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16Lab、指輪型ジェスチャコントローラ「OZON」。ヤマハと提携し音楽制作にも
(2015/10/6 15:46)
ウェアラブルデバイスのソフト開発などを手掛ける16Labは、指輪型ウェアラブルコンピューティングデバイス「OZON」(オズオン)の新型プロトタイプを6日に発表した。予約販売を2015年内を目処に行ない、量産出荷開始は2016年となる見込み。初期ロットはSDKを付属した開発者向けキットとして販売、パートナー企業のヤマハやトヨタが連携製品の開発を検討していることも明らかになった。
詳細な仕様やサイズなどは予約販売開始に合わせて公表される予定。「CEATEC JAPAN 2015」会場(千葉・幕張メッセ、会期は10月7日~10日)で行なわれた記者発表会ではプロトタイプの実機が展示された。7日からの一般公開では、キーテクノロジーステージのアルプス電気ブース(小間番号6K111)において展示される予定。
3次元ジェスチャーコントロールが可能。無接点充電対応、小型/低消費電力化も
OZONは、IoT時代のコントローラの中核を担うことを目的として開発されたデバイス。リング状の筐体内部にCPUやアルプス電気の高精度モーションセンサー、タッチセンサー、Bluetooth/NFCモジュール、バイブレーション用モーターなどを搭載。3次元ジェスチャーコントロールに対応し、OZONを嵌めた指を上下左右に振ったり、鍵を開け閉めするように手を回したり、側面をなぞるといった動きを検知可能。このセンサーを活用した連携アプリなどを他社も含めて充実させていく予定。
OZONにはあらかじめ4つの機能が用意され、テレビやエアコンなど家電製品のリモートコントロール機能、バイブレーションによるメール/メッセンジャーの通知機能、家などの物理的な鍵やパソコン/スマホなどのパスワード入力を置き換える認証機能、NFCを用いた決済機能となる。16Labが開発・最適化したソフトウェアが組み込まれており、レスポンスが良く低遅延なリアルタイム操作を実現している。
バッテリを内蔵し、専用クレードルによる無接点充電に対応。極小サイズの通信機器でワイヤレス給電機能を実装しているのは同社調べで世界初とする。ハード・ソフトの両面で安全性に配慮した設計であることも強調。基幹部品の多くを専用設計品とし、曲がった形状のバッテリやリジッドフレキシブル基板を用いることで、デバイスの焼損事故などが起こりにくいとする。ソフトウェアによる電源管理も強化し、一回の充電で2~3日保つ低消費電力性能をアピールした。
外形は'14年に発表したコンセプトモデルよりもリングの幅を30%小型化。アイコンをあしらっていたLED部分も目立たない大きさまで小さくしている。内径パーツにはチタン材の削り出しを使用し、アレルギー対策も考慮。製品デザインマネジメントは世界三大デザインコンクールなどで実績を残したMTDO Inc.の田子學氏が担当している。サイズのバリエーションは、発表時点では用意されていない。
ヤマハと提携で音楽制作も? 価格は「スマホよりは安く」
16Labでは、OZONとさまざまな製品・サービスの連携を想定した開発体制を構築しており、具体的なパートナー企業としてトヨタ自動車とヤマハの2社を挙げた。どちらもOZONと連携する製品開発の検討がなされており、詳細は公表されなかったものの、ヤマハとは3次元ジェスチャーを用いた音楽制作関連の技術開発を行なうとしている。
ソフトウェア開発においては汎用性のあるプラットフォームを用意し、初期販売分にSDKを同梱。OZONと連携できるデバイス・アプリの開発環境を世界8カ国の開発者に提供する。
OZON本体の開発ではさまざまなパートナーから技術協力を受けており、製品の量産管理や実際の量産は共同開発のアルプス電気が行なう。また、OZONにも搭載されている8mm角(8×8mm)の内蔵モジュールを「世界大手のファッションブランド」に提供。今後、新しいウェアラブルデバイスとして発表されるという。
記者発表会において、16Lab 代表取締役社長の木島晃氏は「(スマホなどの)デバイスのディスプレイの質の高さは必要ではない」と強調。ディスプレイを省き、専用設計パーツを用いて、身につけていることを感じさせないようなウェアラブルデバイスの開発を'13年の会社設立より行なってきたと語った。
OZONの価格は未定だが、専用設計品を数多く採用するため、競合する他社の指輪型デバイスよりは高価格にならざるを得ないとしつつ、「スマートフォンなどの製品より高くはならない。二桁(10万円以上)になることはない」(木島氏)と説明。また、OZONの機能に関する質問の中で、決済機能については「ソニーのFeliCa実装も検討した」と述べ、新型プロトタイプ製品には搭載されなかったが、現行のものよりも小さなアンテナを備えたウェアラブルデバイス向けチップ開発の相談を行なっていたことを明らかにした。また、テレビなどのリモートコントロール機能はBluetoothを使ったもので、一般的に多く採用されている赤外線リモコン方式の家電については、Bluetooth/IR中継器を介することで操作が可能になるとした。