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【ポタ研】CHORDのDAC搭載ポータブルアンプ「Hugo」は3月発売で約24万円

DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプ「Hugo」

 タイムロードは、8日に開催されたポータブルオーディオ関連のイベント「ポタ研 2014冬」の中で、CHORDのDAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプ「Hugo」(ヒューゴ)を発表した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は24万円前後。予約を受け付けており、3月頃の製品出荷を予定している。

 外形寸法97×132×23mm(幅×奥行き×高さ)、重量332gのポータブルアンプ。DACも搭載し、入力は光デジタル、同軸デジタル、USBを装備。光・同軸デジタル入力はどちらも24bit/192kHzまでサポートする。

 USB入力は2系統あり、1つは「SD USB」としてUSB Audio Class 1.0に対応し、16bit/48kHzまでサポート。もう1つは「HD USB」としてUSB Audio Class 2.0をサポートし、32bit/384kHzのPCMと、5.6MHzまでのDSDを入力できる。PC接続以外にも、ポータブルプレーヤーとしてiOS機器やウォークマンなどとのデジタル接続にも対応する予定。

 また、Bluetooth受信機能も備え、プロファイルはA2DP、aptXコーデックもサポート。様々な機器との接続を想定している。

Hugo
入出力端子部
USB入力は2系統

 出力は標準ヘッドフォン×1(8~600Ωのヘッドフォン対応)と、ステレオミニ×2、さらにアンバランスのアナログ(RCA)も1系統備え、アクティブスピーカーなどとの接続も想定。ボリューム固定機能も用意し、単体DACとしてオーディオシステムに組み込むこともできる。ヘッドフォン出力は100dB(300Ω時)、ダイナミックレンジは120dB。

 天面にLEDを搭載し、カラーの違いでバッテリ残量や入力サンプリングレートなどの情報を表す。クロスフィールド・フィルター機能を切り替えるボタンも備えている。クロスフィールド・フィルターとは、CHORD独自開発の「頭内定位から三次元的サウンドステージへ出力音のイメージを変換する」という機能。

 リチウムイオンバッテリも搭載、所要充電時間は約4時間、連続再生可能時間は8~12時間(44.1kHz再生時)。

据え置き単体DACとして、アクティブスピーカーなどとの組み合わせも訴求
LEDで動作状況を知らせる

汎用のDACは使わず、独自のアイデアで

 ポータブルでありながら、32bit/384kHzのPCMや、5.6MHzのDSDなどに対応し、豊富な入出力端子を備えているのが特徴。

 注目ポイントは、既存のDACチップを使わず、独自のプログラムを搭載した第6世代のXilinx Spartan-6 FPGAと、ディスクリート構成のパルスアレイDACで信号処理を行なっている事。

 FPGAを使う理由について、開発者のロバート・ワッツ氏は、「人間が音に対してどのように反応するかを調べた結果、目がそうであるように、耳も、耳から得た情報を10%とした場合、それを受け取った脳の側で残りの90%を処理する事で、音を知覚しているとわかった。脳では1つ1つの音を解析し、音の位置情報も脳の中で処理して感じている。我々は、楽器の音、ヴォーカルの音、周囲の話し声などを無意識に分けて認識できる。だが、その際にかすかでもノイズがあると、耳と脳の処理を邪魔する事になる。また、単体で耳に聴こえないノイズであっても、音楽と共に再生すると音が悪くなることも突き止めた」という。

 こうした独自のアイデア、考え方で製品作りを進めているため、既存のDACでは自由度が低いと言う。「普通のオーディオは決められた仕様にしたがって作るだけ。FPGAには決まった仕様ではなく、自分でプログラムする事で自由度が高まる」(ワッツ氏)という。

開発者のロバート・ワッツ氏
耳に聞こえないノイズでも、音楽と共に再生すると音質劣化に繋がるという
Hugoの内部

 ワッツ氏は、トランジェント(音の立ち上がり)のタイミング精度の重要性に着目。サンプリングレートが44.1kHzから96kHzなどにアップすると音が良く感じられるのは、高域の帯域が伸びる事だけでなく、可聴帯域内のタイミング精度が上がるためだとし、FIRフィルタのタップ数(処理細かさ)に注目。通常のフィルタは200程度だが、それを1,000、2,000と増やすことで、トランジェントエラーを引き起こす率が低下し、音が良くなるという。その研究を元に、「WTAフィルタ」を開発。今回の「Hugo」では、26,368タップのフィルタを採用。2,048倍のオーバーサンプリングフィルタも通し、ジッタを低減している。こうした処理を行なうために、DSPは16コア、208MHzの強力なものを搭載している。

2,048倍のオーバーサンプリングフィルタを通してジッタを低減
Hugoのブロックダイアグラム
CEOのジョン・フランクス氏

 CEOのジョン・フランクス氏は、「Hugo」という名前の由来について、「“You Go”とか、“Wherever you go”などの言葉からHugoと名付けました」と説明。

 ポータブル機としてはサイズがやや大柄な点については、「現在の大きさはバッテリのサイズに起因している。USBから電源をとらない事で、様々なUSBデバイスで使える仕様になっているためで、バッテリを小さくすればサイズダウンはできると考えている」(フランクス氏)、「しかし、音質面ではDSPとアナログ出力回路を小さくすると、音質は悪くなってしまいます」(ワッツ氏)とし、ニーズや音質などへの意見も、今後の製品へ取り入れていく姿勢を見せた。

Audioflyの新製品も

Audioflyの新製品も参考展示

 タイムロードブースでは、Audioflyのイヤフォン新製品も参考展示。Performanceシリーズの4モデルで、いずれも4月の発売を予定している。

 9mmのダイナミック型×1基と、BA×1基を搭載した「AF120」が約26,750円、9mmのダイナミック型×1基、BA×2基の「AF140」が約37,450円、BA×3基の「AF160」が約48,150円、BA×4基の「AF180」が約58,850円。上位の2モデルはケーブル着脱に対応する。

9mmのダイナミック型×1基、BA×2基の「AF140」
BA×3基の「AF160」
BA×4基の「AF180」

(山崎健太郎)