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CEATEC 2024開幕。ソニーグループは海底を3D撮影する水中ドローンなど

幕張メッセにて、10月15日より「CEATEC 2024」が開幕。開催期間は18日まで。入場料は無料だが、来場事前登録が必要となる。ここでは、ソニーグループのブースレポートをお届けする。

ソニーグループのブースのテーマは「Hello, Sensing World!」。グローバルシャッターの技術紹介や、海底の様子を立体情報と共に撮影できる3次元空間センシング技術を搭載した水中ドローンと、そのセンシングデータを活用した3Dモデル、モビリティに搭載されるセーフティ領域のテクノロジーなどが展示されている。

センサーの基となっているSilicon Wafer
様々な製品毎のセンサーの実物台

グローバルシャッターと水中3Dセンシングカメラ

グローバルシャッターの技術展示

グローバルシャッターの紹介コーナーでは、高速回転する被写体を撮影してリアルタイムに画面に映すデモが行なわれていた。

一般的なミラーレスカメラやスマホのカメラに搭載されているローリングシャッターは、撮影する際に画像の撮像面上部の画素から下部に向かって順番に読み出しを行なうため、高速で動くものを撮影すると、上下で歪んでしまうという問題がある。今回の展示をローリングシャッター方式のカメラで撮影したものがこちらだ。

ローリングシャッター(α7C II)でシャッター速度1/2000で撮影した写真

一方でグローバルシャッター方式は、センサーの全画素を同時に露光・読み出しを行なうため、ローリングシャッター方式で発生する歪みがなく、見たままの映像が撮影できる。ソニーのミラーレスカメラでは、α9 IIIに搭載されている技術だ。

グローバルシャッターで撮影された写真

そんなグローバルシャッターの技術と、3次元空間センシング技術を組み合わせた水中ドローンも展示されている。

水中3Dセンシングシステムの展示

この水中ドローンは、高度なセンシング技術を地上だけではなく海にも展開し、海洋環境の可視化を目指す研究の一環で開発されたもの。ソニーのイメージセンサーと3次元空間センシング技術を搭載したデバイスは下部の箱のような部分で、上部のカメラ部は操作時に使用する一般的な水中ドローンとなっている。

ソニーのセンシング技術が搭載されたデバイスはこの部分

海底のサンゴや藻場の生息分布の把握などに使用されるもので、センシングデータを活用した3Dモデルの生成も可能。立体的な映像を撮影するために、水の流れによる歪みなどの影響が出にくいグローバルシャッターを搭載している。ブースでは実際に撮影された映像から生成された映像が、空間再現ディスプレイで立体的に見える映像として映し出されている。

実際に撮影されたデータを基に生成された3D映像。映しているのは空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」

また、水中ではGPSが利用できないため、一般的な水中ドローンは、自機の場所がわからなくなってしまうが、この水中センシングカメラでは、海底を3次元でマッピングしながら操作できるため、映像由来にはなるが、通ったルートからドローンの位置がわかることも強みという。

モビリティの安全性を高める「Safety Cocoon」

ブース内で目を引くのは、車の方をしたフレームの展示。ここでは、モビリティの安全性を高めるためのセンシングテクノロジーが紹介されている。

日常の様々なドライブシーンにおいて、自動車の周囲360度を検知し、早期に危機回避行動を支援することで車の安全性を高めることをコンセプトとした「Safety Cocoon」に基づくテクノロジー。今回の展示されているカメラ等とは異なるが、ソニーホンダモビリティで開発しているAFEELAも同じSafety Cocoonのコンセプトに基づいたセーフティ機能が採用されている。

今回の展示では、前方を検知する業界最多1,742万画素のカメラ、周囲の車両、歩行者などの位置や形状を高精度に検知、認識する車載LiDAR用SPAD ToFセンサー、ドライバーの頭や手足の動きまで細かくトラッキングするなど、車内の状況を認識するToF方式距離画像センサーが紹介されている。

そのほか、すでにSDKも提供しているToFセンサーを活用してVTuberなどの3Dモデルの操作にも採用される距離情報で指や動作を認識するソフトや、センシング技術を活用して直感的に操作できるリハビリゲーム、食品検査や異物検査などに使用される可視光から赤外線の短波長領域まで撮影できるSWIRイメージセンサーなどの展示が行なわれている。

SWIRイメージセンサー
一見異物が入っているようには見えない黒豆
SWIRイメージセンサーで映すとこの通り。透けているものは数珠とのこと