ニュース

AudioQuest、eARCの音質特化HDMIケーブル。7810円からのRCAケーブルも

「VODKA 48 eARC Priority」

ディーアンドエムホールディングスは、AudioQuestより、テレビの音を高音質で楽しめるように、音質を特に強化したHDMIケーブル「VODKA 48 eARC Priority」と、エントリークラスのRCAケーブル「TOWER RCA」を、6月20日に発売する。価格はVODKA 48 eARC Priorityが41,800円/1.5mから、TOWER RCAが7,810円/0.6mから。


    VODKA 48 eARC Priority
  • 1.5m「VOD48G/EARC/1.5M」 41,800円
  • 2m「VOD48G/EARC/2M」 47,300円
  • 3m「VOD48G/EARC/3M」 55,000円

    TOWER RCA
  • TOWER 0.6m 7,810円
  • TOWER 1m 8,580円
  • TOWER 1.5m 9,350円
  • TOWER 2m 10,230円

VODKA 48 eARC Priority

テレビのHDMI出力端子から、サウンドバーやAVアンプといったオーディオ機器のHDMI入力端子へ音声信号を送るARC/eARC接続を念頭に作られたモデル。

「VODKA 48 eARC Priority」パッケージ

ARC/eARCの伝送品質を高めたい場合、高品質HDMIケーブルを導入するのが一般的だが、そういった高品質HDMIケーブルでは、ケーブル内の導体はすべて同じクオリティのものが使われている。

しかし、AudioQuestでは「映像信号などを通すことがないARC/eARC接続は、映像系にも等しく投資されている高品質ケーブルは過剰投資になる」と考えたという。

導体のうち、eARC用のものだけ銀コーティング量が多くなっている

そこでVODKA 48 eARC Priorityでは、映像信号用のA/V導体、音声信号用のeARC導体、グランド導体に同じLGC(長粒銅)単線を使いつつ、導体に施すシルバーコーティングの量を調整。eARC導体は10%、グランド導体は5%、A/V導体は0.5%にすることで、高音質化を図りながら価格を抑えている。

担当者によれば「映像用導体の0.5%コーティングは、Forestというエントリーから2つ目のモデルと同じクオリティです。これにより価格ゾーンを抑えることができました。eARC導体の10%シルバーコーティングは、今発売しているVODKAと同じ。VODKAと同等のグレードですが、映像グレードを下げることで、音質は直下グレードのCarbonより高音質で、それでいて(通常のVODKAより)リーズナブル」とのこと。HDMIケーブル「Vodka48」は1mで58,300円。

カーボンと金属レイヤーを組み合わせた独自のノイズ・ディシペーション(消散)システムも採用。端子部には音声信号の流れを示す矢印マークも施されている。「HDMIケーブルは双方向通信しますが、矢印はオーディオに対する矢印。テレビとアンプを繋ぐ場合、矢印はテレビからアンプに流れるように接続してほしい」とのこと。

音声信号の流れを示す矢印が記されている

TOWER RCA

「TOWER RCA」

“初めてのAudioQuest”に最適だというエントリー向けのRCAケーブル。同社ラインナップではエントリーグレードの「EverGreen」の下に位置するモデルとなる。

「TOWER RCA」パッケージ

導体にはLGC単線を使用し、グランドとシールドを別々の配置で送り出すアシンメトリカル・ダブル・バランス構造を採用した。絶縁体として発泡ポリエチレンも使われているほか、金属そうノイズディシペーション(ノイズ消散)構造も盛り込まれている。

担当者は「オーディオ機器に付属しているケーブルから、わざわざお金を出してケーブルを変えるということが、いかに高い精神的ハードルを超えた大きな一歩であるかを、私たちはよく知っています。ですから、たとえそれがエントリーモデルのケーブルであっても、お客さまにとっては最初のハイエンドケーブルであると、AudioQuestは考えている」と説明。

また「こういった予算の限られた製品こそ、エンジニアの腕の見せどころ。いろいろなものを削ぎ落としていかないと作れませんから。そして、そうやって残ったものは、本当にケーブルにとって必要なものだけです」とした。

音を聴いてみた

両ケーブルを試聴してきたのでインプレッションをお届けする。まずはHDMIケーブル「VODKA 48 eARC Priority」から。

試聴環境は、AVアンプがマランツの「MODEL 40n」、スピーカーがBowers & Wilkins「703 S3」。AVアンプとテレビをつなぐケーブルをVODKA 48 eARC Priorityと、その下のグレードに当たる「Carbon」とで聴き比べた。音源は「使用シチュエーションとして一番多いであろう」ということで、テレビのYouTubeアプリから、「大塚 愛 - プラネタリウム / THE FIRST TAKE」を聴いた。

上が「Carbon」、下が「VODKA 48 eARC Priority」

Carbonは、eARC導体の銀コーティングがVODKA 48 eARC Priorityのちょうど半分となる5%で、価格は29,700円/1mから。まずはCarbonを使って試聴したのだが、この時点でサウンドの解像感が高く、特にピアノは弦が震える様子を耳で捉えられそうなほど。

これを銀コーティング10%のVODKA 48 eARC Priorityに切り替えると、描写力がさらにアップ。動画冒頭、大塚がピアノの前に座るシーンでは、Carbonでは意識できなかった衣装の衣擦れ音までも聞き取れる。

サウンドでは、特に高域がさらに繊細に描かれるようになり、ピアノの音色が響板やボディに響く様子をしっかりと感じ取れる。

ボーカルの定位感もVODKA 48 eARC Priorityのほうがよく、音像が立体的になり、より実在感を感じながら映像を楽しむことができた。今回はAVアンプでの試聴だったが、eARC対応のサウンドバーでも効果を感じられるはずだ。

アンプはマランツ「MODEL 40n」(左)、プレーヤーはマランツ「CD 50n」(右)を使用した

続いてはTOWER RCA。こちらは、デノンのCDプレーヤー「DCD-600NE」に付属している一般的な赤白のRCAケーブルと聴き比べた。試聴環境はアンプとスピーカーは変わらず、MODEL 40n+B&W 703 S3の組み合わせ。プレーヤーはネットワークCDプレーヤー「CD 50n」、音源はCDで「手嶌葵/月のぬくもり」を試聴した。

こちらも違いは明白で、TOWER RCAでは、ピアノとボーカルの分離感が高まり、より立体的に楽曲が描かれる。また手嶌のボーカルも伸びが良くなり、スッと空間に響く様子を感じ取れるようになった。