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iPhoneの「衛星経由の緊急SOS」日本でスタート

アップルは30日、iPhoneの「衛星経由の緊急SOS」に日本で対応開始した。対象機種は、iPhone 14シリーズとiPhone 15シリーズで、携帯電話通信やWi-Fiの圏外でも、衛星経由で緊急通報サービスに接続できるようになる。

端末が低軌道の通信衛星と直接つながることで、緊急SOSの発信やメッセージのやり取り、位置情報の共有などが行なえる機能。iPhone 14シリーズとともに2022年に発表され、アメリカとカナダから対応開始し、16カ国まで拡大していたが、日本でも利用可能となった。衛星経由の緊急SOSと衛星経由の「探す」の利用には、30日に公開されたiOS 17.6以降が必要。

衛星経由の緊急SOSは、緊急SOS、メディカルID、緊急連絡先、「探す」の位置情報の共有などに対応。衛星に接続して重要な情報を緊急通報サービス、家族、友人と共有できるようにする。ユーザーは緊急対応専門スタッフがいる衛星中継センターに連絡し、これらのスタッフがユーザーが必要な助けを得られるよう、ユーザーの代わりに緊急通報サービスにただちに連絡する。

緊急SOSでは、携帯電話通信やWi-Fiの電波が届かず、110、118、119などの緊急通報サービスに接続できない場合に、ユーザーが衛星接続を利用して助けを得られるように、専用のインターフェイスをiPhoneに表示。iPhoneに質問が表示され、タップして質問に回答することで、ユーザーの状況と位置情報を把握し、通信指令台に伝達される。

質問のあと、直感的なインターフェイスにより、衛星に接続して最初のメッセージを送信するためにiPhoneを向けるべき空中の方向をユーザーに教える。このメッセージには、ユーザーの質問への回答、位置情報(高度も含む)、iPhoneのバッテリー残量、メディカルID(有効になっている場合)が含まれる。ユーザーの緊急連絡先が情報を把握できるように、衛星中継センターの専門スタッフとのやり取りの記録を緊急連絡先と共有も可能。

なお、衛星の動きは高速で、帯域幅は小さく、地球から1,000km以上離れているため、短いメッセージでも届くまでに数分間かかることがある。衛星経由の緊急SOSでは、ユーザーは視界が開けた条件下では15秒でメッセージを送受信できるとしている。

ユーザーは、iPhone内蔵の衛星経由の緊急SOSのデモを使い、緊急通報サービスへの連絡は行なわずに範囲内の実際の衛星に接続し、iPhoneで衛星接続をテストできる。そのため、プロセスを体験してサービスに慣れておくことで、万一の際に備えられる。

また、緊急事態が発生していない場合でも、「探す」を使って衛星経由で自分の位置情報を共有可能。「探す」アプリでは、ユーザーは「自分」タブを開き、上にスワイプして「衛星経由の位置情報」を表示。「自分の現在地を送信」をタップできる。

衛星経由の緊急SOSと衛星経由の「探す」は、日本のほか、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ポルトガル、スペイン、スイス、英国、米国で現在利用可能。