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'20年映像ソフト市場、見放題配信が前年比165.3%。トップはAmazonプライム
2021年5月11日 21:00
日本映像ソフト協会(JVA)は11日、2020年の「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」の結果を発表。新型コロナウィルスの影響を大きく受けた2020年は、レンタル市場が大きく減少し、定額見放題(SVOD)が大幅増となった。
セル市場は1,860億円(前年比94.1%)、レンタル市場は1,041億円(同82.7%)となり、合計の推計値は2,901億円と減少が続いている(前年比89.7%)。一方、有料動画配信市場については、上位サービスプロバイダーが順調に伸張。また、定額見放題の利用増加により、市場全体として3,973億円、前年比165.3%の大幅増となった。この結果、市場全体では6,874億円、前年比121.9%と、前年を上回る市場規模となった。
購入、レンタル利用及び有料動画配信サービスのいずれかを利用した「有料コンテンツ利用率」は、全体で43.9%となり、2019年からは3.8ポイント増加。購入率は15.6%、レンタル利用率は20.3%、有料動画配信サービスの利用率は27%となっており、昨年比ではセルが0.3%、レンタルが1.6%の減少。有料動画配信は7.4%の上昇となり、調査開始以来初めて利用率トップとなった。
5年前の2016年と比較すると、セル利用者は14.3%の減少、レンタル利用者は32.4%の減少となっており、特にレンタル利用者の減少幅が大きい。有料動画配信利用者は、113.7%増と2倍以上の伸びを示している。
定額見放題トップはAmazonプライム。Netflixは若年女性多、dアニメは男性中心
定額見放題の利用配信事業者では、Amazonプライムビデオが58.8%でトップとなっており、次いでNetflix(21.8%)、Hulu(13.9%)が続く。また、Amazonプライムビデオ、Netflixでは、2019年に比べ、シェアを伸ばしている。
デジタルレンタル、購入においてもAmazonプライムビデオがトップを占め、次いでHuluとなっている。3位はレンタルではU-NEXT、購入ではFANZAとなっている。
定額見放題の利用ジャンルでは、海外の映画(49.0%)、日本の映画(47.4%)、日本のアニメ(44.7%)が上位3位となっている。一方、視聴本数のシェアでみると、日本のアニメ(27.1%)、海外のドラマ(20.6%)、海外の映画(14.6%)となっており、続きものの多いアニメやドラマの構成比率が上昇している。
主要な配信事業者のユーザー属性をみると、性別で最も差があるのはdアニメユーザーで、男性が56.7%を占める。他の事業者では、Amazonユーザー、Huluユーザー、J:COM等ユーザーで男性が多め、U-NEXTユーザー、WOWOWユーザーで女性が多めとなっている。年齢別ではNetflixユーザーとdアニメユーザーがやや若め、WOWOWユーザーは年齢層が高めとなっている。
また、定額見放題サービスの年間視聴本数が多いのはHuluユーザーの84.0本、少ないのはAmazonユーザーの59.6本となっている。ジャンル別視聴本数では、Amazonユーザー、U-NEXTユーザー、dアニメユーザーで「日本のアニメ」が最も多く、Netflixユーザー、Huluユーザー、J:COM等ユーザー、WOWOWユーザーで「海外のドラマ」が多い。
映像メディアの今後、「映画館に行く人は減らない」が多数
今回の調査では「映像メディアの今後に関する考え」の問を新たに設け、消費者が現今のメディア状況をどう感じているかを確認。その結果、「テレビを見る人が減る」「レンタルビデオはインターネットに代替される」「映像ソフトの購入はインターネットに代替される」という意見が、それぞれ反対の意見よりも多く、レンタルビデオやセルビデオだけでなく、通常のテレビも視聴が減っていくと多くの人が考えていることが明らかになった。
「映画館に行く人が減るか減らないか」については、「減る」の24.7%に対し、「減らない」が30.1%と減らないという意見が多く、他の既存の映像メディアに比して、インターネットによる影響が比較的少ないと考えられていると分析している。