ブラザー、眼鏡型ディスプレイ名称は「エアスカウター」に

-小型化/画質向上した「網膜走査ディスプレイ」


装着イメージ

7月21日発表


 ブラザー工業は21日、今年度に事業化予定とするメガネ型網膜走査ディスプレイの名称を「AiRScouter」(エアスカウター)に決定したと発表した。最新の試作機は、9月15日に開催される「Brother World JAPAN 2010」に参考出品される。

 このディスプレイは、目に入れても安全な明るさの光を網膜に当て、その光を高速で動かすことによる残像効果を利用して開発。透過型ディスプレイのため視野を妨げることなく、目の前(1メートル先に16型相当)に映像が存在しているように感じるという。機密情報などの閲覧や、ディスプレイを置くことができない場所での利用、両手を使って作業しながらの利用などを想定している。

AiRScouter(エアスカウター)

 同社プリンタなどのレーザープリンティング技術開発で蓄積された光学システム技術や、インクジェット方式のプリンティング技術で培った圧電方式(ピエゾ方式)技術などを応用して開発。'08年4月に「RID(Retinal Imaging Display)」として試作機が発表され、'09年には、課題であった光源モジュールを含む電源ボックスの小型化を実現している。

 最新の試作機では、レーザー光を走査する光学システムの設計を改善して画質の向上を図ったことにより、従来の試作機に比べてより鮮明な画像の投影を実現。小型カメラが取り付け可能なデザインに変更するなど、実用化に向けてバージョンアップしてきたという。

 「AiRScouter」という名称については、画面が空中(エア)に浮かんでいるように見えることと、空気のように自然に軽く着用できるという特徴から「エア」というキーワードが生まれ、使う人の傍らにあり、有益な情報を提供するディスプレーであるというコンセプトから“情報を得る人”が原義である「scout」を組み合わせた造語「AiRScouter」に決定したとしている。

 また、「AiRScouter」は現実とバーチャルを融合する技術であるAR(拡張現実)に適したディスプレイであることから、AiRにはARの意味も含んでいるという。



(2010年 7月 21日)

[AV Watch編集部 中林暁]