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「ウルトラマン」国外利用権で円谷プロの勝訴確定。タイ実業家らと20年以上係争

円谷プロダクションは、ユーエムらと係争中の「ウルトラマン」シリーズの日本国外利用権について、2019年12月5日(現地時間)、アメリカ合衆国第9巡回区控訴裁判所において、勝訴判決が出され、2020年3月4日の期限までにユーエムらの上告がなされなかったため、円谷プロの勝訴判決が確定したと発表した。

(c)円谷プロ

「ウルトラマン」シリーズの日本国外利用権については、2015年5月18日付けでユーエムが円谷プロに対し、同権利の帰属確認と損害賠償の支払いを求めて提訴。これに対し、円谷プロも同9月11日付けで、ユーエムや同社ライセンシーらに対し、権利帰属と損害賠償請求の反訴を提起し、審理が進められてきた。

ユーエムは、1976年に円谷プロの代表者だった円谷皐氏が署名した契約書に基づいて許諾されたという「ウルトラマン」シリーズの日本を除く全世界での利用権を、タイ人実業家サンゲンチャイ・ソンポテ氏から承継したと主張。円谷プロは、この文書は偽物であるとして、ユーエムやソンポテ氏と20年以上にわたって争ってきた。

訴訟の第一審では、地方裁判所において、1976年の書面が真正に作成されたものではないという、円谷プロの主張を全面的に認める判決が下され、円谷プロが「ウルトラマン」キャラクターに基づく作品や商品を日本国外においても展開する一切の権利を有することが確認されたほか、ユーエムによる権利侵害に対する損害賠償や当社側からの弁護士費用の請求も認められていた。

ユーエムは、2018年5月7日に一審判決を不服として控訴していたが、2019年12月5日、控訴裁判所も1976年の書面が真正に作成されたものではないという一審判決及び陪審員の評決を全面的に認め、円谷プロが勝訴。2020年3月4日の期限までに上告がなされなかったため、この勝訴判決が確定した。

ユーエムには、円谷プロに対する権利侵害に対する損害賠償や、円谷プロの訴訟費用について、約400万ドル(日本円で約4億円)に及ぶ弁済が判決によって命じられている。

円谷プロは勝訴判決に確定について、「長い時間と膨大な労力をかけた精緻な証拠開示手続きに加え、各当事者の主張を補完する多数の証人の証言、筆跡鑑定の専門家の鑑定意見等を経て出された結果であり、極めて高い信頼性と真実性が伴ったもの。この判決を踏まえ、現在進めているウルトラマン作品の積極的な海外展開をより一層強化し加速させていく」とコメントしている。