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映画館の大画面4K/HDRでアイドルが目の前に!? STU48高画質上映を体験した

 映画館へ4K/HDR映像を伝送して有料で上映する実証実験が8日、東京のユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で行なわれた。同日に実施された報道関係者向けの試写会で、その映像を体験してきた。

 今回の上映は、博報堂DYメディアパートナーズとWOWOW、イマジカ・ロボット ホールディングスの3社が協力。博報堂DYメディアパートナーズが実証実験の進行を統括。WOWOWがコンテンツ制作、イマジカ・ロボットが配信設備、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズが上映設備を担当した。

 映画館で音楽ライブなどを上映する場合、通常は上映用のフォーマットであるDCP方式に変換し、伝送は専用回線を使って行なわれるが、今回の配信は、DCP形式ではない上映ファイルを、イマジカ・ライヴ(イマジカ・ロボットの連結子会社)が構築したプラットフォーム上で、公衆回線を用いてダウンロード伝送。AWS(Amazon Web Service)のクラウドに一旦コンテンツを格納し、公衆回線を使って劇場の受信端末へ蓄積。指定した受信サーバーへ転送して上映した。4K/HDR映像を外部サーバーから公衆回線で伝送/蓄積し、劇場で一般客向けに有料上映するのは日本初の試みとなる。

 上映作品は、瀬戸内を拠点とするアイドルグループ・STU48の「瀬戸内からはじめまして、」。4K/HDR上映システムには、ソニーのHDR対応4Kデジタルシネマプロジェクタ「SRX-R515」を使用。4K/HDRを上映するための高輝度/高コントラストを、一般的なデジタルシネマプロジェクタ(ランプ型)の普及価格帯で実現できるという点が特徴。SRX-R515を2台使用して同期、「通常の映画上映の約5倍の明るさ」としている。

ソニーのHDR対応4Kデジタルシネマプロジェクタ「SRX-R515」2台を使用

 一連の作業は、遠隔地からのリモートにて制御/監視。今後拡大するライブ配信や、4K/8Kの高精細/高臨場感コンテンツのファイル流通のプラットフォームとして活用する予定。

 今回のような上映方法を検証し、実用化へ結び付けることで、映画館での上映だけでなく、公共施設を含む様々な場所で4K/HDRなどの高画質なコンテンツを上映できるようにすることを目指している。

高画質+アイドルはマッチする?

 鑑賞したのは、3.8×7.7m(縦×横)の画面を備え、114人を収容できるスクリーン6。音響は5.1ch構成。上映を前に、STU48メンバーの石田千穂さんと、今村美月さんがサプライズで登場。広島出身の2人が一緒に鑑賞した。

STU48メンバーの石田千穂さん(左)と、今村美月さん(右)
会場のユナイテッドシネマ アクアシティお台場 スクリーン6

 今村さんは4K映像について「みんなの笑顔も鮮明でキラキラに映っていて、瀬戸内の風景がきれいで、たくさんの皆さんに良さが伝わると思います」とコメント。石田さんは「これからは瀬戸内7県はもちろん、全国の皆さんにも知っていただければ」とアピールした。

右手のほくろがチャームポイントの石田千穂さん
今村美月さんは、お好み焼きのPR大使を務めている

 作品に登場するSTU48は、AKB48の姉妹グループで、瀬戸内を拠点に活動。1月31日に「暗闇」でメジャーデビューした。4K/HDR映像と、アイドルグループのドキュメンタリー映画というのは意外な組み合わせにも思えるが、瀬戸内海を照らす強い日差しや、美しい夕焼けをバックにメンバーが歌うシーンなど、雄大な自然を楽しめるカットが随所に盛り込まれている。ドローンなども活用し、自然や街を色々な角度でとらえた映像は、よく見る“南の島で歌うアイドルのPV”とも一味違った、瀬戸内の地元感が伝わる内容となっていた。

 オーディションからデビューに向け、メンバーが心境を明かしたインタビューのほか、ライブシーンも充実。'17年に行なわれた「瀬戸内7県ツアー ~はじめまして、STU48です~」の公演を、映画館の大きなスクリーンと5.1ch音響により、間近で聴いているような体験ができた。

 今回の実験のように伝送方式が通常と異なることは、鑑賞する側にとっては大きな違いはないものの、ファイル変換や専用回線などの手間/コストを省き、コンテンツがより上映しやすくなることは歓迎したい。実際のライブ会場へ足を運べない人も劇場の大画面で一緒に楽しめるようになるだけでなく、高画質上映のハードルが下がることで、優れたコンテンツをより多くの人が楽しめるきっかけにもなりそうだ。