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9型大画面ナビを2DINに。国内市販初のAndroid Auto対応ストラーダ「CN-F1D」

 パナソニックは、カーナビ「ストラーダ」の新製品として、9型液晶の「DYNABIG(ダイナビッグ)」ディスプレイを備えた「CN-F1D」を6月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は17万円前後(税込)。従来のストラーダFシリーズに代わる、新たな最上位モデルとなる。

CN-F1D

 9型の大画面を144車種に設置できる点と、画面がドライバーに近いフローティング構造による視認性/操作性の高さ、ヘアラインのアルミフレームなどを用いたデザイン性の高さ、市販で唯一となるBlu-ray搭載の4つが大きな特徴。また、国内市販カーナビで新たにAndroid Autoにも対応した。ただし、現時点でアプリは提供されておらず、「発売日ごろにはGoogleから準備される」としている。

Blu-ray再生時の画面

 新採用のDYNABIGディスプレイは、2DINサイズ(100×180mm)の車に、車種別の専用パネルなどを必要とせずに装着可能。従来は大画面カーナビの取付が難しかった車種にも装着できるようになる。画面は面積比で7型の1.7倍。パネルは9型/解像度800×480ドットだが、画面がコンソール部分から浮いた構造でドライバーに近い位置にあることから「10型相当で表示可能」としている。ワンボックスやSUV、セダン、軽自動車の計144車種に取り付け可能で、今後の新車を含め200車種以上に対応予定。DYNABIGという名称は、「DYNAMIC」と「BIG」を合わせたもので、「これまでの枠にとらわれない大画面」を意味している。

CN-F1D
7型との比較
インパネの前にせり出したフローティングディスプレイ
DYNABIGディスプレイの特徴
144車種に対応
ステップワゴンへの取付例
レヴォーグへの取付例
プリウスへの取付例
ハスラーへの取付例

 AV機能は、地デジ視聴や、BD/DVD/CD再生、iPhone/iPod、Bluetooth、SDカードやUSBメモリの動画/音楽/写真再生に対応する。FM/AMラジオも備え、ワイドFM(FM補完放送)にも対応。アンプ出力は最大50W×4ch。

BDオーディオの192kHzもそのまま再生可能になった

 高音質再生のサウンドチューニング「音の匠」を実現するためのストラーダサウンドエンジンも性能を向上。電源用に、高音質電解コンデンサを採用し、キレのある幅広い音域を実現したという。また、新開発のストラーダ電子ボリュームにより、クリアな音を追求している。

 DACはTI/バーブラウン製で、192kHz/24bit対応。Blu-ray再生時は、新たにBlu-ray DiscオーディオのPCM 192kHz/24bitもダウンコンバートせずに再生可能になった。なお、ドルビーTrueHDやDTS-HDには非対応。

 オーディオ設定には「高音質モード」と通常の「エフェクトモード」の2種類を用意。高音質モード時は、CDなどハイレゾではない音源も含め192kHz/24bitにアップサンプリング/ビット拡張して再生。その場合に、元のデータに無い部分を予測して補間する機能のON/OFFも行なえる。 CDからSDカードへの最大8倍速録音も可能。Bluetooth接続時はAACコーデックもサポート。そのほか、車速に連動したボリューム調整などにも対応する。

AVメニュー画面
オーディオ設定画面(高音質モード)
エフェクトモード時

 ディスプレイ前面は、ボタンや印刷を排したシンプルなフラット型で、側面にヘアラインのアルミフレームを配した薄型筐体を実現。画面を上下に最大32mm、奥行きを最大19mmスライドできる調整機構や、-20度~60度のチルト機構も備える。BD/DVD/CDやSDカードの取り出しは、ディスプレイを下に傾けて行なう。

側面から見たところ
上下にスライドして位置を調整
チルトすると、BD/DVD/CDやSDスロットが見える

 地図などナビ情報は16GBのSDカードに収録。視認性の高い3D表示や配色、分かりやすい案内表示などを搭載したという。環境や燃費を考慮したecoルート探索などの機能も利用できる。準天頂衛星システム「みちびき」にも対応し、GPSの届かない場所でも測位しやすくなっている。

AV/ナビの各機能

 新たに対応したAndroid Autoにより、手持ちのスマートフォンとUSB接続して音楽アプリや電話などが車内でも利用できるほか、音声認識での目的地設定などが行なえる。ただし、3月29日現在はAndroid Autoは日本でサービス開始されていない。同モデルが発売するまでには、Googleから何らかの発表があると見られる。スマートフォン用リモコンアプリ「CarAV remote」も新たに用意。カーナビとBluetooth接続して、AVソースの切り替えや、曲送り/戻し、音量調整などが行なえる。

 HDMI入出力やサブウーファ出力、RCAの外部出力なども装備。ディスプレイの外形寸法は240×19×141mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.1kg。ナビユニットは2DINサイズで、178×170×100mm(幅×奥行き×高さ)、約2.5kg。

8型以上の大画面を、市販市場縮小の歯止めに

パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズの木村真人氏

 パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 インフォテインメントシステム事業部 市販・用品ビジネスユニット長の木村真人氏は、直近の市販ナビ市場の動向について説明。ナビの単価下落により市場は縮小しているものの、台数としては安定的で、新車販売の75~76%前後の需要で推移しているという。

 市販市場の縮小については、「消費がモノからコトへと変化する中、メーカーがそれに対応した製品を投入してこなかったことが大きな要因として、猛省している」とした一方、最近の変化としては、大画面化のニーズにより、下げ止まり感も見え始めているという。'16年度の新車販売は、消費増税が実施された場合の駆け込み需要による拡大を予測しており、それに合わせて市販ナビも前年比106%に拡大すると見込む。

新車販売の推移と予測
市販AVナビの需要予測

 新モデルのDYNABIGディスプレイは、欧州で一部採用しているフローティングディスプレイを、国内の2DIN向けに進化させたというもので、「(従来シリーズの)ストラーダFクラスのように、市場を活性化したいと思い、“F1”という名前(シリーズ名)を付けた」と述べた。

 現在主流の7型ディスプレイはシニア層や初心者にとって操作しずらいとの声があった一方、8型以上は通常のインパネに収まらず、車種が限られていたという点を指摘。今回のモデルは実売17万円前後の見込みで、「これからも8万円以下のモデルが引き続きボリュームゾーンとなるのは変わりないが、10万円以上のモデルも8型以上の大画面モデルがけん引している。このゾーンの販売拡大に力を入れる」とした。

広告キャラクターは、パナソニックのAV機器で広告契約している綾瀬はるかをCN-F1Dにも起用。ビデオメッセージも寄せられた
ストラーダの'16年ラインナップ
発表会は東京・二子玉川ライズで行なわれ、様々なデモカーが用意された

(中林暁)