ニュース
“見放題だけじゃない”映像配信。TVODや韓流、アニメの親和性で攻めるU-NEXT
2017年8月29日 12:20
8月29日にPlayStation 4(PS4)対応を発表した映像配信サービス「U-NEXT」。PS4対応とともに、定額制映像配信(SVOD)と都度課金型(TVOD)を組み合わせた、U-NEXT独自のコンテンツプラットフォーム事業の現状や今後の展開について説明した。
U-NEXTは月額1,990円で、新作など(TVOD)が購入できる1,200円分のポイントと、見放題コンテンツ(SVOD)、電子書籍を楽しめる映像配信サービス。スマートフォンやタブレット、対応テレビやパソコン、Android OS採用のSTB「U-NEXT TV」のほか、新たにPS4に対応した。PS4対応については別記事を参照してほしい。
U-NEXTの自社ブランドサービスのほか、「Powerd by U-NEXT」の名称で、TSUTAYAやヤマダ電機、全日空空輸(ANA)、イオンシネマなど多くの事業者にプラットフォームを提供している点も特徴。ソフトバンクの「アニメ放題」もU-NEXTのプラットフォームを利用している。
会員数は非公開だが、「前年比で1.4倍程度に伸びており、計画通りに成長している。2018年の100万ユーザー達成を視野に入れている」とのこと。なお、プラットフォームを提供している「Powerd by U-NEXT」や「アニメ放題」を加えると、8月時点で100万件を突破済み。
29日からPS4に対応したが、「映像配信サービスとして選ばれるために必要だった」(U-NEXT NEXT事業本部 事業戦略室 佐野裕実氏)という。主要な映像配信サービスがすでに対応していることや、視聴時間が長いテレビ対応の強化が狙い。加えて、U-NEXTが力を入れているやアニメユーザー、そしてアダルトとの親和性の高さなどから、PS4対応を機に新たなユーザー獲得を目指す。
コンテンツ数は約12万本。電子書籍の読み放題もU-NEXTならではの特徴で、映画やアニメと連動したメディアミックス施策が好評だという。現在は電子書籍と映像配信は別アプリとなっているが、'18年をめどに同一のスマートフォンアプリ内で電子書籍と映像配信をシームレスに楽しめるようにする計画とのこと。なお、PS4などテレビ向けサービスでは、電子書籍には対応しない。
TVODがU-NEXTの強み。モアナが大ヒット
U-NEXTが強化している映像ジャンルは、洋画・邦画、韓流、アニメの3つ。
映画については、特に都度課金の映像配信(TVOD)が好調という。U-NEXT自体のユーザー数は年間で1.4倍増だが、洋画のTVODの売上規模は前年比2.5倍増、邦画は同2.2倍増と、会員増を上回るペースでTVODが使われだしている。
一般的に、映像コンテンツの提供開始時期(ウィンドウ戦略)は、[映画]→[BD/DVD]と[EST(買い切り)]→[TVOD(都度課金レンタル)]→[SVOD]→[ADVOD(広告付き無料配信)]の順番だ。つまり、映像コンテンツにおいては、NetflixやHuluのような見放題(SVOD)より、都度課金(TVOD)のほうが早く配信される。例えば7月26日からTVODで配信が始まった「君の名は。」は、SVODでは配信されていない。
U-NEXTの場合、月額料金1,990円に1,200ポイントが含まれており、毎月新作や話題作をこのポイントを使って視聴できる。ここが他のサービスとの大きな違いとなっており、「権利元に聞く限り、TVODでは2位と認識している」という。7月26日から配信開始した「君の名は。」はU-NEXTにおけるTVODの配信記録を更新。また、U-NEXTのTVODで「モアナと伝説の海」がヒットしたが、これは「(TVODで)ぶっちぎりの1位だった」とする。
こうしたU-NEXTサービスの特徴から、新作のTVODを積極的にアピール。さらに、大作映画だけでなく、一部劇場でしか公開されなかった注目作品も「弐番館ウィンドウ」として、U-NEXTで積極的に先行配信。砂上の法廷、フレンチラン、エヴォリューションなどの作品が好評で、「疑似的な全国公開」として強化していく。
PS4対応はアニメとの親和性がポイント
「韓流」にも力を入れており、全体で700~800作品といわれる中の、500作品をU-NEXTでカバー。韓流は40台以上の女性利用者が多く、また平日もトラフィックが多いという特徴があるという。映画やドラマは、休日の利用が圧倒的だが、韓流は休日と平日の差がなく視聴されており、根強い人気コンテンツとなっている。そのため、ユニバーサルと協力し、見逃し配信(SVOD)での半年先行配信を展開中。また、コンテンツ出資や自社買い付けも開始しており、'18年には「力の強い女」を先行配信する予定。
アニメは、10代から50代までの幅広い年代に支持されている。またイッキ見が多く、視聴開始後3時間経過しても、38.6%が見続けているという。人気作品が多く、またPS4のtorneユーザーのアニメ支持も高いため、今回のPS4対応によりアニメユーザーに積極的に訴求する。
また、アニメ視聴者の20%超がアダルトも視聴しているため、リニューアルしたアダルトとあわせてアピール。アダルトはポイント利用が多いため、TVODの品揃えもアピールしていく。
PS4対応によるテレビでの視聴対応強化やアニメ視聴者の獲得で、2018年の100万ユーザー達成を目指す。
買い切り(EST)も「君の名は。」などの一部コンテンツ(及びアダルト)では導入済み。ただ、通常コンテンツにおいては「ウィンドウが早い」以上の差別化ができていないため、本格サービスに向けて検討を進めているという。
U-NEXT(アフィリエイト) |
---|