのブースでは、NECの中央研究所と共同で開発した「超解像」技術を映像で紹介。この技術は、ワンセグの320×240ドットなど、低解像度の映像を800×480ドット程度に拡大した場合などに、変換後のボケや粗さを改善するもの。1枚の画像データの情報を解析/処理することで、高画質化を実現する「1枚超解像技術」と呼ばれるアルゴリズムを採用している。1,920×1,080ドットのフルHD映像のリアルタイム処理にも対応する。

 今回の技術はアップスケーリング自体は行なわず、プレーヤーなどによるアップスケール機能に加えて処理する。同じ解像度でも輪郭やグラデーション部の描写など解像感の向上を実現することから、数値を超えた意味で「超解像」と呼んでいる。デモではDVI接続したPCからのWMV映像でスルーの映像と超解像処理後の映像を比較。特に髪の毛などのディテールで効果が現れていた。


右が「超解像」処理後の映像 評価ボードのLSI実装部分 利用例やメリット

 同社ブースでは、ポータブルプレーヤー向けの低価格な動画再生専用ボード「NECPメディアエンジン」も展示。中国のモバイル向け放送「CMMB」対応ソリューションとして展示し、同規格の映像をストリームで受信/表示していた。そのほか、「Embedded Technology 2007」でも展示していたBlu-ray Discプレーヤー開発ソリューションや、車載オーディオ向けのUSBホストコントローラ内蔵LSI「μPD63901」も展示。iPod/USBメモリ内の音楽ファイルををUSB経由で再生するデモを行なっていた。


NECPメディアエンジン 中国「CMMB」の受信デモ PNDでの実装イメージ


Blu-ray Discプレーヤー開発ソリューション デモではパイオニア製PCドライブを使用していた カーオーディオ向け「μPD63901」でiPodを再生

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■ フリースケールはDLNAサーバー開発プラットフォーム

左が元ファイルのMPEG-2、右がトランスコード後のMPEG-4 AVC/H.264

 フリースケールのブースでは、mini-ITXサイズのリファレンスプラットフォーム「MPC8349E-mITXE」と、富士通マイクロエレクトロニクスのトランスコーダLSI「MB86H52」、アルファシステムズのDLNAミドルウェア「alpha Media Link SDK」を使用した、フルHD対応のデジタルメディアサーバー(DMS)をデモ。

 フルHDのMPEG-2をMPEG-4 AVC/H.264にリアルタイムでトランスコードしてDLNA対応テレビやプレーヤーなどのクライアントで再生可能としており、AV機器メーカーはDLNA対応DMSを早期に開発できるとしている。

 今回のデモでは、サーバー/クライアントとも共通のハードウェアを使用。フルHD/20MbpsのMPEG-2ストリーム再生をしながら、MPEG-4 AVC/H.264の8Mbpsにトランスコードした映像も再生するマルチストリーミングデモを行なっていた。なお、今回の評価モデルではDTCP-IPには対応していないが、次モデルではサポート予定としている。

 また、アルファシステムズのブースでは、同じ技術を用いてフルHDのMPEG-2をMPEG-4 AVC/H.264のSD映像に変換することで、ポータブルプレーヤーや小型テレビなど、より簡易なクライアントでの再生を想定したデモを実施。家庭用ビデオカメラで撮影したフルHD映像をAVCの480iにトランスコードして再生していた。


デモではサーバー(左)とクライアント(右)に同一ハードを使用 アルファシステムズのブースでの480i変換デモ

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■ 日立のEntierとエイチアイのオーディオ機器向け3D GUI

 株式会社エイチアイのオーディオ機器向け3D GUIに、日立製作所が持つ組み込みデータベース「Entier」(エンティア)を組み合わせた「MascotCapsule UI for MusicPlayer」が両社ブースで展示。

MascotCapsule UI for MusicPlayerを搭載したデモ機

 ネットワーク機能を備えたポータブル機器での楽曲管理/再生を想定したGUIで、数万件の楽曲からの検索や、ユーザーの嗜好に合った順でのアルバムジャケット表示が可能なほか、新譜情報の取得や、手持ちの曲に関連した曲をダウンロード購入するといったことも可能。

 デモされた一連の楽曲管理技術は、株式会社メディアクリックの持つ楽曲情報のデータベースをデモ用にカスタマイズした「MUSIC SEL」と、Entierでの管理/検索機能、エイチアイのリアルタイム3D GUI「MascotCapsule」での直感的な操作により実現している。

 日立のEntierは、このほかにもHDD搭載ホームオーディオ向けに楽曲管理機能を提供する開発プラットフォームにも採用。gracenoteの「MusicID」による自動認識で楽曲情報の取得が可能。録音した楽曲の登録や検索、削除などの処理をEntierが全て行なうことで、製品開発期間の短縮が図れるという。


ライブラリの曲を、「J-POP」、「静か」、「卒業」などのキーワードで絞り込んでプレイリストを作成できる ネットワーク経由での楽曲情報取得画面 新譜情報から、購入画面へ誘導する


Entierを用いたホームオーディオ向けのデータベース管理機能の開発プラットフォーム パイオニアの新サイバーナビにもEntierの技術が採用されている ホームオーディオ向けに、iPodのUSB接続機能を提供する開発キット

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■ そのほか

 ニコンシステムは、既にビデオカメラなどのAV機器メーカーやICメーカーに提供を開始しているMPEG-4 AVC/H.264解析ツールを紹介。規格外のパラメータ検出などのチェックが行なえるほか、数値を元に画質/圧縮率などのチューニングが可能。「次世代DVD機器関連製品開発をサポートする」としている。このほかにもVC-1などの解析ツールも展示していた


ニコンシステムの映像解析ツール。左と中央がMPEG-4 AVC/H.264、右がVC-1

 マクニカのブースでは、シグマデザインの同軸/UWBネットワークソリューションもデモ展示。WiMedia準拠で、有線/無線どちらでも1080i/20Mbps程度のMPEG-2を同時に3~4本伝送可能。

 マクニカは、株式会社アーニス・サウンド・テクノロジーのバーチャルサラウンド技術「S+Stereo」も紹介。ヘッドフォンなどの2ch再生でも、DSPによるリアルタイム処理で5.1chサラウンドを再現するという技術で、常時ONにした場合でも、一般的なバーチャルサラウンドに比べ“聴き疲れ”しにくい自然な再生を特徴としている。


マクニカのブースで展示されたUWB技術 バーチャルサラウンド技術「S+Stereo」 エイチアイは、ゼットエムピーのロボットオーディオプレーヤー「miuro」のディスプレイに3Dメニューを表示するデモ展示


富士通は、アクトビラ・ビデオにも採用されているデジタル家電向け映像配信ソリューションをデモ。ダウンロード型のDRMコンテンツ配信での利用を想定しており、DTCP-IPにも対応

□組込みシステム開発技術展のホームページ
http://www.esec.jp/
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-ワンセグやポータブル/車載など最新組込技術が出展
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071114/et2007.htm

( 2008年5月16日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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