ミニレビュー

外でもYouTubeやAbemaTVの「エンタメフリー」。格安BIGLOBE SIMはどこまで実用的?

 YouTubeやアニメが好きな筆者は、家だけでなく外出先でもついついスマートフォンでYouTubeやAbemaTVにアクセスする。動画視聴のために、月10GBといったスマホの契約容量を使いきってしまうこともある。そんな筆者にうってつけの、格安SIM「BIGLOBE SIM」による追加プラン「エンタメフリー・オプション」が登場した。

お昼ご飯の友はAbemaTVのオンデマンドで「ラ・ピュセル」たん

 かつてNECから独立し、12月8日にKDDIによる子会社化が発表されたことでも話題のビッグローブの「BIGLOBE SIM」。その6GB/12GBプラン向けに提供されているのが「エンタメフリー・オプション」だ。追加料金として、通話プランの場合は480円、データ契約の場合は980円を支払えば、対象となる動画/音楽サービスの利用に限り、通信料の上限を気にせず使い放題となる。

 現時点で対応しているサービスは、動画の「YouTube」、「AbemaTV」、それに音楽「Google Play Music」「Apple Music」。その使用にかかるデータ通信量が“カウントフリー”になるというもの。カウントフリーは「ゼロ・レーティング」とも呼ばれ、対象のサービスにアクセスする場合に、そのデータ使用量を伝送データ容量にカウントしないということだ。

 これを活用して、手持ちのスマートフォン「ZenFone Max」で動画などを楽しんでいる。いつどこに出掛けていても、YouTubeやAbemaTVが観られ、Google Play Musicのステーションでさまざまな曲を流しっぱなしにしても、データ使用量が制限されない。

 データ通信のみの場合、BIGLOBEの6GBプランの料金は1,450円。これにオプション料金を合わせても、2,500円もかからずに使い放題が実現できてしまう、恐ろしくお得なオプション。なお、かなりざっくりした使用感は、僚誌ケータイWatchでも書いている

12月上旬にスマートフォンで使ったデータは2GBほど
実際に、使ったとカウントされたのは425MBのみ。これが「カウントフリー」の効果

画質は多少粗くなるが、視聴は快適

 BIGLIOBE SIM自体、格安SIMとしてはそこそこ速いほうで、正午前後や深夜といった“詰まりやすい時間帯”でも筆者の利用環境でベンチマークを取ると写真のよう大体30Mbps程度の速度が出た。利用する環境にかなり依存するが、筆者の手元にある格安SIMでは最速だったLINEモバイルの半分程度、最遅の楽天モバイルの4倍程度といったところ。

混んでいた時間帯のBIGLOBE SIM速度。今回の環境では最速にも最遅にもならず

 ただ、このエンタメフリーオプションは、BIGLOBEによれば「契約ユーザーのみの専用帯域が用意されていて、動画ストリーミングなどのデータ伝送速度はここを同時に利用しているユーザー数に依存する。YouTubeやAbemaTVの視聴の際の通信速度はベンチとは全く別の速度となる」という。

 BIGLOBEでは「360p程度の解像度での視聴となる」とアナウンスしているが、BIGLOBE側でYouTubeやAbemaTVアプリを制御するようなことはしておらず、速度はこのサービスをアクセスしたときの速度によるのだ。つまりは、YouTubeが360pで再生されるということは、つまり、混雑(利用者増)の結果として回線の速度がその程度に落ちているというだろうと予測しているわけだ。

BIGLOBEは「スマートフォンを対象とした画質360p程度の画質での鑑賞」としているが、実際に制御しているわけではないようだ

 おそらくカウントフリーサービスについてまわる「ネットワーク中立性」の議論に関するBIGLOBEが出した一つの答えなのだろう。「利用者はオプション料金を負担する。負担したユーザーには専用の帯域を用意し、他のユーザーに混雑の影響を与えない」という仕組みになっている。

 このサービスに人気が出て急激に利用者が増えたりした場合、混雑状況によって、BIGLOBEのいうように360pになるほど速度が低下したり、可能性としては、それ以上に品質が下がるという可能性はないとは言えないことになる。もちろん、大抵の格安SIM業者はできるだけ速い対処を約束するだろうが、筆者の経験上このような現象がすぐに解決できた格安SIMはないと予測する。ボトルネックの設備を増強するにもNTT局内工事などをともない、日程調整などが必要なケースが多いのがその理由だ。

使い放題のため、いくらでもアクセスしてしまうこの魔力よ……

 実際に、このYouTube/AbemaTVや、Google Play Musicが使い放題となるこのサービスを利用しての、2016年12月現在の実感は、今のところBIGLOBEがいうようにYouTubeが360pになってしまうような制約にひっかかることはほぼ起きていない。

 この手のサービスは利用者の多寡でしばしばクオリティが変わることが多いため、筆者の情報も参考程度として欲しいが、利用していて気になるほど品質が低下することはなかった。

 動画のクオリティに関して言えば、さすがに光インターネット+家庭内Wi-Fiのような環境と同じとはいかないが、若干粗い画質にはなるものの、昼休みの都内のような厳しい環境下でも、問題なく動画視聴を楽しめているのが実感。

 スマートフォンのYouTubeアプリは、使用している回線状況に応じてデータ転送速度が落ちると解像度も自動的に低くなる仕組みになっている。筆者が視聴した限りでは、時間の長い「作業用BGM動画」や、1時間もののドキュメンタリーなどを観て気がつくと解像度が落ちていることもなくはないが、360pのように「粗くなった」と感じさせるほどクオリティが下がることは利用1カ月少々で、数度しか経験していない。

 また、AbemaTVアプリは、モバイル回線の場合は手動で解像度を設定するとそのまま固定になる構造になっているが、新作アニメチャンネル/深夜アニメチャンネル/アニメ24を観る限りでは、だいたい上から3番目の「中解像度」、あるいは2番目の「高解像度」設定にしておいて問題ない。筆者が利用した限りでは、コマ落ちや再生が止まるという現象はなく観ることができている。

 ただ、試聴スタートから2~30秒程度は通信が追いついていないのがわかるときがある。筆者が気に入って見ているアニメ「魔法少女育成計画」であれば、キャラクターのパステルカラーの髪と背景との境目の輪郭線が、本来の滑らかな曲線ではなく、ギザギザのジャギーがかかった状態になっていた。この現象はモバイル回線ではなくWi-Fiでも起こるのだが、Wi-Fiに比べると、きれいな絵になるまでの時間が気持ち長いようだ。

 ただ、AbemaTVの場合、一度「高解像」になって映像も良くなると(おそらく必要充分な容量のデータが確保されるようになると)、非常にきれいな映像で視聴できた。

 「魔法少女育成計画」は、キャラクター同士が戦闘で非常に速い動きで大きな絵が動いたり、魔法のエフェクトなどで透過光処理のフレアが舞ったりと、ストリーミング動画には厳しいと思われるシーンも多いが、コマ落ちなどは全くなかった。

 BIGLOBEでは「タブレット等の大画面での視聴には適しておりません」としているが、少なくとも筆者が利用している5.5型のZenFone Maxや、6.8型のZenFone 3 Ultraといった比較的大型なディスプレイでも問題ないレベルのクオリティの映像を楽しめた、というのが感想だ。

 それにしても、いつどこに出かけていても、YouTubeやAbemaTVが観られ、Google Play Musicのステーションでさまざまな曲を流しっぱなしにしてもデータ使用量がまったく気にならないというのは痛快だ。

 おかげで筆者は、電車に乗って出かけても、子供のスポーツ教室の待ち時間でもAbemaTVでアニメを観て、買い物待ちのクルマのなかではYouTubeの「PPAP」で時間をつぶし、カーステレオの代わりにスマホのGoogle Play Music で音楽性再生と、エンタメフリー・オプションで利用できるサービスをフル活用している。今後も対応サービスは追加される予定とのことだ。

いつどこにいても動画・楽曲サイトにアクセスして楽しめた

 今までは何度か、月の終わりに残データ通信量がなくなってしまい、家族との連絡などのために泣く泣く追加料金を払ったこともあったが、恐らくそれもなくなるであろう。そう考えると、本当にこのオプションが始まってよかったと思っている。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身のライター。88年、パソコン誌「Oh!X」(日本ソフトバンク)にて執筆開始。PCやスマートフォン、モバイル関係のQ&A、用語解説、プログラミング解説などを書く。代表作は「ケータイ用語の基礎知識」(インプレス・ケータイWatch) Oh!X誌上では「オタッキー(で)」とも呼ばれた、その筋人。最終学歴は東海大学漫画研究会。ホームページはhttp://ochada.net(イラスト : 高橋哲史)