三菱、2010年夏に75型3Dレーザーテレビ国内投入

-3D液晶は秋予定。3D+BD+HDD内蔵の“全部入り”


米国向けに既に販売されている75型レーザーテレビを参考展示

7月2日より順次発売

標準価格:オープンプライス

 三菱電機は31日、液晶テレビ「REAL」の新モデルとして、500GBのHDDと記録型のBlu-rayドライブの両方を搭載した「BHR」シリーズ4機種を発表。その発表会の中で、年内に75型の3Dレーザーテレビを国内投入し、3D対応液晶テレビも秋口頃に発売する計画を明らかにした。液晶はBD+HDDレコーダ機能も内蔵するオールインワンモデルになるという。

 「BHR」シリーズは7月2日より順次発売する。サイズは26~46型まで。価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は下表の通り。 

サイズモデル名パネル解像度特徴発売日店頭予想価格
46型LCD-46BHR4001,920×1,080ドットLEDバックライト
(エッジライト型)
グレアパネル
500GB HDD
記録型BDドライブ
7月2日35万円前後
40型LCD-40BHR40025万円前後
32型LCD-32BHR4001,366×768ドットCCFLバックライト
ノングレアパネル
500GB HDD
記録型BDドライブ
7月29日17万円前後
26型LCD-26BHR40014万円前後

 

新しいBHRシリーズ4機種を発表した

 パネル解像度は40、46型がフルHDで、エッジライト型のLEDバックライトを採用。倍速駆動の「倍速クリアピクチャー」や「なめらかピクチャー」にも対応する。26と32型は1,366×768ドットのパネルを採用し、バックライトはCCFL。いずれもHDDを従来モデルの320GBから500GBに増量。レコーダ内蔵を意識させないすっきりとした新デザインが特徴で、前面ディスクトレイを採用。BDだけでなく、DVDへのAVCREC規格を使ったハイビジョン録画にも対応する。

 なお、「BHR」シリーズの詳細については別記事で紹介する。



■ 3Dテレビについて

代表執行役執行役副社長で、リビング・デジタルメディア事業本部の中村一幸事業本部長
 代表執行役執行役副社長で、リビング・デジタルメディア事業本部の中村一幸事業本部長は2009年度決算を振り返りながら、「量産系事業を中心に市場が回復し、AV事業はエコポイント効果もあり、売上は台数ベースで前年の2倍強、損益は黒字になった」と報告。その上で、2010年度の家電事業については「当社の顔としてさらに事業強化していく」と語り、AV事業の推進方針と取り組みを説明した。

 具体的な施策は3つで、1つは今回発表した「BHR」シリーズのような『録画テレビのさらなる強化』で、商品ラインナップを拡充、商品スペックを充実させる。2点目は『3D事業への取組強化』で、2010年夏にレーザーテレビを国内発売、続けて、確定はしていないものの、秋口には3D対応の液晶テレビも国内投入する考えを示した。3点目はホテル、病院、学校などのニーズに合わせた商品提案となる。

 京都製作所の阿部正治所長によれば、同社は2007年夏から米国向けに3D対応テレビを発売済みで、既に2年半の販売実績がある。基本はDLP方式のリアプロテレビで、2007年は通常のランプを採用した57/65/73型を発売。2008年にレーザー光源を採用したDLPリアプロを「レーザーテレビ」として65型モデルを投入している。


レーザー光源を使うことで、高い色再現性を実現できるという
 会場には参考展示として、米国今年発売されたばかりの75型レーザーテレビ「L75-A91」が用意された。

 最大の特徴はリアプロの光源に、3原色のレーザーを採用している事。広色域で色再現性が高いのが特徴で、特に赤の発色に優れるという。3D表示はフレームシーケンシャルタイプで、アクティブシャッター型の3Dメガネを通して鑑賞。多くの映画館で採用されているのと同じDLP方式の高速応答性を活かし、クロストークの少ない、安定した3D表示ができるとしている。3D表示時の輝度やDLPの詳細などは明らかにされていない。


82型。こちらは通常のランプを光源としている
 なお、米国では通常のランプを使った82型(WD-82737)も発売しており、発表会場にも展示されたが、国内での投入予定は現在のところ無く、75型のレーザーテレビからになるという。米国での価格は82型が40万円台、75型がレーザーテレビであるためそれよりも高価な60万円程度となっているが、日本での価格は未定。

 また、3D対応液晶テレビも試作第1号というモデルを参考展示。240Hz駆動のパネルを採用しており、バックライトは同日発表された「BHR」シリーズと同じエッジライトの上下配置となる。こちらも240Hz駆動を活かし、フレームシーケンシャル方式で3D表示を実現。アクティブシャッター型の3Dメガネを通して鑑賞する。

 3D液晶テレビは現在のBHRシリーズの後継・高級モデルとして展開する予定で、HDDレコーダ機能、BDレコーダ機能も内蔵し、3D+HDD+BDのオールインワンモデルとして展開。BDプレーヤー機能はBlu-ray 3Dソフトの再生にも対応する予定だという。

3Dメガネは他社製のものをデモで使用。デザインからパナソニックのものと思われる。「各社とのメガネの互換性もクリアしていきたい」という3D液晶テレビの試作第1号、サイズは55型アクティブシャッターメガネ用の同期信号送信ユニット

 阿部所長は2つの3Dテレビの訴求ポイントとして、レーザーテレビでは「大画面・高画質」を、液晶テレビはBD+HDDレコーダ機能も内蔵した「オールインワン」をキーワードとして訴求していく考えを説明。

 中村事業本部長は「北米での当社の3Dテレビは今年度中に100万台を超える勢い」と説明した上で、「3Dテレビの絶対条件は大画面サイズ。これを実現するために、国内最初の75型3Dレーザーテレビを投入したい」と意気込みを語った。


■ 新BHRシリーズについて

京都製作所の阿部正治所長
 新しい「BHR」シリーズ4機種について阿部所長は、国内の薄型テレビにおける、録画テレビの比率が2007年度の5%から、2010年度には25%になるという見込みを紹介。薄型テレビ購入予定者の44%が録画機能付を検討しているという調査結果も交え、2009年10月に投入した初代BHRの先進性を強調。

 新モデルで26~46型へとラインナップを拡充することで「リビングから寝室まで選べる豊富な画面サイズになった」という。また、ディスクトレイをディスプレイ部に格納した新デザインや、40/46型に採用したLEDバックライト使用の「DIAMOND Panel」の白浮きを抑えた映像表現、HDD容量を320GBから500GBに増量した事などの強化ポイントを解説した。

AV事業推進の方向性CMキャラクタには菊池桃子さんを起用新BHRシリーズの特徴をまとめたもの

 また、パナソニックが5月に発表、7月に発売する「VIERA」2機種、37型の「TH-L37R2B」と32型の「TH-L32R2B」がBD+HDDレコーダ機能を搭載してきた事について、「(BD+HDD内蔵という)我々が選んだ道がよかったのだと、勇気付けられた。我々の新モデルは2世代目に進化しており、オートターンやおすすめ音量、エコ性能などもふんだんに盛り込んでいる」とし、機能差をアピールした。

 液晶テレビのビジネス規模について、中村事業本部長は「ご存知の通り他社と比べると一桁違いますが、三菱ならではの一味違う液晶テレビ戦略を進めており、録画機能内蔵型に特化するなど、今後も売れるマーケットをキッチリとらえて開発していきたい。テレビは家電の顔、三菱の顔でもあるので、絶対に黒字でビジネスを継続したい」と語った。 


(2010年 5月 31日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]