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B&W、筐体から“浮いた”ツイータ採用の新エントリー「600」シリーズ6機種

フロア型の「683 S2」

 ディーアンドエムホールディングスは、英B&W(Bowers & Wilkins)のエントリースピーカー「600」シリーズの第5世代モデルを発表。いずれも3月発売で、価格はフロア型の「683 S2」が147,000円(1台/ペア販売のみ)、トールボーイの「684 S2」が96,600円(1台/ペア販売のみ)、ブックシェルフの「685 S2」がペアで119,700円、「686 S2」がペアで94,500円。センタースピーカーの「HTM61 S2」が128,100円、「HTM62 S2」が74,550円。

 CMシリーズの下位モデルにあたる、エントリー600シリーズの新製品。いずれのモデルも仕上げはブラック・アッシュとホワイトの2種類。シアター展開も可能なシリーズで、組み合わせるサブウーファは「ASW610」、「ASW608」を想定し、これらの製品は新600シリーズに合わせた外装に変更されるという。リアスピーカーに利用できる「DS3ダイポール/モノポール壁掛けスピーカー」(既発売)も、600シリーズとの組み合わせを想定したモデルとなる。

 また、「686 S2」と「685 S2」向けにスタンド「STAV24S2」も発売する。価格はペアで27,300円。既存モデルとの違いは、686 S2/685 S2のデザインに合わせ、トッププレートを変更した事。

フロア型の「683 S2」
トールボーイの「684 S2」
ブックシェルフの「685 S2」
ブックシェルフの「686 S2」
左からセンタースピーカーの「HTM61 S2」、「HTM62 S2」

新600シリーズ共通の特徴

フロア型の「683 S2」

 シリーズに共通する特徴は、上位シリーズの「CM10」用に開発されたツイータ技術を採用している事。いずれのモデルも25mm径のアルミドームツイータを採用しているが、薄くて軽いドームの後部に、中央部が切り取られた2層目のドームを配置し、補強するデュアルレイヤー構造になっている。これにより、質量を増やさず、高剛性化を実現。従来と比べて高域の一次共振が30kHzから38kHzに上がり、可聴帯域より上になる事で、音質が向上。感度もアップしたという。

 なお、ツイータはバッフルに取り付けられているように見えるが、筐体からフローティングしている。マグネット・アッセンブリを取り巻くように合成ジェルのリングが配置されており、このジェルを介して接続。バッフルとツイータは直接触れていない。

 「ウーファからの振動がツイータに伝わらないようにしているというよりも、ツイータの振動がキャビネットに伝わり、キャビネット自体がツイータのように音を出さないようにするため」(マランツ音質担当マネージャー 澤田龍一氏)だという。

25mm径のアルミドームツイータ。中央右寄りの銀色の傘のようなパーツが薄いドーム振動板、その背後に補強用の2層目が見える。傘のようなパーツの前にある黒くて太いリングが、バッフルからフローティングするための合成ジェル
ユニットのエッジの外側に、黒い盛り上がりがある。ここが合成ジェル。ユニットの背後をつまんでグリグリと動かすと、フローティングしているため、ユニットの向きが自由に動く
ツイータを横から見たところ
マランツ音質担当マネージャー 澤田龍一氏

 なお、ツイータにはスチール製の保護メッシュが取り付けられており、取り外さなくても音質には影響が出ない設計になっているという。そのため、ユーザーが外す必要は無いが、修理などの際に取り外すときは、磁石を使って取り外すという。

ツイータの剛性がアップし、高域の一次共振が従来の30kHz(赤線)から新モデルでは38kHz(緑線)に上がっている
ツイータの振動が従来モデル(青線)と比べ、新モデル(赤線)では低減されている
ツイータの保護メッシュは磁石を使って取り外す
右が従来モデルのツイータ
ウォーブンケブラー・コーンのユニット

 フロア型の683 S2、センターのHTM61以外のモデルで、バス/ミッドレンジとして使われているのが、ウォーブンケブラー・コーンのユニット。既発売の「PM1」と同様に、エネルギー吸収型の防振プラグを中央に配置し、高域周波数レスポンスをコントロール。レスポンスの滑らかさを向上させ、ツイータとのクロスオーバー付近でのカラーレーションを低減している。

ウォーブンケブラーコーンFSTユニット

 683 S2とHTM61のミッドレンジユニットは、ウォーブンケブラー・コーンだが、FST(Fixed Suspension Transducer)技術を用いて音のクリアさをアップさせている。ソリッドアルミニウムのフェイジングプラグも搭載する。

 683 S2とHTM61のウーファには、デュアルレイヤー・アルミニウムコーンを採用。ツイータと同じような構造で、従来モデルはアルミニウムの裏に2層目としてペーパー/ケブラーを用いて共振をコントロールしていたが、新コーンではエッジ周りの裏にアルミニウム製のリングを搭載している。

 振動板にはアルマイト処理を施す事で、色に濃淡を付け、キャビネットの仕上げとカラーコーディネートした。振動板の中央には、凹型のアルミニウム製ダストキャップを備え、ここでも色を合わせている。

 ネットワークはシンプルな構成を基本としており、パーツの個数を減らす代わりに、フィルムコンデンサや空芯コイルなどに、グレードの高いパーツを使っているのが特徴。

デュアルレイヤー・アルミニウムコーン
裏から振動板を見たところ。2層構造なのがわかる

各モデルの搭載ユニットサイズ

発表会では600シリーズのこれまでの歴史も振り返った

 フロア型の「683 S2」は、従来モデルの「683」と比べ、筐体は若干スリムになった。3ウェイ4スピーカー構成で、25mm径ツイータ、150mm径ウォーブンケブラーコーンFSTミッドレンジを搭載。ウーファは165mm径のデュアルレイヤー・アルミニウムコーンで、2基搭載している。

 トールボーイの「684 S2」は2ウェイ3スピーカー。ドライブユニットの小型化により大幅にスリム化。若干高さが増している。25mm径ツイータを1基、130mm径ウォーブンケブラーコーンバス/ミッドレンジを2基搭載。

ブックシェルフの「685 S2」
センタースピーカーの「HTM61 S2」

 ブックシェルフの「685 S2」は2ウェイ2スピーカー。25mm径ツイータ、165mm径ウォーブンケブラーコーンバス/ミッドレンジを採用。

 ブックシェルフの「686 S2」は、25mm径ツイータ、130mm径ウォーブンケブラーコーンバス/ミッドレンジを採用。従来モデル「686」と比べてスリム化。背面にあったバスレフポートが、前面に移動しており、壁掛けしやすいようになった。壁掛け用ブラケットも付属する。

 センタースピーカーの「HTM61 S2」は、3ウェイ4スピーカー。25mm径ツイータ、100mm径ウォーブンケブラーコーンFSTミッドレンジ、165mm径デュアルレイヤー・アルミニウムコーンウーファ×2基を採用する。フロア型モデルと統一感が出るよう、ツイータをバッフルの上方に配置している。

 センターの「HTM62 S2」は2ウェイ3スピーカー構成。25mm径ツイータ、130mm径ウォーブンケブラーコーンバス/ミッドレンジ×2を搭載する。

音を聴いてみる

 ディーアンドエムの試聴室にて、「683 S2」を短時間だが試聴した。

試聴の様子

 フローティング構造のアルミドームツイータの効果は大きく、中高域の雑味が少ない、極めてクリアな音質。付帯音も少なく、精密な描写がよく伝わってくる。ギターの弦の動きも明瞭だ。

 エントリーモデルであるため、中低域の音圧や沈み込み、音像の厚さは上位シリーズと比べるともう一声欲しいと感じるが、価格を考えると、コストパフォーマンスの良さが光る。

 マランツの澤田氏も、「CM10を除いたCMシリーズを超えているとはっきり言っても良い。コンベンショナルなCMシリーズも安泰ではいられないと感じさせる」と、600シリーズのポテンシャルの高さを強調した。

モデル名683 S2684 S2
タイプフロア型トールボーイ
ユニット25mmアルミドームツイータ
150mm径ウォーブンケブラーFSTミッド
165mm径アルミウーファ×2
25mmアルミドームツイータ
130mm径ウォーブンケブラー バス/ミッド×2
再生周波数帯域30Hz~50kHz72Hz~22kHz
クロスオーバー400Hz、4kHz4kHz
出力音圧レベル89dB87dB
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
(突起部含む)
320×370×1,020mm235×238×955mm
重量27.2kg14.2kg
モデル名685 S2686 S2
タイプブックシェルフブックシェルフ
ユニット25mmアルミドームツイータ
165mm径ウォーブンケブラー バス/ミッド
25mmアルミドームツイータ
130mm径ウォーブンケブラー バス/ミッド
再生周波数帯域45Hz~50kHz54Hz~50kHz
クロスオーバー4kHz4kHz
出力音圧レベル87dB85dB
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
(突起部含む)
190×324×345mm160×233×315mm
重量6.8kg4.6kg
モデル名HTM61 S2HTM62 S2
タイプセンターセンター
ユニット25mmアルミドームツイータ
100mm径ウォーブンケブラーFSTミッド
165mm径アルミウーファ×2
25mmアルミドームツイータ
130mm径ウォーブンケブラー バス/ミッド×2
再生周波数帯域42Hz~50kHz48Hz~50kHz
クロスオーバー400Hz、4kHz4kHz
出力音圧レベル88dB87dB
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
(突起部含む)
590×304×218mm279×480×160mm
重量17.2kg7.9kg

(山崎健太郎)