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フルサイズLUMIX S登場、進化したミラーレスAF体験。CP+2019開幕
2019年2月28日 21:34
国内最大級の写真映像関連イベント「CP+2019」(シーピープラス2019)が2月28日、パシフィコ横浜で開幕した。期間は3月3日まで。入場料は当日一般1,500円(税込)で、Web事前登録者は無料。デジタルカメラの中でも4K/60p撮影など、高い動画撮影機能を備えたミラーレス新機種を中心にレポートする。
フルサイズLUMIX体験エリアが人気。ソニーは瞳AF先行体験
パナソニックは、3月23日発売予定のミラーレスカメラ「LUMIX Sシリーズ」のタッチ&トライエリア「S1R/S1 Studio」をブース正面に展開。
同社初のフルサイズセンサー搭載ミラーレスで、ボディ単体の店頭予想価格は有効4,730万画素の「LUMIX S1R」が46万4,000円前後、2,420万画素の「LUMIX S1」が31万4,000円前後。レンズキットも用意する。
プロカメラマンやカメラ愛好家をターゲットとし、S1Rは「究極の表現力を求めるプロ」、S1は「静止画と動画のハイブリッドクリエイター」に向けたカメラと位置付けている。4K/60p動画が撮影できるフルサイズセンサーのミラーレス一眼カメラは世界初。レンズはライカのLマウントを採用する。
シグマのブースでは、フルサイズカメラ向け「Artラインレンズ」に新たに追加された、Lマウント用のレンズ11本を展示。焦点距離は14mmから135mmまでで、すべて単焦点レンズとなる。発売日は未定。
ソニーブースも撮影体験コーナーを大きく展開。APS-C機の最新機種「α6400」(2月22日発売、店頭予想価格11万円前後)に搭載されているAF機能のひとつ「リアルタイムトラッキング」を自由に体験できる。
リアルタイムトラッキングは、AI(機械学習)を活用した最新アルゴリズムにより、動く被写体を高精度に認識し追尾し続ける機能。
人間の瞳にAFを合わせる「リアルタイム瞳AF」では、高速・高精度・高追従性をさらに追求。人間だけでなく、犬や猫など一部の動物への対応も予定している。
目鼻立ちが似通った動物であれば、動物園のライオンなども瞳AFが動作する可能性が高いという。ただし、野鳥など鳥類については「今後の検討課題」とのこと。
既存のフルサイズミラーレス「α9」と「α7R III」、「α7 III」に3月以降、ファームウェア新バージョンが順次提供開始予定。α9にはリアルタイム瞳AFを含むリアルタイムトラッキングが追加され、α7R III/α7 IIIはリアルタイム瞳AFに対応する。会場では新ファームウェアを適用した各機種の先行体験も可能だ。
CP+開幕直前に発表された、Bluetooth対応のワイヤレスリモートコマンダーRMT-P1BT」を体験できた。カメラとワイヤレス連携し、手元でシャッターを切ったり、動画の録画開始/終了などの操作が行なえる。5月発売予定で、価格は7,000円。対応機種はα9/α7R III/α7 III/α6400の4機種。
従来の赤外線リモコンとの最大の違いは、太陽光下の撮影や、カメラと撮影者の間に障害物がある場合もリモート操作が可能な点。ボタン操作に対してカメラが高速かつ安定して反応することをアピール。リモコン側のLEDが点灯・点滅し、カメラの撮影状態を確認できるフィードバック機能も備える。
このほか、デジタルカメラ向けのPCアプリケーション「Imaging Edge」(Remote/Viewer/Edit)の最新版や、3月頃に提供開始予定の新しいスマートフォン用アプリ「Imaging Edge Mobile」のコーナーも用意。
新ファームウェアを適用したα9とImaging Edge Mobileをインストールしたスマホを連携させ、カメラで撮影しながら静止画がアプリ側へ自動でバックグラウンド転送するデモが行なわれていた。
カジュアルなフルサイズ「EOS RP」。ニコンZで瞳AF体験
キヤノンは、フルサイズミラーレスカメラの新モデル「EOS RP」の発売日を3月14日に決定した。ボディ単体の直販価格は160,500円。キヤノンブースには、EOS RPの通常モデルに加えて、5,000台限定のカラーバリエーションとなるEOS RP(ゴールド)の実機も用意され、実際に手に取って試せる。
ブースはEOS RPを含む「EOS Rシステム」のシンボルや技術展示を中心に展開されていた。
奥にはスポーツ向けの「自由視点映像生成システム」も参考出展しており、スタジアムのピッチ内にいる選手の視点などの自由視点映像をタブレットを使って体験できる。
また、「これまでのカメラの概念に捉われない」をキーコンセプトに、新しいデザインや使い方を提案するコンセプトカメラ4モデルの参考出展も行なっている。
ブース左側の大きなステージでは、各セミナーの幕間で、キヤノンが宮崎県と共同制作した映像「Roots of Japan~神話の源流 みやざき~」を流す。「神話の源流」をテーマに、高千穂の神社や夜神楽、天安河原などを、EFシネマレンズをつけたキヤノン製8Kカメラで撮影したものを4K画質で上映する。
ニコンブースの注目は、フルサイズミラーレスの「Z 7/Z 6」に5月提供予定の新ファームウェアで実現する「瞳AF」先行体験エリア。
瞳AFは静止画向けの機能で、止まっている人物だけでなく、動いている人の瞳にもAFが追従する。複数の目を検出し、ピントを合わせたい目をカメラのジョイスティック操作で変えられるのも大きな特徴。複数の人物の瞳を検出した場合、撮影意図に応じてどの瞳にピントを合わせるか選べる。新ファームウェアでは、AF・AE性能の向上も行なう。
動画向けの新機能「RAW動画出力」のデモ映像も公開。カメラから4K UHD、フルHDのRAW データストリームを出力する機能で、別途用意した外部レコーダーでそのデータをRAWフォーマットで記録できる。12bitの豊富な階調で記録でき、柔軟なカラーグレーディングが可能になるという。
Z 7/Z 6は新ファームウェアで、記録メディアの新規格「CFexpress」にも対応予定。ブース内では、ソニーが開発発表したばかりの次世代メモリーカード「CFexpress Type B」(128GB)が展示されていた。
リコーTHETA Z1、富士フイルムX-T30、オリンパスE-M1X
リコーイメージングは、新レンズユニットと1型センサーを搭載して高画質化を図った360度カメラ「THETA Z1」を初出展。3月下旬発売予定で、直販価格は117,500円。
タッチ&トライに加え、サイバーリンクの編集ソフト「PowerDirector」や「PhotoDirector」を使った360度映像の編集方法の紹介を行なっていた。
発表したばかりの高級コンパクト「GRIII」の体験エリアには、来場者の長い列ができていた。
既存のデジタル一眼レフ「PENTAX KP」に木製グリップをつけ、オリジナルトップカバーを採用した「PENTAX KP カスタム(仮称)」を参考出品。木製グリップは、高級車のハンドルや猟銃の銃床などを手がける高知の部品メーカー「ミロクテクノウッド」が製作したという。また、通常はシルバー仕上げのマウント部を、シチズンの技術で特殊コーティングしたというカスタムモデルも紹介されていた。
富士フイルムは、4K/30p動画をハイレゾ音質で記録できるミラーレスカメラ「X-T30」の発売日を3月20日に決定。ボディ単体の店頭予想価格は10万9,500円前後。ブースでは他にも、上位モデルの「X-T3」をはじめとしたXシリーズ最新機種や、中判ミラーレスシステム「GFX」を実際に手に取って試せる。
会議センター3階の「プロ向け動画エリア」では、X-T3とXシリーズ用の同社製シネマレンズなどを使った動画撮影システムが展示されていた。X-T3は4K/60p 4:2:0 10bitの本体収録に加え、4K/60p 4:2:2 10bitのHDMI出力にも対応。担当者によると、X-T3に搭載されている独自のフィルムシミュレーションを使うことで、「後から編集しなくても、撮って出しの映像を素早く納品できる」と話していた。
オリンパスは、マイクロフォーサーズマウントのミラーレスカメラ「OM-D E-M1X」を出展。縦位置グリップ一体構造による安定したホールディング性と、最大約7.5段分の強力な手ブレ補正を実現しているのが特徴。2月22日発売で、ボディの店頭予想価格は34万円前後。
超望遠レンズと組み合わせてもコンパクトなサイズに収まることをアピール。また、既存のミラーレス機「E-M1 Mark II」の外装をシルバー仕上げとした2,000台限定の「E-M1 Mark II SLV」も展示されていた。