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ヤマハ、11万円でAtmos対応の「RX-A850」など中級AVアンプ2機種
(2015/6/16 13:00)
ヤマハは、Dolby Atmosに対応したAVアンプ「RX-A850」と、7.1chのミドルクラスモデル「RX-V779」を発売する。発売日と価格は、「RX-A850」が8月上旬で110,000円、「RX-V779」が7月中旬で96,000円。「RX-A850」はAVENTAGEシリーズに位置づけられている。カラーはA850がチタン、V779がブラック。
どちらも全チャンネルディスクリート構成で、最大出力は160W×7ch(6Ω)で共通。従来機種との違いは、A850がDolby Atmosに対応した事。RX-V779はドルビーTrue HDなどのHDオーディオまでの対応となる。さらに、どちらのモデルもHDMI入力がHDCP 2.2に対応、4K/60p映像のパススルー出力ができ、4Kアップスケーリングも可能。Bluetoothレシーバも内蔵、ネットワーク音楽再生機能も強化されている。
HDMIは、V779が6入力、2出力、V850が8入力、2出力を搭載。HDCP 2.2は、どちらのモデルも3入力、2出力でサポートしている。
BluetoothのコーデックはSBCとAACをサポート。プロファイルはA2DP、AVRCPに対応。スマートフォンでの操作に加え、AVアンプ側から選曲・再生操作もでき、HDMI出力での曲名表示にも対応する。
圧縮された音楽データの再生時に、16kHz以上の不足している高音域などを補完するミュージックエンハンサー機能を搭載。この機能はBluetooth再生時にも利用できる。
USB端子に接続したUSBメモリ内からの音楽再生に加え、EthernetとIEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能を搭載し、DLNAを使ったネットワーク経由での再生も可能。WAV/FLAC/AIFFの192kHz/24bitまでのハイレゾファイル再生も可能。DSD 2.8/5.6MHzのファイルも再生できる。従来モデルはAIFFやDSDには対応していなかった。
USB端子も備えており、USB接続したiPhoneなどからデジタル再生する事もできる。AirPlayやネットラジオのvTunerにも対応する。スマートフォン/タブレット用アプリの「AV CONTROLLER」からのワイヤレス操作も可能。
ネットワーク、USB、Bluetooth再生で利用するネットワークモジュールも刷新。高精細、ロージッタのクロックを導入する事で、ノイズレベルを約10%低減させた。
シネマDSPは、“高さ”方向の音場データを加え、立体的なサラウンド空間を実現する「シネマDSP 3Dモード」に対応。音楽再生プログラムでは天井や床の反響音まで計算することで、ホールの空間を再生可能。映画用プログラムでは、映像とサラウンド音場の一体感を高めている。
新たに「バーチャル・サラウンドバックスピーカー」機能を搭載。サラウンドの2chデータを使い、サラウンドバックの音をバーチャルで創り出す技術で、5.1chのスピーカー環境において、6.1ch以上のサラウンドデータを入力した際に利用できる。
従来モデルから踏襲している機能として、5.1chスピーカー環境時にシネマDSPをかけると、サラウンドの仮想音源と、センタースピーカーから出る音のクロストークキャンセルを用いて、フロントの上方向にフロントハイスピーカーをバーチャルで再現する「VPS」(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)も利用可能。
このVPSと、前述のバーチャル・サラウンドバックスピーカー機能を組み合わせて、5.1chスピーカー構成に、例えば7.1chの音声を入力し、背後のサラウンドバックの音と、上方向の音を創成し、9.1chの仮想再生を行なう事もできる。
視聴環境最適化システムの「YPAO-R.S.C.」(Reflected Sound Control)も用意。部屋の壁や床から発生する不規則な初期反射音を、デジタル音場処理技術で補正する。
新たな高音質パーツとしてフィルムに近い素材の新キャパシタを導入。ヤマハとルビコンが共同開発したもので、従来はセラミックを使っていたが、新たな素材の採用により音の明瞭さがアップしたという。
ボリュームICも、ROHMと共同開発した新しいものを採用。低ノイズや高い明瞭度が特徴で、チャンネルセパレーションの向上も果たしたという。
OSDを備えているが、新機種では文字のフォントもHD化。より滑らかな表示を可能としている。
RX-A850はDolby Atmos対応
A850は、オブジェクトベースの新サラウンドフォーマット、Dolby Atmosに対応。ストレートデコードでの再生ができ、プレゼンススピーカーの設置パターンを複数準備。プレゼンススピーカーをフロントスピーカー上方壁に設置する「フロントハイト」、天井に設置する「オーバーヘッド」、天井に音を反射させる「Dolby Enabledスピーカー」の3パターンから、実際のスピーカーレイアウトに合わせて選択できる。
DSPチップを2枚に増やして処理を行なっている。ただし、DSPとの掛け合わせはできない。ドルビーサラウンドモードを選択した際は、Atmosソフトの場合、Atmosで再生。非対応ソフトの場合は、アップミックスして再生することも可能。
電源用ブロックケミコン、オーディオ入力部とDACの電位差を解消して微小信号の再生品位を高めるD.O.P.Gコンセプトなども投入。また、AVENTAGEシリーズであるA850には、筐体の底部に「5番目の脚」も装備する。
HDMI以外の入出力として、A850は音声入力、アナログステレオ×6、光デジタル×2、同軸デジタル×2を用意。V779はアナログステレオ×5、光デジタル×2、同軸デジタル×2。映像入力はA850がコンポジット×5、コンポーネント×2。V779がコンポジット×4、コンポーネント×2。出力はどちらのモデルも、コンポジット×1、コンポーネント×1、サブウーファ用プリアウト、ヘッドフォン出力などを備えている。
消費電力はどちらも360W。外形寸法は、435×382×171mm(幅×奥行き×高さ/A850)、435×381×171mm(幅×奥行き×高さ/V779)。重量は10.6kg。
音を聴いてみる
従来モデルのRX-A840とRX-A850を比較試聴。2chでベーシックな音質を比べてみると、最初に驚くのは音の広がりだ。A850を聴いた後では、A840の音場はこじんまりとしたものに感じてしまう。左右の広がりだけでなく、A850は奥行きも深く、2chでも立体的な音場が楽しめる。刷新したボリュームICによる、SNやセパレーションの改善などが寄与しているようだ。
V779とA850を比較すると、どちらも非常に高い再生の力を備えているが、A850の方がボーカルの質感が滑らかで、抜けも良く感じる。音像の立体感に違いがあるようだ。AVENTAGEシリーズであるA850は、電源、トランス、ブロックケミコンの容量など、細かいパーツもよりハイグレードなものが使われており、そうした工夫が音にも反映されている。