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両面200GBの大容量光ディスク規格「BD-DSD」策定

複数BDをカートリッジ利用。データセンターなどへ導入

 Blu-ray Disc Association(BDA)は18日、容量最大200GBの新たな両面ディスク「BD-DSD」の仕様を策定した。ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)の両面で200GBのデータ蓄積が可能で、主にデータセンターなどの産業用途での使用を見込む。

 片面で100GB、両面で200GBのデータを蓄積できるBD-DSDディスクは、数枚から数百枚のディスクを収納できるディスク・カートリッジに搭載されるよう設計された。データセンターでは、複数のカートリッジを使うことで、単一のセットとして、数ペタバイト(PB)のデータを処理できるようになるという。その際、カートリッジはロボットアームでレーザー読み取り/書き込みヘッドに移され、データへアクセスが行なわれるようになる。一旦ヘッドへ移されたディスクのアクセスタイムは、通常のHDDのアクセスタイムと匹敵するもので、テープメディアの通常のデータアクセスタイムより大幅に短縮される見込みという。

 BD-DSDにより、データセンター運営者にとって、従来のHDDやテープ型ストレージに加えて検討可能な、費用対効果に優れた信頼性の高い仕様を目指している。光ディスクのため、テープのように読み取り/書き込みでヘッドに接触することなく、HDDのような継続的な回転の必要もないという利点を訴求している。

 なお、BD-DSDの「DSD」は「Double-Sided Disc(両面ディスク)」の略称で、オーディオフォーマットの「DSD」(Direct Stream Digital)とは関係無い。

 BDA DSD委員会の山下 経議長は、「ソーシャルメディアが爆発的に流行し、クラウドコンピューティングも普及するなか、社会やビジネスにおける“デジタル化”は進んでいる。一方で、今日のデータストレージに対する企業からの要望には十分に対応できていない。BD-DSDの新しい仕様は、費用対効果に優れ、今日のニーズに的確に応えるものであり、一方で、BD-DSD製造メーカーはデータセンターのCO2排出量削減に貢献することもできるようになる」と述べている。

 現在の片面ディスクに基づいたBDAの試算では、100TBクラスのストレージシステムの場合で、他の記録メディアの代わりにBD-DSDを使用することにより、大幅な運用コストの削減につながるとする。また、電力消費については、運用と冷却の両面で費用削減が可能になり、HDDやテープを中心としたデータセンターに比べて大幅なCO2排出量の削減が図れるとする。

 BDAグローバル・プロモーション委員会のビクター・マツダ委員長は「BDは当初より柔軟性と拡張性にきわめて優れた規格で、ホームエンターテイメントの普及に貢献した柔軟性と容量と同様、商用データストレージの領域で高まりつつある需要に対してもうまく適合する」と述べている。

(臼田勤哉)