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ソニー、146万個のA/D変換器でフォーカルプレーン歪みを解消した新CMOS

 ソニーは、新開発のA/D変換器を画素毎に配置する事で、全画素同時に露光したアナログ信号を各々即座にデジタル変換する、グローバルシャッター機能を実現した、有効146万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーを開発。2月11日から米サンフランシスコで開催されているISSCC(国際固体素子回路会議)で発表した。

概略ブロック図

 A/D変換器を画素の垂直列毎に並列配置した、現在の「カラムA/D変換方式」のCMOSセンサーは、画素で光電変換したアナログ信号を行毎にA/D変換して読み出すため、行毎の読み出し時間のずれによる画像の歪み、通称「フォーカルプレーン歪み」が発生する。

 新たに開発したセンサーは、新開発の低電流動作可能で小型のA/D変換器を全ての画素の下に配置。全画素同時に露光したアナログ信号を各々即座にデジタル変換(画素並列A/D変換)した後に、デジタルメモリーで信号を一時保持。これにより、フォーカルプレーン歪みを解消し、100万画素以上の高感度な裏面照射型CMOSセンサーでは業界で初めて、画素並列A/D変換器によるグローバルシャッター機能を実現した。

右上は画素基板、右下はロジック基板、左は接合部の断面構造

 カラムA/D変換方式と比べ、約1,000倍のA/D変換器を搭載する事で、増大する電流の課題に対しては、業界最高性能という低電流動作可能な小型の14bit A/D変換器を開発することで克服。

 さらに、A/D変換器およびデジタルメモリは、積層型構造として下部のチップに配置することで、搭載スペースを確保。上部チップの各々の画素との接続には、ソニーが2016年1月に量産出荷した、Cu-Cu(カッパー・カッパー)接続の技術を採用している。

 146万個のA/D変換器が動作する事による、大量データの読み書きに対しては、新開発のデータ転送機構を搭載することで高速化を実現している。

撮像画像 F2.8、7300lux、露光時間0.56ms、γ1.0