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I3研究所、4Kプロジェクタ高画質化技術「ISVC」を開発
大画面で「脳内感動創造」を目指す
(2013/2/25 20:20)
アイキューブド研究所(I3研究所)は、プロジェクタの大画面映像に向けた高画質化技術「ISVC(Intelligent Spectacle Vision Creation:脳内感動創造)」を開発。25日に報道向けの説明会を開催した。主にプロジェクタ用途を想定しており、今後パートナー企業を募集して実用化を目指す。
I3研究所は、シャープの60型4Kテレビ「ICC PURIOS(ピュリオス)」(LC-60HQ10)に4K映像創造技術「ICC」(Integrated Cognitive Creation)を提供している。今回開発したISVCは、光クリエーションのコンセプトは継承しながらも、「基本的には違う技術」(I3研究所 近藤哲二郎代表取締役)だという。
光クリエーションは、人間が現実の風景を直接見た時に発生する「認知」の働きと同等の体験を、映像視聴時にも得られることをコンセプトとした映像創造技術。ISVC技術では、低周波と高周波の検出/情報処理に特徴があり、大型スクリーンに映像を投影したときの映像の基本的な構図をしっかりと創り出すことで、「自然界が本来持つ圧倒的な存在感、壮大な広がり感を画面全体で表現」。また、「被写体の細部の光景も現実の構図に則り忠実に創り出すことで、映像空間全体から視覚を通じて、あたかも被写体の世界に入り込んだような感動をもたらす」という。
技術的な詳細については公開していない。「自然界での映像は、どこを見てもピントが合うが、カメラで撮影してしまうと、広がり、物理量がそこで決められてしまう。それはカメラ(の光学系)が伝達関数を持っているから」と説明し、ISVCではそうした物理量を調整する技術を組み込んでいるとのこと。
ICCとの違いについては、「ICCは(直視型ディスプレイのため)画素サイズが決まっており、60型以外のサイズ展開は難しい。一方で、プロジェクタではそうした制限は無い。また、低周波情報の扱いがISVCの特徴となっており、自然界がもつ存在感や壮大な広がりなどを忠実に創りだせる」とした。
450型スクリーンでの上映も
説明会では、ISVCの映像デモンストレーションも行なわれた。ソニー 4Kプロジェクタ「VPL-VW1000ES」を使って、フルHD映像を4Kアップコンバートし、160型で投射。山々や河原などの自然の映像を用いて、VW1000ESの超解像技術とISVCの比較を行なった。映像全体の力強さや、山々の立体感、河原の石などの精細感の高さなど、随所にISVCの効果が感じられた。
また、200型スクリーンでは映画「アラビアのロレンス」のBDを「VPL-VW1000ES」を使って投射。VW1000ESの超解像とISVCの比較を行なった。
さらに、デジタルシネマプロジェクタを使った450型の4K投射も実施。より大画面でもISVCにより高画質化が図れ、ISVCで目指す「大スペクタクル」が実現できるとアピールした。
今回のデモでは、いずれもフルHDのコンテンツを利用していた。ISVCでは、4K変換とあわせて利用することで大きな効果を発揮できるとするが、4K映像へのISVCを適用でも効果はあるという。