ルネサス、業界初の携帯電話向け地デジフルセグ対応LSI

-フルHD映像を省電力で処理。SDカードにAVC録画可能


4月サンプル出荷開始

サンプル価格:2,800~3,500円


 ルネサス テクノロジは15日、携帯電話向けアプリケーションプロセッサで業界初という、地上デジタルテレビ放送のフルセグ視聴/録画に対応した「SH-Mobile MT1」(SH73704)を発表。4月からサンプル出荷を行なう。サンプル価格はSiP/407ピンBGAが3,500円で、単品/449ピンBGAが2,800円(いずれも1万個ロット時)。

 携帯電話向けの動画/音声アプリケーション処理用LSI「SH-Mobileシリーズ」の新製品。同社は既にワンセグ対応や、フルHDビデオ録画/再生に対応した製品を量産しているが、フルセグの視聴/録画を可能にするために「SH-Mobile MT1」を開発した。携帯電話端末や、モバイル民生機器、車載機器などでの利用を想定している。

 高性能/低消費電力を特徴とする動画処理用のVPU(Video Processing Unit)を採用。このVPUはフルHD/30fps/40Mbpsの動画エンコード/デコードを、CPUを使ったミドルウェア処理に比べ低消費電力で可能。VPUでの動画処理時にCPUは他の処理を行なえ、動作周波数を低く抑えられる。

 また、地上デジタル放送のIP変換や動画用のノイズリダクション、高画質フィルタ、スケーリング処理をハードウェア化することで、さらなる低消費電力を追求している。D1サイズのMPEG-4 AVC/H.264エンコードに対応し、視聴番組をリアルタイムでSDカードなどに保存可能。著作権保護対応のSDカードインターフェイスも備えている。音声はAACの5.1ch/2chに対応し、ハードウェアによるダウンミックスも可能。

 そのほかにも、フルセグ対応チューナや、B-CASカードを接続可能なSIMカードといった、視聴に必要な周辺インターフェイスを搭載。CPUコアは「SH-4A」で、最大動作周波数500MHz。

 1,500万画素のカメラモジュールを直接接続可能なカメラインターフェイスも搭載。ワンセグ向けにBT.709形式のYUVデータにも対応し、画質を劣化させることなくテレビ放送の映像をJPEGで切り出せる。24bit対応の液晶パネル対応コントローラや、サウンドインターフェイスなどの携帯電話に必要な周辺機能を揃えている。

 パッケージは2種類。SiP/407ピンBGAは、新チップとMobile SDRAMを1パッケージ化したもの。小型化も図れるため、バッテリ駆動の携帯電話や携帯機器向けとしている。本体のみ/449ピンBGAのパッケージは、車載機器など、メモリを外付けするシステム向けに提供する。

 さらに、地デジ(ISDB-T)視聴に必要となるMPEG-2 TSの多重分離処理や映像/音声/字幕デコード機能や、「SH-Mobile MT1」が搭載する機能のリアルタイム制御ドライバまでをソフトウェアパッケージで提供。このソフトウェアにより、AV同期や、BMLブラウザなどのデジタルテレビ用アプリケーションを容易に構築可能としている。同ソフトは、経済産業省が推進する次世代情報家電向け標準API仕様にも準拠している。


(2010年 3月 15日)

[AV Watch編集部 中林暁]