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B&W、新スピーカー「CM S2」8機種。ツイータをフローティング。「CM5 S2」18万円など

 ディーアンドエムホールディングスは、英Bowers & Wilkins(B&W)のミドルクラススピーカーCMシリーズの新ラインナップ「CM S2」を9月より発売する。フロア型3機種、ブックシェルフ型3機種、センター2機種の計8機種をラインナップする。

 価格は仕上げによって異なるが、ローズナットモデルの価格は、フロア型「CM10 S2」が1台33万円、「CM9 S2」が1台185,000円、「CM8 S2」が14万円、ブックシェルフ型の「CM6 S2」がペア30万円、「CM5 S2」がペア18万円、「CM1 S2」がペア128,000円。

 さらにセンターの「CM Center 2 S2」が1台155,000円、「CM Center S2」が10万円。なお、ブックシェルフ型スピーカー向けのスタンド「FSCM S2」もペア75,000円で用意する。

左からCM10/9/8 S2、CM6/5/1 S2、CM Center 2 S2

 全モデルにダブルドームタイプのツイータを採用。「CM10 S2」や「CM6 S2」では、ツイータを筐体の外に出した、ツイータ・オン・トップ構造を採用している。

 各モデルにはローズナット仕上げに加え、ピアノ・ブラック仕上げも用意する。詳しい価格は下表の通り。

タイプモデル名 仕上げ価格
フロア型CM10 S2ピアノ・ブラック1台330,000円
ローズナット1台300,000円
CM9 S2ピアノ・ブラック1台210,000円
ローズナット1台185,000円
CM8 S2ピアノ・ブラック1台154,000円
ローズナット1台140,000円
ブックシェルフ型CM6 S2ピアノ・ブラックペア330,000円
ローズナットペア300,000円
CM5 S2ピアノ・ブラックペア200,000円
ローズナットペア180,000円
CM1 S2ピアノ・ブラックペア140,000円
ローズナットペア128,000円
センター型CMC2 S2ピアノ・ブラック1台170,000円
ローズナット1台155,000円
CMC S2ピアノ・ブラック1台110,000円
ローズナット1台100,000円
スタンドFSCM S2ブラックペア75,000円
ローズナットペア75,000円
左からCM10 S2、CM9 S2 CM8 S2
左からCM6 S2、CM5 S2 CM1 S2
左からCMC2 S2、CMC S2

ツイータをフロート構造に。ユニットの技術は全機種共通

 各モデルに搭載しているツイータは25mm口径。振動板はダブルドームタイプに進化。アルミドーム型振動板に、中央部分をカットした“第2のドーム”を組み合わせて周辺部分を強化した構造になっており、薄くて軽いアルミドームの特徴を活かしながら、ドームを補強している。これにより、従来のCMシリーズと比べ、感度を犠牲にすることなく、高域一次共振周波数が30kHzから38kHzに上昇している。

ツイータの構造。アルミドームの振動板を剛性強化。
CMとCM S2シリーズの筐体振動を測定した結果。赤いグラフがCM S2で、振動が少なくなっているのがわかる

 ツイータユニットの振動が、バッフルを通じて筐体に伝搬する事を防ぐ工夫としてデカップリング構造を採用。ユニットとバッフルが接触する部分に、合成ゲルを使ったリングを配し、これがクッションのような役割を発揮。振動が筐体に伝わらず、クリーンな高域再生ができるという。

CM1 S2(左)、CM1(右)

 上の写真は、新モデルのCM1 S2(左)、旧モデルのCM1(右)を並べたもの。ウーファの外周に注目すると、CM1は外からリングをネジ止めしてユニットを固定している。CM1 S2もシルバーのリングを備えているが、これは単なるカバー。これを外すと、下の写真のようになり、黒い合成ゲルのリングにユニットが固定されているのがわかる。また、ツイータ周囲にあるシルバーのフランジも小さくなっており、この部分から余計な音が出るのを防いでいるという。

CM1 S2のシルバーリングを外したところ。合成ゲルにユニットが取り付けられているのがわかる

 ツイータにはグリルカバーを装備。磁気回路の磁力で固定されており、付属する磁石ツールを使って取り外す。

ツイータのグリルカバーは磁石で着脱できる
着脱に利用する磁石ツール

 なお、シリーズの上位モデルである「CM6 S2」と「CM10 S2」の2機種では、ツイータを筐体に内蔵せず、800シリーズのように筐体上部に設置した「ツイーター・オン・トップ」仕様を採用。放射した高域が、エンクロージャで回折するのを防ぎ、空間表現能力を高めている。

CM6 S2は「ツイーター・オン・トップ」仕様
CM5 S2のツイータ部
右にあるのがCM6 S2のツイータ
CM6 S2
CM5 S2

 ミッドレンジユニット(2ウェイモデルではウーファ)には、振動板にウォーブン・ケブラーコーンを採用。中央にマッシュルームのような形の防振プラグを装備している。これはボイスコイルボビンと内部でフィットしており、センターキャップとは異なり、高域周波数でも形状を保持。スムーズな高域レスポンスと、ツイータへのクロスオーバーにおけるカラーレーションの少なさを実現するという。

 ユニットの口径は、CM10/9 S2が160mm径、CM8 S2は130mm径、CM Center 2 S2は100mm径。なお、CM10 S2のみ、800シリーズと同様に、背後からの引っ張り棒を使ってマウント。エンクロージャからフローティングしている。

 磁気回路にも違いがあり、CM8/9はフェライト、CM10は800シリーズと同じネオジウムマグネットを採用。ネットワークの抵抗にCM10はメタル抵抗を使い、それ以外のモデルはセメント抵抗を使うなど、「CM10は音質的にも、800シリーズにより近いものになっている」(マランツ音質担当マネージャー 澤田龍一氏)という。

 3ウェイモデルに搭載されているウーファユニットの振動板は、ダークフィニッシュを施したペーパー/ケブラーコーン。これは、エンクロージャの仕上げがグロスブラック、ローズナットのどちらであっても、ダークのフィニッシュとなる。

左からCM10 S2、CM9 S2、CM8 S2、CM6 S2
左からCM6 S2、CM5 S2、CM1 S2
ダークフィニッシュを施したペーパー/ケブラーコーンユニット

ネットワークなどの内部パーツも刷新

独ムンドフルのM-Cap EVO Silver/Gold/Oilコンデンサを使ったネットワーク

 内部パーツも刷新。ネットワークのフィルタのスロープは変わっていないが、部品を変更。ツイータ用のコンデンサには、独ムンドフルのM-Cap EVO Silver/Gold/Oilという最高ランクのものを採用。従来はコイルにアルミを使っていたが、新コンデンサは金が入った銀箔。「パーツ単価で従来のコンデンサは1,000円前後だが、新コンデンサは8,000円くらいする高価なパーツ。非常に音が良いコンデンサ」(澤田氏)という。

 さらに、内部配線材も従来はPVC被覆のワイヤーだったが、800シリーズと同じ、蘭van den Hul(ヴァン・デン・ハル)のケーブルを採用。

左がCM1 S2のターミナル、右がCM1のターミナル

 スピーカーターミナルの仕上げも、従来の金メッキからニッケルメッキに変更された。ただし、従来の金メッキも、下地にニッケルメッキを施した上で金メッキをかけている。澤田氏によれば、「物理的になぜかはわからないが、B&Wがリスニングテストをした結果、ニッケルメッキが一番良かったという。彼らは、“異なる金属が組み合わさるよりも、下地のニッケルを厚めにかけた方が音にとっては良いのではないか”と推測している。ニッケル+金メッキ構成では、音に特徴的なエッジがつく。ニッケルのみは、スッとした自然な音になる」とのこと。

ブックシェルフ型向けスタンドも

 スタンドのFS-CM S2は、CM1/5/6 S2や、従来のCM1/5で利用できるスタンド。背後にスピーカーケーブルを通せる空間を持っているほか、内部に珪砂などを入れて重量を増加させ、鳴きを抑える事もできる。

 外径寸法は252×298×560mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は1台5.5kg。

モデル名CM10 S2CM9 S2CM8 S2
ユニットツイータ:25mm径
※ツイータ・オン・トップ
ミッド:150mm径
バス:165mm径×3
ツイータ:25mm径
ミッド:150mm径
バス:165mm径×2
ツイータ:25mm径
ミッド:130mm径
バス:130mm径×2
再生周波数帯域28Hz~50kHz(-6dB)30Hz~50kHz(-6dB)43Hz~50kHz(-6dB)
クロスオーバー350Hz/4kHz
出力音圧レベル90dB(2.83V/1m)89dB(2.83V/1m)88dB(2.83V/1m)
インピーダンス
推奨パワーアンプ出力30~300W30~200W30~150W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
366×414×1,087mm320×370×1,025mm252×298×960mm
重量33.5kg26.6kg19.5kg
モデル名CM6 S2CM5 S2CM1 S2
ユニットツイータ:25mm径
※ツイータ・オン・トップ
バス:165mm径
ツイータ:25mm径
バス:165mm径
ツイータ:25mm径
バス:130mm径
再生周波数帯域45Hz~50kHz(-6dB)
クロスオーバー4kHz
出力音圧レベル88dB(2.83V/1m)84dB(2.83V/1m)
インピーダンス
推奨パワーアンプ出力30~120W30~100W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
200×301×403mm200×301×340mm165×276×280mm
重量8.9kg8.9kg6.7kg
モデル名CMC S2CMC S2
ユニットツイータ:25mm径
ミッド::100mm径
バス:165mm径×2
ツイータ:25mm径
バス:130mm径×2
再生周波数帯域40Hz~50kHz(-6dB)
クロスオーバー350Hz/4kHz4kHz
出力音圧レベル89dB(2.83V/1m)87dB(2.83V/1m)
インピーダンス
推奨パワーアンプ出力30~200W30~120W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
590×301×225mm480×275×166.5mm
重量18.7kg11.5kg

(山崎健太郎)