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エントリーでも効果大! AudioQuestのLANケーブルでネットワークオーディオ音質向上作戦
- 提供:
- ディーアンドエムホールディングス
2025年6月6日 08:00
ネットワークオーディオの音質追求で重要なのはLANケーブル
ネットワークオーディオを楽しむ上で、LANケーブル(Ethernetケーブル)は、欠かせないアクセサリーの1つだ。Wi-Fiで接続できる再生機器も少なくないが、音質面で有利なことから、LANケーブルによる有線接続は今も使われている。
オーディオデータがやり取りされるLANケーブル。普通の家電量販店で販売されているケーブルを使っている方、結構いらっしゃるのではないだろうか。しかし、LANケーブルでネットワークオーディオの音は化ける。適切なケーブルを使用すれば、「今まで自分は何を聴いていたのか」と驚愕するほどに。
今回、AudioQuestのLANケーブルを試す機会に恵まれた筆者。しかも、試すケーブルを選べる。熟考の末、2製品をチョイスした。エントリークラスの「Forest」と上位クラスの「Vodka」だ。さらに、ノイズ除去とジッター対策も兼ねたUSB系のアクセサリー「JitterBug/FMJ」もお借りした。
筆者は、実を言うとAudioQuestの製品は試したことがなかったのだが、公式サイトから「創業45周年企画」のD&Mサウンドマネージャーによる評価を読むと、好みと近そうな点がいくつも見つかる。
「フォーカス表現に優れる」「ハイエンド~普及クラスに至るまで、(音の方向性に)一貫性がある」「バランス良く、癖のない音」などだ。一番共感したのは、創業者ビル・ロウ氏の「ケーブルが音を良くすることはない」という発言。
ケーブルレスは究極の理想だが、無くてはならない存在だ。ならば、いかに信号の損失や変質を避けるかが大事になる。また、様々な要因により信号と一緒に伝送されてしまうノイズへの対策も必要だ。その工夫の結果が、音の変化になって現れる。もし、音が良くなったように感じるなら、機材の性能が良い方向に引き出されたと私自身は捉えるようにしている。
AudioQuestとは
AudioQuestは1980年に創立されたアメリカのブランドだ。源流を辿れば、1972年に創業者ビル・ロウ氏が始めたオーディオ機器販売まで遡る。
高校在学中から大学時代初期、ビル氏はクラスメートのためにオーディオアンプなどを自作し販売していた。売ったお金でレコードを買ったり、中古機器の改良を行なうような音楽とオーディオが好きな青年だったという。大学在学中に、完全予約制の小売り業もスタートしている。
社会に出てしばらくしてメーカーの販売代理人となるが、あまり営業に向いていなかった彼は、再び自宅の一室で完全予約制の店をはじめる。そして、店で特注のケーブルを作ることにした。
1970年代後半、アメリカでオーディオケーブルが音質にとって重要な要素として注目されるようなり、ビル氏もスピーカーケーブルなどの製造・販売を開始。ロサンゼルス地域の販売店が、ビル氏のケーブルを購入してくれるようになり、日本国内でも販売が実現。そして、1980年にビル氏はAudioQuestを設立。現在は、世界74カ国以上で販売されるまでに成長した。
AudioQuestのケーブル類は、ハイエンド機器だけでなく、低価格なオーディオシステムでも大きな改善が得られると謳う。また、エントリークラスのケーブルであっても、もたらす結果の方向性は一貫させるというフィロソフィーも注目に値する。最近ではHDMIケーブルも手掛けており、「損失」を最小限に抑え、「歪み」に対する配慮も加えながら、さらなる進化を続けているブランドだ。
筆者にとってAudioQuestは、USB-DACのイメージがあった。小型DACの「DragonFly」シリーズだ。MQAレンダラー対応のDACとして登場し、まだ選択肢が少なかった時代に貴重な存在だった。関連して、USB-C対応のOTGケーブル「DRAGONTAIL/C」も展開している。
単線にこだわるAudioQuest
AudioQuestのケーブル類だが、オーディオに関して全方位型の品揃えだ。ラインケーブル(アナログインターコネクトケーブル)はもちろん、デジタルケーブルやスピーカーケーブルまで、それぞれに価格幅のあるラインナップが展開され、これからケーブルにこだわりたい方も選びやすい。
アクセサリーは、今回紹介するUSBノイズ対策グッズの他に、RCAなどの空き端子のキャップ、ケーブルインシュレーターをラインナップする。
ケーブル類のテクノロジーで筆者が気になった点は、“単線”へのこだわりだ。一般的な撚り線導体では、表皮効果によって電流が撚り線から撚り線にジャンプして流れてしまい、それが音のザラつき(歪み感など)に繋がるという。そのため、撚り線ではなく単線の導体を一貫して使用しているそうだ。筆者も10年以上前から、他社製の単線導体のラインケーブルやスピーカーケーブルを愛用しており、滲みや雑味、付帯音の無さに信頼を寄せている。
今回試す製品は、LANケーブルのエントリークラスが1つ、ハイエンドから1つ。まず普及価格帯のForest。導体は、0.5%銀コーティングのLGC(長粒状銅)を使用。絶縁体は、ポリエチレン。価格は1.5m 7,590円、3m 10,560円。
最上位製品の1つ下にあたるVodkaは、10%銀コーティングLGCを使用。絶縁体は、同じくポリエチレン。ノイズ対策として、ノイズ消散カーボンベース3層NDSを採用。プラグは、安心のテレガードナー社製だ。価格は1.5m 57,200円、3m 88,000円。
高周波ノイズ対応のノイズ消散システム「NDS」は、ノイズとRFエネルギーを吸収/反射することで、歪みを抑える効果があるという。
筆者が個人的に注目したいのは、絶縁材がポリエチレンということだ。絶縁材に使った際、PVC(ポリ塩化ビニル)より伝送特性に優れるポリエチレンは、音質にとっても有利である。
LANケーブルには方向性があるので、接続の際は留意しよう。プラグ部分に矢印で記されている。双方向の通信が行なわれるLANケーブルであるが、再生するときに音の情報はどの方向で伝送されているかを考えて結線すればよい。ちなみに間違えて結線しても伝送はされる。
USB系アクセサリーの「JitterBug/FMJ (Full Metal Jacket)」は、筐体が金属ケースに刷新されたニューモデル。価格は9,020円。ノートパソコンやNAS、ネットワークプレーヤーのUSBポートに接続することでノイズを低減させ、音質を向上させるというフィルターだ。
内部発生する高周波ノイズを低減し、ストリーミングオーディオのパフォーマンスを向上させる「デュアルディスクリートノイズディシぺーション回路」を搭載。ジッターやパケットエラーも低減させるという。USB入力の間に直列で接続して利用する。
出力部分を覆う蝶番状の「ゴム」部分も高周波を吸収するカーボン素材を使っており、高周波混入防止に貢献する。ゴムふたを閉じた状態で、2台目を別のUSBポートに並列接続すれば、さらに音質が向上するという。
Forestを使ってみる
まずは、リビングのネットワークオーディオでエントリークラスのForestを試す。筆者のリビングはサブシステム的な位置付けであり、ネットワークプレーヤーにあたるAVアンプへ繋ぐケーブルのみオーディオグレードにしているが、それ以外はPC周辺機器コーナーで購入できる汎用品だ。
Forestは2箇所に適用してチェックする。1箇所目は、NASであるSoundgenicとオーディオ用ネットワークスイッチのN8の間。2箇所目はAVアンプとN8の間だ。使用中のLAN経路のノイズ対策アクセサリーやオーディオグレードのLANケーブルは撤去し、一般的なCAT7とCAT8のELECOM製ケーブルで結線。これをデフォルトとした。
リビングのシステム構成を説明しよう。ルーター兼モデムは無線機能をオフにしてネットワークの最上流にある。直下にWi-Fiルーター(アクセスポイントモードで使用)、その配下にネットワークスイッチの「N8」がある。オーディオに関係の無い有線接続は、Wi-FiルーターのLANポートに任せて、N8にはWi-Fiルーターとの接続の他は、Soundgenic(HDD 2TB HGモデル)とヤマハのAVアンプ「RX-V6A」のみだ。なお、Wi-Fi経由で防音スタジオの無線中継機にも繋がっている。無線中継機の先には、もう一台のSoundgenicやネットワークトランスポートなどがある。
手始めに、Soundgenicに繋がっているCAT7のLANケーブルをForestに変更する。
熱帯JAZZ楽団の「SOMOS NOVIOS」。ボーカル入りのラテンジャズだ。一聴して分かるほどに空間が広がった。音像の立体感はアップし、音数の多い曲の中でも個々の楽器が存在感を発揮している。デフォルト時に感じられた高域の雑味は少し残っていた。全体的に音が快活になった印象だ。
Beagle Kickのスローテンポのジャズ「UTAKATA」。CAT7ではドラムやピアノの音像がのっぺりしていて、単調でつまらなかったが、縛りを解かれたように活発になり、生き生きと鳴っている。
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの384kHz/32bit整数録音によるアルバムVISIBLE INVISIBLEより「VISIBLE INVISIBLE」は、アナログシンセのスピード感が向上。瞬発性が上がったように感じるのは、音の前後に滲みがなくなったことが影響していそうだ。低域の密度感がアップ。ベーストラックやドラムのタムはギュッと詰まった中身のある音。スピーカーからの音離れも改善した。
FINAL FANTASY VII REMAKE Orchestral Arrangement Albumから「オープニングメドレー」。コンサートホールで録音した音源はより分かりやすい。ステージが深くなり、本来の奥行きを取り戻した。ストリングスの響きの広がりもホールで味わう音に近くなった。
劇伴も聴いてみる。「サラリーマンが異世界に行ったら四天王になった話」のオリジナルサウンドトラックより「約束の鼓動」。ピアノとギター、ストリングスによる本サントラ屈指の名曲。ハイレゾ版はミックスの仕上がりも秀逸だ。ピアノの1音1音がより輪郭の細部を感じさせて、まるで掴めそう。CAT7で平面的だった音は打ち込みとまでは言わないが、比べてみるとずいぶん味気ない。
元の汎用品のケーブルに戻すと、輪郭は滲み、中高域の雑味が目立つ。ピリピリと耳に痛く、一度よい音(本来の音)を聴くと、前の音には戻れないと思った。
今度は、N8からAVアンプまでのLANケーブルをForestに交換する。リー・リトナーのA Twist Of Ritから「Wild Rice」。ベースやバスドラの密度感がアップ。音像は立体的に、スピーカーからの音離れは改善した。中高域の雑味は大幅に減少する。
熱帯JAZZ楽団の「SOMOS NOVIOS」を聴くと、音の変化の方向性はN8とSoundgenic間を交換したときと同様であることが分かった。どちらの効果が大きいかは、正直なんとも言えなかった。言語化も難しいほどのわずかな違いしかない。環境によっても変わるだろうから、ここぞと思う箇所をいくつか試してみて、判断するのがよいだろう。
「UTAKATA」も効果のほどは同じ。やはり、元々のLANケーブルがほぼ同等のグレードであれば、どこに適用するかは音の好みで決めて良さそうだ。
最後にN8とSoundgenic、N8とAVアンプ、それぞれの間のケーブルをForestに交換する。
若干残っていた高域の雑味は、ほとんど気にならないレベルまで減少した。さらに、聴感上のS/Nまで上がっている。トランジェントは正確さを増し、演奏の生らしさが向上。音場がよりクリアに清浄され、響きの余韻に汚れがない。オケコンの音源を聴いてもノーストレスだ。
ただ、一点だけ気付いたことは音が明るい点だ。必要以上に音がキラキラしていて、普段聴いているナチュラルなバランスとは乖離している。中高域に渡ってその傾向は現れており、一本だけ変えたときも「これは個性?」と感じていたのだが、2本とも交換して感覚は確かと分かった。全帯域が生き生きとしたようにも感じられるので、人によってはとても快活なサウンドがストライクゾーンにハマるかもしれない。
ハイグレードのVodkaも試す
次は、リファレンスシステムのある防音スタジオで、ハイグレードのVodkaも含めてチェックしていく。
既存のオーディオグレードのLANケーブルとLAN経路のノイズ除去のアクセサリーもいったん外す。AudioQuestにする経路に直接関わらないノイズ対策として、N8と無線中継機を繋ぐ経路にLAN iSilencerを挿入。Wi-Fi中継機からのノイズ対策を行なった。
まず、デフォルトの状態として、Soundgenic(SSD 1TB版)とN8、ネットワークトランスポートのDST-LacertaとN8の間のLANケーブルをForestで統一した。
音像の粒立ち感に優れ、立体感も適度に出ている。高域の雑味は、無くはないがあまり気にならない。音の明るさは、リビングに比べて緩和されたように聴こえたが、多少中高域がブライトなのは否定出来ない。
Vodkaを手に取って観察する。ハイエンド製品だけあって重みがあり、ケーブルも堅めだ。被覆が堅いのは機械的安定性を重視した結果だという。
まず、N8からSoundgenicの経路をForestからVodkaに取り替えた。ゼノブレイド3のオリジナルサウンドトラックから「A Step Away」。ストリングスとアコギの優しい音色が印象的なバラードだ。
まず、聴感上のS/Nが向上した。背景が明らかに静かになっている。音像にまとわりつくモヤがベールを脱ぐように剥がれ、弱音が聞こえやすく、アコギの輪郭は明瞭に生楽器らしさを高めている。やや平面的だったストリングスが分厚さを感じさせるようになって、質感も穏やかに。
Sara Weedaのボーカルにはうるおいが生まれ、生命が宿る。Forestで感じていた高域の明るさが緩和されたのも好印象だ。
次は、N8からDST-Lacertaの経路をVodkaに取り替える。Soundgenicまでの経路はForestに戻した。変化の方向性は似たようなものだったが、ちょっと音像の汚れが気になった。高域の雑味感とは違う。ただ、先ほどよりクリーンではない。聴感上のS/Nはわずかに減衰した。
筆者の環境ではNASの経路よりも、ネットワークトランスポートの経路で使った方が効果的なようだった。とっておきの1本をどこに投入するかは、やはり聴いて判断するのが適当だろう。
最後に、N8からSoundgenicまでの経路もVodkaに取り替える。2本のVodkaが使用されたネットワークオーディオの音はどこまで化けるのだろうか。
まず、「N8からSoundgenicの経路」を交換したときの効果がさらに高まった。まだ残っていた高域の明るさも完全消滅して、ナチュラルバランスに。「N8からDST-Lacertaの経路」を交換したときに感じた音像の汚れも一掃され、聴感上のS/Nは「N8からSoundgenicの経路」単独で交換したときよりさらに向上している。
ボーカルのうるおいや空気感もさらにアップ。ストリングスはより壮大に、シャープで滑らかな質感で音楽的だ。なんと言っても、高域の雑味が完全消滅したのは大きい。
というのも、Forestから一本だけVodkaに交換したとき、相当に改善されたので、雑味は無くなったのかと思っていたら、2本のVodkaを使用することで、若干だが残滓があったことに気付いたのだ。想定していなかった改善効果によって、前の環境のウィークポイントに気付かされる。オーディオアクセサリーあるあるだ。
Forestだけでチェックした音源をVodkaだけで揃えた状態で比較も行なった。「VISIBLE INVISIBLE」は、シンセ音の輪郭が本来の形になったように思う。鋭くて無駄な膨張がなく、トランジェントは向上し、モンスターフォーマットも相まって“電気の音”が真に迫ってきた。
ボーカル(コーラス)の人間っぽさも上がった。時間解像度が上がったためだろう。エフェクトでだいぶ加工されているのだが、それでも生声感が向上するのは驚きだ。低域の密度は大幅に上がっている。ただし、帯域バランスまでは変わらないので安心だ。
劇伴「約束の鼓動」は、クリーンなストリングスとアコギが心地よい。Forestで感じていたブライトさが無くなって、癖のない本来の楽器の音が聴けている実感がある。暖かい質感もわずかに乗ってきており、DALIのRUBIKORE2の良さを引き出していると思う。
光アイソレーションでもLANケーブルが重要
さて、LANケーブル本体のレビューはここまでとして、ちょっとおまけの検証をやってみよう。光アイソレーションを一気に身近にしたトップウイングの「OPT ISO BOX」。普段は音楽をBGM代わりに聴くことが多いリビングで常用しているのだが、防音スタジオに移設。LANケーブルの違いで音がどれだけ変わるのか試してみることにした。
光アイソレーションは導入しても前後を繋ぐLANケーブルは普通の汎用品という場合、LANケーブルにもこだわってみたらどうなるのか、気になる方もいるだろう。本来は1本で済む経路に2本使うことから、普及価格帯のForestを2本使ってテスト。SoundgenicとN8の間は変わらずVodkaとした。
まず、OPT ISO BOXの前後を普通のCAT7やCAT8のLANケーブルで結線した。OPT ISO BOXの通信速度は、最も音質が好みの10Mbpsに設定。DC電源には、ノイズ対策としてFX-AUDIO-のPetit Susieを使用しOPT ISO BOXの効果を高めている。いくつかの楽曲を聴いて、デフォルトの音をチェック。
手始めにOPT ISO BOXの上流(DATAと書いてある側)だけForestに交換する。おいおい、ちょっと待ってくれ。光アイソレーションだから、ノイズの影響は下流に影響しないはずなのに、音が化けすぎだ。
本田雅人のILLUSIONから「JIAO !!!」。ドラムのシンバルやハイハットは雑味が大幅に改善。耳障りなピークがほぼなくなった。タムやスネアは、音像の不自然な膨張がなくなったことで、フォーカスがより定まった。
「UTAKATA」は、リバーブの透明度が上がった。アコースティックベースは密度感があり、生楽器の質感もより伝わってくる。
「A Step Away」は、ボーカルの芯の部分とリバーブとの描き分けが明確になった。それまでは、生声の成分とリバーブが混濁していたのでミックスの意図が正確に表現されたということだろう。ストリングスは一層生演奏ならではの立体的な厚みが感じられる。
上流のLANケーブルを変えるだけでここまで激変するとは、ちょっと予想外で気持ちも熱くなる。これだからオーディオは面白い。
今度は下流の経路のみForestに交換する。音の傾向は上流のときと同じだった。違いとしては、サウンドステージは若干上流を替えたときより深くなり、前後感の描写は豊かになったくらい。
下流の方がソース機器に近いので、大きな効果があると予想していたら、意外にもそれほど大きな差は無い。どちらが効果的かと聞かれたら下流と答えるが、上流も下流も同じグレードのLANケーブルを使っていたら、それぞれ試して音の好みで選んでもいいと思う。
より究極を追求するなら、上流も下流もオーディオグレードに交換だ。2本のForestを使用して同じ楽曲を聴いてみた。音像の解像感がもう一段高まった。
耳障りな高域の雑味はまったく感じられなくなり、ピアノやドラム、ストリングスに至るまで、温度感のあるサウンドに。また、聴感上のS/Nが高まった。これは上流だけ・下流だけのときは、感じなかった効果だ。
いやはや、改めて痛感したが、光アイソレーションを導入していてもLANケーブルにはこだわった方がいい。予算が厳しい方は、手始めに上流・下流、どちらか一方でもいい。劇的な音質改善が期待できる。
JitterBugも試す
最後に、USB系のノイズ対策アクセサリー「JitterBug/FMJ」も使ってみよう。LANケーブルはVodkaを2本使用し、いったんOPT ISO BOXは取り外した。
ネットワークトランスポートからUSB-DACである「NEO iDSD」の間にJitterBug/FMJを挿入した。「A Step Away」を聴いたところ、ボーカルの音像は芯がクッキリとして、リバーブとの描き分けが明瞭に。リバーブの余韻は階調豊かにクリーンに聴かせる。特定のピークも作らないので、帯域的な癖もない。ただ、音が若干ゆったりする印象だった。
JitterBug/FMJは、ゴムの蓋を閉めて空きUSBポートに使用することで、飛び込みノイズの対策としても使用できる。DST-Lacertaの空きUSBポートに使ってみたら、変化幅は小さいものの、ピアノなどの響きの曇りが軽減された。
まずはForestから、音の変化を楽しもう
使用する箇所が多く、長さもいろんなタイプを必要とするため、ついつい後回しにしがちなLANケーブル。しかし、一般的な通信用のLANケーブルでは、ネットワークオーディオ機器本来の性能を引き出し切れないことを改めて確かめることが出来た。
ネットワークプレーヤーやネットワークスイッチ、NASを買い換えるのもいいけれど、その機器の本来の実力、出し切れているか今一度振り返ってみてほしい。
もちろん、電源ノイズ対策やLAN経由でのノイズ対策、振動対策も大切だ。ネットワークオーディオの音質改善は、積み重ねが肝要だからだ。
Forestのようなエントリークラスのケーブルでも大きな効果が実感できることは、これから試す人にはポジティブな話だと思う。AudioQuestの“エントリークラスでも確かな効果を実感できる”というアピールポイントは本当であった。まずはここぞという1箇所に1本、使ってみてほしい。