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4K BRAVIA拡大、ハイレゾウォークマンやXperia Z5など平井社長が新製品披露
(2015/9/3 08:15)
ソニーは、ドイツ・ベルリンで9月4日(現地時間)より行なわれる国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2015」において、開幕前のプレスカンファレンスを2日に開催。その中で、平井一夫社長兼CEOが、新ウォークマンや4Kテレビ、Xperia Z5など今後発売する新製品を発表した。
CEOとして4回目のIFAとなった平井一夫氏は、コンシューマが求める製品、ソニーへの期待に応えていく点や、感覚に訴えていく製品を今後も展開していくという、これまで示してきた方針を改めて強調。テレビのBRAVIAは、直近の新モデルとして、最薄部4.9mmのスリム4Kモデル「X90Cシリーズ」や、湾曲型(Curved)の「S85C/S80Cシリーズ」などを紹介。スリムモデルでも画質に妥協しない点などをアピールした。
革新が進むテレビ技術の中でも、特にHDR(ハイダイナミックレンジ)への対応を訴求。「映画やテレビ番組などに大きな変化をもたらす」として、従来モデルからの進化を紹介した。さらに、Amazon VideoなどHDRを採用する配信サービスとの協業や、独自の高コントラスト技術「X-tended Dynamic Range」により、明暗差を鮮やかに表示することで、HDRコンテンツの魅力を表現可能としている。
デジタルイメージング製品では、7月に発表したプレミアムコンパクトデジカメの2機種の「RX100M4」と、 「RX10M2」の4K動画撮影や20倍/40倍スーパースローモーション撮影を中心に紹介した。
AF0.03秒などカメラ強化のXperia Z5、ハイレゾウォークマン拡大など
前述したデジタルカメラにも搭載されているイメージセンサー事業は現在も拡大を続けており、特にスマートフォンでの需要が高まっているという。そのスマートフォン新モデルとして、新フラッグシップの「Xperia Z5」を自らのポケットから取り出して発表した。
Xperia Z5シリーズは、既報の通り5.2型フルHD液晶の「Xperia Z5」と、初の4K液晶搭載モデルとなる「Xperia Z5 Premium」、持ちやすさなどを重視した4.6型の「Xperia Z5 Compact」を10月から順次グローバルで発売することを発表した。
いずれもカメラ機能の強化が特徴で、カメラモジュールを有効2,300万画素に高画素化した(Z4は2,070万画素)ほか、AFは最速0.03秒に向上。手ブレ補正なども強化されている。さらに、新機能として指紋認証にも対応したことで、使い勝手も向上させた。
平井氏は、写真撮影のミスでありがちな例として「シャッターチャンスを逃す」ことを挙げ、Z5では最速0.03秒という高速AFを搭載したことを説明。さらに、高解像度のセンサーやデジタル処理を行なうClear Image Zoom機能により、画質を損なわず5倍のデジタルズームができる点を紹介。動画の手ブレ補正も改善したという。
その他、バッテリが2日間利用可能という点や、メタルフレームで側面にXperiaロゴを配した新デザインなどを紹介。サイズの選択肢として、持ちやすく、ポケットなどにも入れやすいというXperia Z5 Compactや、世界初となる4K液晶搭載スマートフォンのXperia Z5 Premiumを投入すると発表した。
ハイレゾオーディオ関連では、DeezerやTIDALなど海外で始まっている高音質を特徴とした音楽配信サービスに触れ、「一度ハイレゾを体験すると、もうMP3などには戻れない」として、配信サービスでも高音質が重要になってくるとの見方を示した。
そうした中で、ハイレゾをより身近にするシリーズとして、新ウォークマンの「A20」や、ヘッドフォン、イヤフォン製品群の「h.ear」(ヒアー)シリーズを紹介。音質だけでなくスタイリッシュさも両立させた点などをアピール。イヤフォンでデジタルノイズキャンセリングとハイレゾの対応を実現するなど、音質と使い勝手の両立も実現している。
さらに、ハイレゾ対応ウォークマンでは、従来のZX1の後継に位置づけられるモデルで、Android OSではない「ZX100シリーズ」が登場。ハイレゾ対応でデジタルノイズキャンセリング対応イヤフォンを同梱して発売する。ZX1/ZX2の高音質技術などを採用しつつ、両モデルとは異なる新規のハンダを採用するなど、Androidではないオーディオ専用プレーヤーとしての高音質化を追求している。A20/ZX100共通の特徴として、ハイレゾ音源にもイコライザ処理が可能となっている。
4K超短焦点プロジェクタや電球型スピーカーなどで構成する「LifeSpace UX」関連では、新製品として、ポータブル対応の超短焦点プロジェクタや、自立するランプのような形の照明兼用スピーカーを来春に投入することを発表した。
新規ビジネスとして、クラウドファンディングの「First Flight」で募集を行なっている(目標額は既に達成)、腕時計型デバイスの「wena wrist」を、自身の腕に装着して紹介。バンド部にFeliCaの電子マネー機能を備え、手首をかざして支払いができる。スマホと連携した通知機能や、歩数/消費カロリーの活動量計機能も搭載する。これまで新規事業として発表されたスマートロックの「Qrio」や、電子ペーパー採用の学習リモコン「HUIS」などに続く新たな製品として紹介した。
こうした新規ビジネスエリアに今後も挑戦し続けることや、技術革新の継続などでユーザーに対してユニークな体験を提供し、驚きや喜びなどを製品/サービスで実現していくことを強調。「One Sony」への取り組みを続けることで“感動”を届けるとした。
エレキの成長軸、ハイレゾ市場の広がり、他業界との連携など
会見後に、平井氏が報道陣からの質問に答えた。
「今後のエレクトロニクスの成長軸」については、具体例としては最終製品だけでなく、イメージセンサーなどを含む半導体事業が成長を牽引するとの見方を示したほか、「これからも変わらないものとして、様々なイノベーションを盛り込んだコンシューマ製品を出し続けることがソニーのDNA」と説明。また、新たに打ち出した「h.ear」シリーズについては、「良い音を楽しんでいただくと同時に、ファッショナブルに自己表現するという、“感性価値”を高めたシリーズ」とした。
今回、具体的な発表が無かった次世代BDの「UHD Blu-ray」への取り組みについては、「ソニー1社の話では無く、いろんなステークホルダーを含めた話し合いが必要。放送業界、エレキ業界、コンテンツクリエーションの業界を巻き込んだ形で1つのスタンダードを決めていかなければならない。(UHD BDプレーヤーなど)いま発表できる商品は無いが、適宜、話せる状態になった段階で発表する」としている。
また、コンシューマエレクトロニクス全体に占めるハイレゾ対応の割合については、ウォークマンを例に、ハイレゾ対応の比率が拡大している点に触れ、今回カーオーディオにもハイレゾ対応製品を発表したことで市場が広がり、ソニーミュージックにおけるハイレゾ音源の増加など、ソフト/ハード両面で“ハイレゾ対応商品群”を広げていく方針。欧米でのハイレゾ市場の広がりについては、HD Tracksなど配信サービスとの協業などを含め、ソフトとハードの両方において店頭などでメッセージを出していくことの重要性を強調した。
従来のエレクトロニクス以外の分野への進出や連携拡大などについても質問が及び、例えば自動車関連では、他業界との違いとして、長いスパンで計画を立てなければならないという必要性に触れながらも、B to Bの分野で、色々な形で自動車業界に入っていく余地はある」との考えを示した。
また、IoTを活かした白物家電との連携などについては、「IoTを軸として、白物を含む、既存の分野にあえてソニーとして参入することでソニーらしさ、イノベーションが提供できると判断した場合は、既存ビジネスでも参入する可能性がある」とし、新規参入には“ソニーとしての差異化された製品が出せるかどうか”が重要であることを示した。