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大友克洋 総監督「MEMORIES」4KフィルムスキャンでUHD BD化。リバイバル上映決定
2025年10月2日 13:20
1995年の公開から30周年を迎える、大友克洋が原作・製作総指揮・総監督を務めた映画「MEMORIES」が、4Kフィルムスキャンによりリマスター、豪華仕様の4K UHD BDで12月24日に発売される。商品名は「MEMORIES 4Kリマスターセット」。UHD BDとBDがセットになった特装限定版で、価格は15,400円。品番はBCQA-0023。発売・販売元はバンダイナムコフィルムワークス。
EPISODE 1「彼女の想いで」、EPISODE 2「最臭兵器」、EPISODE 3「大砲の街」で構成される作品。UHD BDには特典として、「彼女の想いで」のレイアウトコンテや大ボリュームのアフレコ台本集も封入する。
UHD BDとBDのどちらにも、本編約113分と特典映像(劇場予告)約1分を収録。UHD BDはHDR、Dolby TrueHD 5.1ch、リニアPCMサラウンドで収録する。
ショップ独自の特典として、A-on STOREではビジュアルシート、Amazonでは有償特典キャラファイングラフ、無償特典ビジュアルシート5枚セット、ヨドバシカメラではポストカードを用意する。
公開30周年を記念し、大友克洋新規描き下ろしイラストとコメントも到着した。
全国リバイバル上映決定
Filmarks主催による、4Kデジタルリマスター版の全国リバイバル上映も決定。11月28日より、2週間限定での全国上映となる。なお、4K素材での上映だが、劇場やスクリーンによって2K上映となる場合があるとのこと。
入場者特典の配布やさまざまな企画を実施予定。詳細は後日発表される。公開劇場は以下の通り。チケット料金は1,600円均一。
- [北海道]札幌シネマフロンティア、サツゲキ
- [青森]イオンシネマ北上
- [宮城]MOVIX仙台、イオンシネマ石巻
- [茨城]MOVIXつくば
- [栃木]MOVIX宇都宮
- [群馬]イオンシネマ高崎、MOVIX伊勢崎
- [埼玉]MOVIXさいたま、イオンシネマ川口、シネマサンシャイン三郷、深谷シネマ(11/30~)
- [千葉]イオンシネマ幕張新都心、MOVIX柏の葉、キネマ旬報シアター(11/29~)
- [東京]新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ、MOVIX亀有、MOVIX昭島、イオンシネマ板橋、イオンシネマ シアタス調布、アップリンク吉祥寺、Stranger、キネカ大森
- [神奈川]ムービル、チネチッタ、イオンシネマ港北ニュータウン、イオンシネマみなとみらい、イオンシネマ新百合ヶ丘、小田原コロナシネマワールド
- [新潟]高田世界館(日程調整中)
- [富山]ほとり座
- [石川]イオンシネマ金沢フォーラス
- [長野]長野相生座・ロキシー、イオンシネマ松本
- [岐阜]イオンシネマ土岐
- [静岡]シネマサンシャイン沼津
- [愛知]ミッドランドスクエア シネマ、ミッドランドシネマ名古屋空港、イオンシネマ名古屋茶屋、安城コロナシネマワールド、ユナイテッド・シネマ豊橋18、伏見ミリオン座
- [京都]MOVIX京都、イオンシネマ京都桂川、出町座
- [大阪]なんばパークスシネマ、テアトル梅田、イオンシネマ シアタス心斎橋、イオンシネマ四條畷
- [兵庫]kino cinéma神戸国際
- [鳥取]MOVIX日吉津
- [岡山]イオンシネマ岡山
- [広島]MOVIX広島駅
- [山口]MOVIX周南
- [徳島]イオンシネマ徳島
- [香川]イオンシネマ宇多津
- [福岡]KBCシネマ、ローソン・ユナイテッドシネマ小倉
- [佐賀]イオンシネマ佐賀大和
- [長崎]シネマボックス太陽
- [熊本]熊本ピカデリー
- [宮崎]宮崎キネマ館
オムニバスで味わう異色の映像体験
大友克洋が製作総指揮と総監督をつとめた『MEMORIES(メモリーズ)』(95)は、森本晃司、岡村天斎、大友克洋が監督する3つの濃厚な中短編を集めたオムニバス形式の劇場アニメである。
「EPISODE 1 彼女の想いで(Magnetic Rose)」は、救難信号を発信する宇宙ステーションで繰り広げられるサイコサスペンスだ。ロココ風建築のクラシックな空間にオペラ歌手の妄執が取りつき、虚実入り乱れた怪事件を起こす。監督デビュー前の今敏が脚本・設定を担当し、芸術的な空間と瓦礫などの対比を細密に描写している。
菅野よう子の壮大なクラシック音楽も、虚実入り混じった幻惑感をゴージャスに盛りあげる。監督は森本晃司。
「EPISODE 2最臭兵器(Stink Bomb)」は、一転してドタバタ感あふれるブラックコメディとなる。偶然精製された実験薬を飲んでしまった研究員は、身体から人を死に至らしめる臭気を発生する生物兵器となってしまった。
真実を知らされず実験薬を東京へ輸送すべく奮闘するサラリーマンと、特殊車両、艦艇、航空機類など全部隊を出動させる自衛隊の物量戦との落差が、奇妙な笑いを誘う。監督は岡村天斎。
「EPISODE 3大砲の街(Cannon Fodder)」は原作・監督・脚本・キャラクター原案・美術すべてを大友克洋が手がけた全編のクライマックスで、20分を「ワンシーン・ワンカット」で描きぬく異色作だ。果てしなき砲弾戦を続ける城塞都市に住む労働階級の少年と父親を追いかけ始めたカメラは、どんなに移動してもカットを割らず、都市全景や砲撃ですべてが回るディストピアの異様さと滑稽さを活写していく。
アナログ時代の長回しは困難だったが、「技術設計」でクレジットされた片渕須直が撮影可能な背景とセルに展開し、奇異な連続性を実現した。一部除きデジタル技法ではないため、連綿と続く「手描きの触感」は独特の没入感を醸し出す。別世界の「記憶(メモリー)」を垣間見たような、3種の不思議な没入感が体験できるオムニバス映画なのである。