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ツイータ分離「CM6 S2」など、B&Wスピーカー新CMシリーズブックシェルフを体験

 ディーアンドエムホールディングスは、英Bowers & Wilkins(B&W)のミドルクラススピーカーCMシリーズの新モデルとして、「CM6 S2」など、ブックシェルフ型スピーカー3機種を9月に発売する。仕上げはローズナットとピアノ・ブラックを用意。ローズナットの価格は、「CM6 S2」がペア30万円、「CM5 S2」がペア18万円、「CM1 S2」がペア128,000円。組み合わせるスタンド「FSCM S2」も発売される。

左からCM6 S2、CM5 S2、CM1 S
タイプモデル名 ユニット仕上げ価格
ブックシェルフ型CM6 S2ツイータ:25mm径
※ツイータ・オン・トップ
バス:165mm径
ピアノ・ブラックペア330,000円
ローズナットペア300,000円
CM5 S2ツイータ:25mm径
バス:165mm径
ピアノ・ブラックペア200,000円
ローズナットペア180,000円
CM1 S2ツイータ:25mm径
バス:130mm径
ピアノ・ブラックペア140,000円
ローズナットペア128,000円
スタンドFSCM S2ブラックペア75,000円
ローズナットペア75,000円

 新しいCMシリーズは、フロア型やセンタースピーカーも用意している。ブックシェルフ型も含め、各モデルの詳しい仕様は別記事で紹介している。ここでは、ブックシェルフの概要を説明すると共に、発表会での試聴レポートをお送りする。

 いずれのモデルも、新開発のダブルドームタイプのツイータを採用。筐体との取り付けにおいて、フローティング構造を採用しているのが特徴。「CM6 S2」では、ツイータを筐体の外に出したツイータ・オン・トップ構造を採用している。

左からCM6 S2、CM5 S2、CM1 S

ミッドレンジでも最新の技術を投入

 B&Wのスピーカーは、800シリーズなど、新しいシリーズラインナップが登場する場合、シリーズの全機種が一挙に登場する事が多い。しかし、CMシリーズに関しては、2006年にブックシェルフ型の「CM1」が1機種のみ登場。当初はこれ1モデルのみとなる予定だったが、高い評価を受け、トールボーイなども追加されていき、CMシリーズとしてモデル数が拡充されたという経緯がある。

 そのため、CMシリーズは最初に登場したモデルと、昨年発売されたCM10など、新しい機種の間には、6年、7年といった時間の開きがある。そのため、同じシリーズながら、採用されている技術が異なっていた。そこで、「発売から1年経過していないCM10も含めて、全てのモデルを一新する事で、全モデルのテクニカルグレードも一新させたシリーズ」(マランツ音質担当マネージャー 澤田龍一氏)となる。

 なお、海外ではサブウーファもリニューアルされているが、国内導入の予定は無い。澤田氏は、「外観が少し変わっただけで、中身は何も変わっていないため」だという。

CM6 S2
左からCM5 S2、CM1 S

 CM S2の主な特徴は、ツイータの振動板の強度をアップするため、ダブルドームタイプとした事。さらにツイータユニットとエンクロージャの間に合成ゲルを使ったリングを配置。ユニットの振動がエンクロージャに伝搬するのを防いでいる。

左が「CM1 S2」。シルバーリングを外した写真だが、合成ゲルにユニットが取り付けられているのがわかる。右が従来のCM1

 ウーファの振動板にはウォーブン・ケブラーコーンを採用。中央にマッシュルームのような形の防振プラグを装備し、これがボイスコイルボビンと内部でフィット。スムーズな高域レスポンスと、ツイータへのクロスオーバーにおけるカラーレーションの少なさを実現するとしている。

 注目は、従来モデルからのブラッシュアップではなく、完全新規モデルとなる「CM6 S2」。800シリーズと同様に、ツイータユニットをエンクロージャの外に設置した「ツイーター・オン・トップ」仕様を採用。放射した高域が、エンクロージャで回折するのを防ぎ、空間表現能力を高めている。

 各モデル、内蔵するネットワークのパーツや、内部配線など、細かな部分もグレードアップ。スピーカーターミナルの仕上げも、試聴を通じて選ばれたニッケルメッキ仕上げとなる。

マランツ音質担当マネージャー 澤田龍一氏
発表会の冒頭、挨拶するディーアンドエムホールディングスのConsumer Strategic Business Unitのプレジデント、ティム・ベイリー氏

音を聴いてみる

 マランツの試聴室において、従来モデルのCM5、新モデルのCM5 S2、そしてCM5 S2と構成パーツに共通点が多いが、ツイータがエンクロージャの外に搭載されたCM6 S2を聴き比べた。

マランツで開発に使われている試聴室
DACにはUSB DAC/ヘッドフォンアンプ「HD-DAC1」を使用
CM6 S2

 CM5はもともと完成度が高いスピーカーだ。しかし、スタンドにCM5 S2を設置し、音を出すと、新モデルのサウンドが大幅に進化しているのがわかる。すぐに気づくのは音場の描写能力で、CM5もブックシェルフならではの広い音場を展開していたが、CM5 S2では広さがさらに拡大すると共に、奥行き方向がグッと深く、立体的になる。そこに定位する音像の輪郭もクリアで安定している。

 音自体も変わった。CM5の中高域には、若干硬さというか、硬質な響きが感じられたが、CM5 S2ではそのような癖が無くなり、ナチュラルなサウンドになる。ヴォーカルの人の声で違いが良く分かる。聴いていて少し緊張するCM5に対し、CM5 S2は滑らかで、ゆったりと聴き入れる音だ。800シリーズなど、上位機種の“自然さ”に近づいたと感じる。

 ここからさらに、CM6 S2に変更すると、音場がさらに深く、その場に定位する音像の立体感が増す。音色はCM5 S2とほぼ同じだが、雑味が少なくなり、音の細かなディテールも聴き取りやすい。ツイータの搭載位置の違いでも、音は着実にグレードアップする事が確認できた。

CM5
CM5 S2
CM6 S2
モデル名CM6 S2CM5 S2CM1 S2
ユニットツイータ:25mm径
※ツイータ・オン・トップ
バス:165mm径
ツイータ:25mm径
バス:165mm径
ツイータ:25mm径
バス:130mm径
再生周波数帯域45Hz~50kHz(-6dB)
クロスオーバー4kHz
出力音圧レベル88dB(2.83V/1m)84dB(2.83V/1m)
インピーダンス
推奨パワーアンプ出力30~120W30~100W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
200×301×403mm200×301×340mm165×276×280mm
重量8.9kg8.9kg6.7kg

(山崎健太郎)