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「LUXKIT」復活、フォステクス「次世代完全ワイヤレス・イヤホン TM2」国内初公開

東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドフォン祭 2019」が27日開幕。ここではラックスマンやフォステクスのブースをレポートする。

「OSECHI BOX」

ラックスマン

ラックスマンは、ブースで「P-750u」、「DA-250」、「DA-06」などを紹介しているほか、FOCALのヘッドフォンである「ELEAR」、「CLEAR」、「UTOPIA」、「ELEGIA」、さらにピュアベリリウム振動板採用で密閉型の新製品「STELLIA」(4月発売/33万円)も出展している。

ピュアベリリウム振動板採用で密閉型の新製「STELLIA」
付属品のクオリティも高い

27日には製品発表会も開催。Raspberry Piを使ったオーディオ機器として開発している「OSECHI BOX」の最新状況や、同製品をラックスマン往年の自作オーディオブランド「LUXKIT」の製品として展開していく事などを発表した。「OSECHI BOX」はその第1弾と位置づけられている。

上が「OSECHI BOX」の「MAIN」で、Raspberry Piを使ったネットワークプレーヤー。下は「STORAGE」

発表会では、OSECHI BOXに搭載されるOS「1bc」の技術説明も行なわれ、“ネットワークDAC”として製品を機能させる、Audio over IP技術「Diretta」を、OSECHI BOXが採用している事を紹介。OSECHI BOXとWindows PCをLANケーブルで直接接続し、IPv6を使ってオーディオデータを転送する(今後はMacなどにも対応予定)。

処理を平均化し消費電力の変動を減らすことで、電気的に取り除けないノイズを低減したり、USBの非同期転送のようなバッファ/フローコントロールを行なわない事、LANを使うため、完全な絶縁接続ができる事、UDPを使用し、タイミングコントロールが可能でパケットを一定の短い間隔で送信できるといった利点があるという。

背面

完実電気

フォステクスブースで注目を集めているのは、国内初公開となる「次世代完全ワイヤレス・イヤホン TM2」。一見すると、耳掛けタイプの左右分離イヤフォンだが、豊富なカスタマイズ機能を備え、好きなイヤフォンを“左右完全分離イヤフォン化”することも可能。

ケースの側面には充電用USBポート

耳掛け式のフック形状を採用したBluetoothレシーバー部と、そこにMMCX端子で接続するフレキシブル・ショート・ケーブル、6mm径のダイナミック型ドライバを採用したMMCX接続イヤフォンの3パーツから構成。3つを接続した状態で、左右分離ワイヤレスイヤフォンとして使えるだけでなく、イヤフォン部を取り外し、ユーザーが持つMMCXのイヤフォン部を接続して使う事もできる。

Bluetoothイヤフォンとしての性能にもこだわり、Qualcommの「QCC3026」SoCを採用。Bluetooth 5.0に対応し、安定した接続ができるという。対応デバイスと接続すると、デバイスと左右イヤフォン間を個別に音声伝送する「True Wireless Plus」モードも利用可能。左右間の音切れのストレスを大幅に軽減する。

ラトックシステムもユニークな新製品を先行展示。USB3.0 2.5型SSD/HDDプレミアムケース「RAL-EC25U3P」と、USB3.0 3.5型HDDプレミアムケース「RAL-EC35U3P」で、どちらも6月発売予定。価格は「RAL-EC25U3P」が75,000円、「RAL-EC35U3P」が6万円の予定。

どちらもオーディオ用のストレージケースで、ユーザーがSSDやHDDを内部に格納して利用する。USBポートを備えたネットワークオーディオ機器に繋ぐだけでなく、オーディオ用NASに接続し、追加のストレージとして使うことも想定している。

ユニークなのは電源まわり。「RAL-EC25U3P」は、50VAの大容量トランス電源を内蔵しており、外部へ最大DC+5V/2.5Aの電力供給が可能。例えばネットワークオーディオトランスポートの「RAL-NWT01」へ電力供給でき、そこからUSBヘッドフォンアンプの「RAL-DSDHA5」へ給電するなど、オーディオ電源として使うこともできる。

「RAL-EC35U3P」は、強化電源ユニット「RAL-PS0512P」との接続に対応。送り出されるDC+12V/DC+5Vを使って「RAL-EC35U3P」を動作させるほか、光学ドライブケースなど、他の機器もRAL-PS0512Pと組み合わせられるデモを行なっていた。

「RAL-EC25U3P」の内部
「RAL-EC25U3P」からの給電でネットワークオーディオトランスポートなどを動作
上が「RAL-EC35U3P」
「RAL-EC35U3P」の内部

コペックジャパン

Cayinの新プレーヤー「N6ii」を国内初披露。初代「N6」Hi-Fi思想を受け継ぎながら、“オーディオマザーボード交換式”というユニークな機能を備えている。

通常の仕様として、DACにAK4497EQ、OPA1622×4のフルバランスオーディオ回路、4.4mmバランス出力、3.5mmシングルエンドを備えている。しかし、ユーザーがネジを外して、別売のオーディオマザーボードを交換する事で、DACとアンプ部分の構成を交換できるという。

N6ii
“オーディオマザーボード交換式”というユニークな機能を備えている

トップウイングサイバーサウンドグループ

イタリア、Spirit Torinoブランドの最新ヘッドフォン「The Radiante」を含むラインナップを展示。欧米でポピュラーなオープン型に咥え、スタジオ関係者やモバイル愛好者にも需要が多いという密閉型も用意する。

Spirit Torinoブランドのヘッドフォンラインナップ

アスク

米AUDEZEの新製品として、既発売の平面駆動型ヘッドフォン「LCD-2」の密閉型モデル「LCD-2 Closed-Back」を展示。4月26日発売で、価格はオープンプライス、店頭予想価格は99,800円前後。

密閉型モデル「LCD-2 Closed-Back」

「LCD-2 Closed-Back」は、「多くのAUDEZEファンの皆様のリクエストに応え、LCD-2を基に、クローズスタイルにした完全オリジナル仕様のヘッドフォン」だという。

密閉型とした事で、「洗練されたモダンデザイン、優れたダイナミクス」に加えて、アイソレーションが向上、ノイズを大幅に軽減。さらに、「クローズならではの迫力のある低音と驚くほど正確で明瞭なサウンドを再現する」という。

さらに、AUDEZEの平面駆動型イヤフォン「iSINE 10」と「iSINE 20」をワイヤレス化できる、Bluetoothリケーブル「Bluetooth Cable for iSINE」も4月26日に発売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は11,980円前後。こちらも会場で試聴が可能だ。

Bluetoothリケーブル「Bluetooth Cable for iSINE」

COWON

小型プレーヤーとして今後発売予定の「PLENUE D2」を参考出展している。外形寸法は79.2×53.1×14.9mm(縦×横×厚さ)で、重量は97gと、サイズ感は初代機と同じだが、DACがCS43131×2基のデュアルDAC仕様に進化したのが特徴。DSD再生にも対応し、5.6MHzまでの再生をサポートする。

PLENUE D2

クリエイティブなどその他ブース

クリエイティブメディアのブースでは、ヘッドフォン向け立体音響技術「Super X-Fi ヘッドホン ホログラフィ」を採用した製品の紹介と、実際にその効果が試せるブースを出店している。

Super X-Fiは、スマートフォンで自分の顔や耳の写真を撮影。それをAIエンジンに画像認識させ、その特徴を3次元空間の音響マッピングと合成。これを用いてヘッドフォン用に自然な広がりのある音場を再現し、各個人に音をパーソナライズするというもの。

来場者の耳などを撮影し、パーソナライズした設定を対応ヘッドフォンに投入。サラウンドコンテンツを聴いて、どのように音が変化するかを実感できるブースとなっていた。

「Super X-Fi ヘッドホン ホログラフィ」が体験できる

ソニーブースでは、「Fate/Zero」や「ソードアート・オンライン」、「魔法科学校の劣等生」など、人気アニメの主題歌を担当しているアーティスト、LiSAさんとコラボし、LiSAさんの好きな音質に合わせて最適なチューニングを施したJust earのテイラーメイドイヤフォン「XJE-MH/L1SA」を展示。

4月27日から期間限定で発売するもので、価格は25万円で、別途耳型採取費用9,000円が必要。受注期間は2019年4月27日~8月31日。LiSAさんと協力して音質チューニングを行なったアーティストコラボレーションモデルで、音の傾向としては、「楽曲の空気感を大切にしながら、ベースラインのグルーヴ感とボーカルの鮮明さの両立を図った」という。左右イヤフォンのプレート部分には、LiSAさんのキーワードである「今日もいい日だ!」を表す「★ANOTHER GREAT DAY★」の文字を刻印している。

LiSAさんの好きな音質に合わせて最適なチューニングを施したJust earのテイラーメイドイヤフォン「XJE-MH/L1SA」
SOUND WARRIORのブースでは、モニターヘッドフォンのセミオープン型「SW-HP100(仮)」を参考出品。聴き疲れしにくい音を目指しており、初夏の発売を目指しているという

GREEN FUNDINGのブースでは、クラウドファンディングのプロジェクトをスタートさせた、振動をダイレクトに体に伝える、没入型ARオーディオ「HUMU」を紹介。車載用暗視モニター「Lanmodo ナイトビジョンシステム」も出展している。さらに、MHaudioの真空管アンプも、近日クラウドファンディング開始予定だという。

没入型ARオーディオ「HUMU」
車載用暗視モニター「Lanmodo ナイトビジョンシステム」
MHaudioの真空管アンプ