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キヤノン、DCI規格の4KやHDR動画も撮影できるデジタル一眼レフ「EOS 5D Mark IV」

 キヤノンは、4K/30pまでの動画撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラの新モデル「EOS 5D Mark IV」を9月8日に発売する。価格はオープンプライス。直販サイトでの参考価格は、ボディのみで467,000円(税込)。レンズキットも用意し、「24-70 F4L」とのキットが約591,000円(税込)、「24-70 F2.8L II」キットが667,000円(税込)、「24-105 F4L II」キットが602,000円(税込)。24-105mmのレンズキットは発売日未定。

EOS 5D Mark IV

 フルサイズで、有効3,040万画素のCMOSセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ。レンズはEFマウント。ローパスフィルタを備えているが、効果を従来モデルより弱め、高解像度センサーの利点を引き出しているという。動画撮影機能も強化。従来モデル5D Mark IIIは本体での4K録画ができなかったが、新モデルでは4K/30p録画に対応した。ただし、上位モデルの1D X Mk2は4K/60pに対応するが、5D Mark IVは4K/30pまでとなる。

EOS 5D Mark IV

 CMOSセンサーの1画素を、2つのフォトダイオードで構成、1画素から2つの画像信号を検出し、像面位相差AFが行なえる「デュアルピクセルCMOS AF」に対応。合焦位置をさがす不自然なフォーカスの移動を低減し、スムーズで高速なAFを実現したという。

 カメラが顔を検出して自動的にAFフレームを設定し、フォーカスを合わせる「顔+追尾優先AF」や、ライブビュー表示の液晶モニタにタッチしてAFを合わせるモードなども備えている。

「デュアルピクセルCMOS AF」に対応したフルサイズセンサーを搭載

 動画撮影の「EOS MOVIE」も強化。フルサイズのセンサーから、中央部分の4,096×2,160ドットのデータをドットバイドットでクロップし、最高4K/30p動画として記録できる。形式はMotion JPEG。フルHD動画の撮影では、MPEG-4 AVC/H.264が利用可能。

 4K動画の解像度4,096×2,160ドットは、アスペクト比がシネマスクリーンに適した約17:9で、DCI規格の4Kに対応している。これは、4Kシネマ作品の素材としては適したサイズだが、4Kテレビに適した、3,840×2,160ドット/16:9のITU規格とは異なる。

 5D Mark IVが4,096×2,160ドットを採用したのは、業務用の映像素材としての活用を主に考慮したためで、4,096×2,160ドットで撮影しておけば、ユーザーが映像の左右をトリミングする事で3,840×2,160ドットの映像が得られる。逆に3,840×2,160ドットで撮影した素材を、4,096×2,160ドットにする場合は、天地をトリミングするので縦の解像度が不足するという問題がある。

 動画撮影中のAFでは、全てのEFレンズで被写体追尾撮影が可能。4Kではシビアなピント合わせが要求されるが、デュアルピクセルCMOS AFがアシストしてくれるという。また、AF速度や被写体追尾特性を細かく調整する事もできる。

動画撮影中AFの細かな設定もできる
動画撮影時の設定画面

 4K撮影した動画から、約880万画素の静止画を切り出し、JPEGとして保存する事も可能。ただし、動画撮影中の静止画撮影機能は廃止された。動画撮影機能の充実につれ、動画撮影中に静止画撮影する事による、動画機能への制限が増加したためだという。

 1,920×1,080ドットのフルHD動画撮影も可能。1080/60p撮影も可能で、HD解像度であれば120p撮影にも対応する。また、1080/30p/IPB撮影時には、白トビを抑えた、ハイダイナミックレンジ動画を撮影可能。標準露出と、明るい部分の再現性を優先して露出アンダーで撮影した画像を、2枚剛性しながら動画として記録していくもの。ただし、Hybrid Log-Gamma(ハイブリッドログガンマ)やCanon Logに対応したHDR動画ではない。

 タイムラプス動画撮影や、HDMIからの情報表示無し映像出力も可能。YCbCr4:2:2 8bit 非圧縮で、タイムコードを付加する事も可能。音声出力にも対応し、外部機器への音声記録にも活用できる。なお、HDMI出力はフルHDで、4K出力はできない。

静止画撮影も強化

 映像処理エンジンはDIGIC 6+。高い処理能力を持ち、新ノイズ処理アルゴリズムも導入。静止画は常用ISO 100~32000で、拡張102400。4K動画撮影時は、常用25600、フルHDでは25600。

映像処理エンジンはDIGIC 6+

 RAW静止画撮影したデータに対し、レンズの周辺光量、色収差、歪曲収差に加え、回折現象の補正も可能になった。従来はPCの現像ソフトを使っていた処理だが、カメラ内のRAW現像時にも利用できるようになった。

 高速性能もアップ。30.4メガにセンサーが高画素化されているが、約7fpsの連写が可能。1DX MK2や7D MK2に次ぐ性能となっている。

 5Ds/5Ds Rのミラー制御システムをベースに新規開発された、新しいミラー制御システムも導入。コマ速のアップと、ミラーショックの低減を両立したという。

ミラー制御システムも刷新

 AFでは、1DX MK2のAFシステムを移植。測距エリアを縦方向にワイド化し、被写体の補足力をアップ。構図もさらに自由度が増すという。新61点レティクルAFは、全点でF8光束に対応。エクステンダーを挟んだ望遠レンズなどを使った場合でも高いピント精度が得られるという。

 デュアルピクセルCMOSを、高画質化などにも活用。RAW現像ソフトの、Digital Photo Professionalを利用した場合に、RAWに記録されたデュアルピクセル情報を活用し、解像感の補正や、ボケの微調整、ゴースト低減の3機能が利用できる。ボケの微調整機能は、視点をズラすように前景の映り込みボケを横方向にシフトできるもので、前ボケ部分をユーザーが選択し、スライダーで調整できる。

 液晶モニタの色調は、4段階から調節可能。サイズは3.2型で162万画素。カメラのボディは防塵・防滴性能を高めている。ファインダーは視野率約100%、インテリジェントビューファインダーIIも搭載する。

 GPSや無線LAN機能も搭載。FTP/FTPS転送や、スマホ/タブレットアプリ「Camera Connect」からのリモート撮影、画像転送、Webサービスへの画像アップロードなどもサポートしている。

 外形寸法は150.7×75.9×116.4mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約890g。

EOS 5D Mark Ⅳ 特長紹介【キヤノン公式】

MOVIEキットやレンズ、オプションも

 映像制作向けのムービーキットとして「5D Mark IV」と、シューに取り付けられるキヤノン製のマイク「DM-E1」、動画編集ソフトの「EDIUS Pro 8」をセットにした製品も9月に発売予定。価格はオープンプライスで、キヤノンオンラインショップの価格は478,000円。

【更新】アツデン製のマイク「SMX-30」が付属予定でしたが、キヤノン製マイク「DM-E1」に変更されました。(8月31日)

キヤノン製のマイク「DM-E1」が付属する

 バッテリグリップ「BG-E20」も9月8日に33,000円で発売予定。バッテリを2個搭載でき、動画の長時間録画にも対応できるという。縦位置グリップも兼ねており、防塵防滴構造も採用。マグネシウム合金を使っている。

 EFマウントレンズも2本新たに発売。「EF24-105mm F4L IS II USM」は発売日未定で、価格は155,000円。「EF16-35mm F2.8L III USM」は10月発売で299,000円。

EF24-105mm F4L IS II USM
EF16-35mm F2.8L III USM