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ウォークマンZX100/A20、ハイレゾ配信コンポ、4K/HDRプロジェクタなどソニー新製品

 ドイツ・ベルリンで4日(現地時間)に開幕する国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2015」から、ソニーブースの展示をレポートする。主な新製品としては、ウォークマンやコンポなどのハイレゾオーディオ、4K液晶テレビ/シアタープロジェクタ、スマートフォンのXperiaなどが出展されている。

湾曲した4K液晶テレビ「S85C」シリーズ」

ウォークマン新モデルや、ハイレゾストリーミング対応コンポ試作機など

 既報の通り、IFAに合わせてソニーはハイレゾ対応ウォークマンを新たに2機種発表。「NW-ZX100HN」は、128GBのストレージメモリを内蔵し、上位機の高音質化機能を装備。Android搭載ではないが、シリーズ内のポジションとしてはZX1の後継に相当する。価格は700ユーロ。

ZX100シリーズ

 また、ハイレゾでシリーズ最小サイズの「A20シリーズ」は、「NW-A25HN」(16GB)と「NW-A27HN」(64GB)の2モデル。価格は、16GBモデルが280ユーロ、64GBが400ユーロ。

 いずれも、デジタルノイズキャンセリングとハイレゾの両方に対応し、両機能に対応したイヤフォンも同梱。より明確に“ハイレゾ対応製品”として打ち出す形となる。

 ZX100は、ZX1からバッテリなどを見直したほか、OS-CONやフィルムコンデンサ、新たな高音質ハンダの使用などで音質面をさらにブラッシュアップ。A20も同様に新たなハンダの使用などで高音質を追求し、従来のA10シリーズからのステップアップしたいユーザーにも訴求する。ハイレゾ音源にイコライザなどの音質処理を加えられるのも大きな特徴と言える。イヤフォン端子は両機種ともアンバランスで、ZX2のようなグランド分離接続には対応しない。

従来のエントリーモデルA10(左)との比較
背面
側面

 A20は、ボタンのクリック感など操作面も見直している。本体カラーはA10よりも鮮やかなイエローやピンクなどを用意し、同色のイヤフォン/ヘッドフォンと組み合わせて提案する「h.ear」(ヒアー)というシリーズとして登場。ハイレゾにこれまで触れてこなかった人にも、気軽に楽しめるプレーヤーとしての利用を図る。

A20シリーズ
従来のA10(右)と本体サイズは同じ
本体とカラーを合わせたヘッドフォンやイヤフォンを組み合わせて気軽にハイレゾを楽しむスタイルを提案

 ハイレゾの据え置き型製品としては、既に西田宗千佳氏本田雅一氏がレポートしている新たなデスクトップオーディオの「CAS-1」が注目だが、その他にも、試作機として展示されていたのが、ハイレゾ対応ストリーミング/ダウンロード配信サービスの「qobuz」に対応した小型コンポ。

「qobuz」に対応した小型コンポの試作機

 展示された試作機の型番は「HAP-S1」となっており、既発売の同製品をベースにしたものと考えられるが、機能としては24bitなどのハイレゾ音源を、qobuzから受信して直接聴けるというもの。スマートフォンなどで配信サービスを受信してコンポに伝送するのではなく、コンポがダイレクトに受信するのがポイント。qobuzは日本では行なわれていないサービスだが、今後のハイレゾ対応ストリーミング配信の広がりに合わせて、製品化を期待したい製品だ。

欧州でサービスを拡大しているqubuz

 ハイレゾ対応オーディオのもう一つ新たな展開としては、カーオーディオの「RSX-GS9」が登場。ブース内のデモカーで試聴も可能となっている。

デモカーに搭載された「RSX-GS9」

 USB入力を備え、DSD 5.6MHzなどの再生が可能。ESS製のDACチップ「ES9018S」を搭載する。圧縮音源などを補間して“ハイレゾ相当”への高音質化を図るDSEE HXも搭載。スマホとのBluetooth接続も可能で、NFCによりワンタッチでペアリングできる。コーデックはSBC/AACに加えLDACもサポートする。内部はアナログ/デジタル部をセパレートしたシャーシ構造で低ノイズ化を徹底している。

スピーカーなどの構成

BRAVIAだけでなく4K SXRDプロジェクタもHDR対応。視聴してみた

 映像関連では、4K対応BRAVIAとして、既発表の湾曲(Curved)モデル「S85C/S80C」や、最薄部4.9mmの薄型モデル「X90C」などが展示。薄型モデルの壁掛けなどもアピールしている。4Kテレビについては、独自の高コントラスト化技術であるX-tended Dynamic Rangeを使ったHDR(ハイダイナミックレンジ)を高画質のキーポイントとして紹介している。

新たな4K対応BRAVIAの「S85C」
最薄部4.9mmの「X90C」
HDR画質比較

 4K解像度のSXRDプロジェクタも新モデルを投入。HDR対応の「VPL-VW520ES」と、リビングシアター向けの「VPL-VW320ES」を発表した。VW520ESの“HDR対応”は、CEA(全米家電協会)が定義した基準をクリアしたものだという。本体カラーは、両モデルともにブラックとプレミアムホワイトの2色を用意し、従来のシアタールーム向けだけでなく、比較的明るい部屋での利用も想定したためだという。

VPL-VW520ES(左)と、VPL-VW320ES(右)

 上位モデルのVW520ESはHDR映像に対応し、オートアイリスによるコントラスト向上機能により、ダイナミックコントラストは300万:1を実現。輝度はVW520ESが1,800ルーメン、VW320ESが1,500ルーメン。

 さらに、フルHDモデルの「VPL-HW65ES」も発表。VW520ESにも採用している高画質エンジンLSIを備えている。オートアイリスによるコントラスト向上にも対応し、ダイナミックコントラストは12万:1。

VPL-VW520ES
VPL-VW320ES
フルHDのVPL-HW65ES
VW520ESでHDRコンテンツを視聴

 プロジェクタのデモコーナーで、VW520ESを使ってHDRコンテンツを視聴した。同社の4Kプレーヤーで再生した「アメイジング・スパイダーマン2」のエレクトロとの戦闘シーンを観た。

 エレクトロから出る電流の光が、HDR映像ではより鮮明になり、夜の暗さとのコントラストが際立つ。明るさだけでなく。夜の暗さも分かりやすく、エレクトロが来ている黒のパーカーと、夜空の黒との違いも良く分かる。夜のシーンでも、黒が浮いているとリアリティが損なわれてしまう場合もあるが、今回の視聴ではしっかり沈んでいることで、より“黒の違い”がよく分かるのもHDRのメリットだと感じられた。

新スマートフォン「Xperia Z5」とSmartBand 2など

 スマートフォンの展示エリアでは、同社会見で平井一夫社長兼CEOが披露した「Xperia Z5」と、「Xperia Z5 Compact」のタッチアンドトライができる。初の4K液晶搭載モデルXperia Z5 Premiumは、デモ機も用意されているが、画質確認用となっている。Xperia Z5/Z5 Compactは10月発売だが、Xperia Z5 Premiumは11月発売。

Xperia Z5
Xperia Z5 Compact
4K液晶のXperia Z5 Premium

 アクセサリとして、8月に海外で発表された「Smartband 2」も展示。スマホへの着信やメッセージなどの受信可能。心拍センサーなどを備え、運動や睡眠サイクルなどのライフログをスマホとの連携で記録可能。“ストレスレベル”をチェックできる。

SmartBand 2
スマホアプリと連携してライフログをとれる

 ウェアラブル端末では、同社クラウドファンディングサイトの「First Flight」で資金を集めた、FeliCa内蔵の腕時計型端末「wena wrist」が展示。時計部分ではなく、バンド部分にFeliCaが内蔵され、その部分をタッチして決済ができる。

FeliCa内蔵の腕時計型端末「wena wrist」。バンド部にFeliCaのロゴも

(中林暁)