ニュース

東和電子、超小型コンポ第2弾のCDトランスポート

「NANOCOMPO NANO-CD1」。CDジャケット3枚サイズ

CDトランスポートの「NANO-CD1」

 東和電子は、「Olasonic」(オラソニック)ブランドのコンパクトなコンポ「NANOCOMPO(ナノコンポ)」のシリーズ第2弾として、CDトランスポートの「NANO-CD1」を5月下旬に発売する。価格は63,000円。カラーはプラチナホワイト。

 NANOCOMPOは、開発コンセプトとして「可能な限り小さく」、「美しくバリュー感があり」、「大型商品に負けない音質を備え」、「パソコンとの親和性が高く」、「買い足していける統一されたデザインと操作性を持ち」、「縦置きでも使え」、「手持ちのCDも生かせるもの」を掲げたシリーズ。

 第1弾として、USB DAC機能も搭載したプリメインアンプ「NANO-UA1」(73,500円)が4月下旬に発売を控えており、今回発表されたCDトランスポートは第2弾製品となる。今後も第3弾として、ハイレゾ対応DACにヘッドフォンアンプを組み合わせた「NANO-D1」(価格未定)を夏商戦前に発売する予定。

左がプリメインアンプ「NANO-UA1」、右がCDトランスポートの「NANO-CD1」
2モデルを重ねたところ。上が「NANO-CD1」
149×149×33mmの筐体を採用

 これら全モデルに共通する特長は、外形寸法が149×149×33mm(幅×奥行き×高さ)と小型の筺体を採用し、そのサイズが全モデルで共通している事。このサイズは、音楽CDジャケット3枚分とほぼ同じ小型さ/薄さであり、CDが再生できるコンポとして限界までの小型化を追求する事が、筐体サイズを決める際の大きな要素だったという。筐体の素材はアルミダイキャスト。

CDトランスポート「NANO-CD1」

ドライブメカはスロットインタイプ

 搭載しているドライブメカはスロットインタイプで、新開発のCD専用のものを採用。マルチドライブとして作られたものから、CD再生に不要なものを取り外し、CD再生に特化。高音質再生と安定性の向上を実現しているという。再生対応ディスクは音楽CD、CD-R/RW。対応フォーマットはCD-DAのみ。

「NANO-CD1」の内部基板。上部に配置されるドライブメカのサイズを考慮し、残りのスペースを有効活用するため、高さの異なるコンデンサが多数並んでいるのがわかる

 出力端子は同軸デジタルと光デジタルを各1系統装備。DACは内蔵しておらず、アナログ出力は無い。「NANO-UA1」など、DACを内蔵したプリメインや、単体DACなどとの組み合わせを想定している。

 アップサンプリング機能を備え、背面のスイッチで出力を、CDオリジナルの44.1kHzから、88.2/96kHzへのアップサンプリングに切り替えられ、音の違いが楽しめる。

縦置きも可能。ディスプレイの表示方向も変更できる

 前面にディスプレイを装備。筐体は縦置きも可能で、ディスプレイの表示方向を、電源ボタンの長押しで切り替える事ができる。オプションとして、木製の縦置き用スタンドも用意する予定。

 電源は付属のACアダプタを使用。消費電力はCD再生時で約5W。突起部を含まない外形寸法は149×149×33mm(幅×奥行き×高さ)、含んだサイズは149×160×39mm(同)。重量は1,200g。リモコンも付属する。

「NANO-UA1」と「NANO-CD1」を重ねたところ
別売スタンドを使って縦置きしたところ
背面端子部
付属のACアダプタ
付属リモコン

音を聴いてみる

  USB DAC内蔵プリメインの「NANO-UA1」と、CDトランスポート「NANO-CD1」を組み合わせて試聴してみた。

 UA1の音質についての詳細は、以前のレビューを参照のこと。基本的な傾向として、「NANO-UA1」はレンジが広く、精密な再生が可能で、デジタルアンプではあるが、厚みと量感のある中低域も併せ持ったアンプになっている。「NANO-CD1」から同軸デジタル出力したCDを聴くと、そのアンプの音質にマッチした、スッキリとして音場の見通しの良いサウンドが展開。「山下達郎/希望という名の光」も、ベースの張り出しと、その裏側にある空間描写が共存しており、音場が立体的だ。

 試しに、CDからWAVリッピングしたファイルをPCで再生し、UA1のUSB DAC機能で再生した音と、CD1で再生したCDの音を比較してみた。USB DACの音は、精密でメリハリとコントラストが高く、低域の切り込みも鋭い、まさに「PCオーディオ」という的確なサウンド。CDは、全体的にアナログライクなパワー感をまとった、温かみのある音で、特に弦楽器などの高域のしなやかさが印象に残る。これはこれで安心感を覚える魅力的なサウンドだ。

 また、前述のとおり、背面にはアップサンプリング切り替えスイッチもあり、88.2kHzや96kHzへアップサンプリングすると、音場に広がる音像の輪郭が全体的にスッキリと明瞭になり、どちらかと言うとPCオーディオの精密な描写に近くなると感じた。

2台を横に並べたところ
CDトランスポートもアンプとサイズは同じ
どちらも縦置き可能だ

 音質以外の特筆すべき点は、やはりそのサイズ。UA1とCD1は筐体サイズが同じであるため、重ねても机などに置く場合も、専有スペースに変化は無い。またどちらも縦置き可能であるため、キーボードの横や、ノートPCの裏側など、ちょっとしたスペースに設置できてしまう。これは、PCと親和性の高いコンポにおいて、大きな魅力となる。なおかつスピーカーとヘッドフォンをしっかりドライブでき、USB DAC機能だけでなく、CDの再生まで可能になる。

 PCに蓄積した楽曲をスピーカーやヘッドフォンで楽しむだけでなく、PCを使わず、シンプルにCDを再生したい時にも利用できるため、コンポとしての日常的な利用シーンがさらに拡大しそうだ。また、PCに詳しくない人や、PCやNASに音楽ファイルを蓄積しておらず、メインソースにCDを愛用している層の人達にとっても、NANOCOMPOに注目するキッカケになる製品と言えるだろう。

(山崎健太郎)