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宇多田ヒカル「First Love」都市伝説は実在した! CDはプレスで音が変わる

宇多田ヒカルさん。初のベストアルバム発売、おめでとうございます

まずは、上の写真をご覧いただきたい。

これは、日本で一番売れたCDである宇多田ヒカル『First Love』の海賊版が警察に一斉摘発された際の写真……

……ではない。

これは、とある“都市伝説”を信じてしまい、同じCDを80枚以上も購入してしまった男の自室で撮影された写真である。その男の名前は阿部邦弘。そう、AV Watchの名物変態記者“あべちゃん”のことである。

一体なぜこんなことになってしまったのか? 彼をここまで駆り立てた都市伝説とは一体何だったのか?

今回は4月10日にリリースされる宇多田ヒカル初のベストアルバム『SCIENCE FICTION』の発売を記念(?)して、これまで、ごくごく一部のオーディオマニアのあいだでのみ噂されてきた『First Love』の隠された(?)真実についてお話ししよう。

その都市伝説とは……

『First Love』のCDはプレス工場によって音が違うらしい。
なかでも◯◯◯の工場で生産されたものが最も高音質で、激レアである。

……というものである。

こんなことを書くと、「CDのプレスで音が変わる? 針で溝を引っ掻くレコード盤ならともかく、レーザーを使って非接触で読み取るCDでそんなことが起こるわけがないじゃないか。そもそもCDはデジタル記録だぞ!」とオカルト警察の皆様が憤る姿が目に浮かぶが、まぁ今日くらいは生温かい目で最後までお読みいただければと思う。

宇多田ヒカル「SCIENCE FICTION」
2024年4月10日発売 ソニー・ミュージック
【完全生産限定盤】ESCL-5925~27 4,950円
【通常盤】ESCL-5928~29 4,400円

「CDってね、プレスで音が変わるんだよ。でも他言無用だよ」

話は四半世紀前に遡る。今でこそ、こんな仕事をしている筆者だが、元々はレコーディングエンジニアを志す専門学校生だった。ところが、授業で初めて知った「マスタリング」という仕事の“職人っぽさ”に惹かれ、卒業後は某大手CDプレス工場のスタジオ部門に就職。マスタリングエンジニアの見習いとしてキャリアをスタートすることになった。

ちなみに工場では、プレスをするためのガラス原盤やメタルマスターの製造工程を「マスタリング」と呼ぶため、いわゆるAV Watchの読者がよくご存知の、スタジオで楽曲の最終音質調整をする作業は、正式には「プリマスタリング」と区別される。私の就職したスタジオも日々プリマスタリングの仕事が入っていたので、当然、私もそのアシスタント業務を覚えることが最初の仕事になるだろう、そう思って張り切っていた。

ところが、最初に上司から与えられた仕事は、「工場からプルーフ盤が送られてきたから、全部聴いて感想を聞かせて」というものだった。手渡されたのはレーベル面に何も印刷されていない5枚のCD。不織布にはそれぞれ識別用の英数字が書かれていた。

いまいち状況が飲み込めなかったが、とりあえず言われたとおりに順に聴き始めると、それは某大物アーティストの同じ曲だった。中学生の頃からオーディオマニアだった私だが、正直最初は全部同じ音に聞こえた。「ん、どういうことだ? EQやコンプの設定が違うってことかな?」と必死に何度も聞き返した。すると、次第にごくわずかではあるが1枚1枚に固有のキャラクターがあるような気がしてきて、それは最終的に確信できるものとなった。

その結果を自分なりの言葉で上司に報告した。それが正しかったのかは分からないが、「これね、全部データは同じなの。CDってね、プレスで音が変わるんだよ。ウチは工場直轄のスタジオだから、こういう仕事が日常的にあるので耳を鍛えておいてね。あ、でもこのことは他言無用だよ」、そう言われた。

CDはプレスで音が変わる。

その日から、私のオーディオ観が変わった。時はCD全盛期だったが、店頭で山積みにされているCDが同じものに見えなくなった。さらに業務の過程で、「国内のプレス工場各社が大物アーティストのタイトルを受注しようと音質競争を繰り広げていること」、そして「その音質差が想像以上に大きいこと」を知ってしまった。

ちょうど同じ頃だった。J-POP離れした舶来サウンドでオーディオマニア御用達となっていた宇多田ヒカルのアルバム『First Love』に、プレス違いがあるという噂を耳にしたのは。

国内累積売上は前人未到の800万枚超え。そのうちの10万分の1をあべちゃんが買い占めた

当時、東芝EMI所属のアーティストだった宇多田ヒカルのCDは、同社が静岡県の御殿場に所有していたプレス工場で生産されていたと考えられる。しかし、初動売上で202.7万枚、発売から1か月後には累計500万枚超え(Wikipedia調べ)という驚異的なセールスに、御殿場工場の生産キャパをオーバーしてしまい、外注が行なわれたというのだ。

当然、私も『First Love』は愛聴していたので、手元のディスクを確認してみると、御殿場工場でプレスされたものだった。

CD裏には“製造場所”が記載されている!?

どうしてそんなことが分かるのか?

実はCDには、そのディスクがどこの工場で製造された物なのかを見分ける方法がある。それがCDの最内周に刻印された「IFPI SID Code」だ。本来は公にされないはずの情報なのだが、どういうわけかネット上にはかなり正確な情報が出回っている。(私がお漏らししたんじゃないからね!)

IFPI SID Codeには2種類あって、1つめの「Mastering SID Code」は「スタンパー」と呼ばれる金型を作った(カッティングした)工場ラインの識別コードであり、2つめの「Mould SID Code」は金型にポリカーボネート樹脂を流し込んでディスクを成型した(プレスした)工場のラインを示している。

そのIFPI SID Codeを頼りにして、私のディスクがカッティングもプレスも御殿場工場で行なわれたことが分かったのである。

プレス違いがあるなら何としても入手したい! オーディオマニアの悲しい性である。そこで、仕事帰りに都内各所の中古CDショップに向かい、中古盤を見つけてはレジで検盤させてもらうという行為を繰り返した結果、IFPI SID Codeの異なる5種類の『First Love』を入手することに成功した。噂は本当だったのだ。

先述のネット情報を信用するならば、内訳は以下のとおりとなる。

  • ①東芝EMIがカッティング→東芝EMIがプレス
  • ②東芝EMIがカッティング→東芝EMIがプレスだが、品番の下にドット状の印が刻まれている
  • ③コロムビアミュージックがカッティング→コロムビアミュージックがプレス
  • ④東芝EMIがカッティング→ソニーミュージックがプレス
  • ⑤香港盤?(詳細不明)
    ※工場名は当時のもの。その後、2000年代に統廃合や買収が繰り返された
IFPI SID Codeが異なる5枚の宇多田ヒカル「First Love」。見た目は全く変わらない

ここからはあくまで筆者の推測であり、当時の真相を知る関係者からは間違いを指摘されるかもしれないが、③はレコード会社(東芝EMI)から支給されたPCM-1630のコピーマスターを元に、コロンビアがスタンパーから作ってプレス。④は御殿場工場が作ったスタンパーをソニーに提供したことになる。②のドット状の印の意味は不明だ。

筆者も中古CDショップでは100枚前後を検盤したと思うが、最も多く見つかったのは当然ながら①で、次いで③が多く、④は数枚だったと記憶している。②は1枚しか発見できなかった。

気になる5枚の音質。予想以上にその差は大きい!?

肝心の音質差だが、通常、工場やスタジオで検証を行なう場合は、マスター(PCM-1630やPMCDなど)と比較することがほとんどだ(その際、DAコンバーターは同じものを使用する)。しかし、今回はリファレンスとなるものが無いため、あくまで主観評価となり、優劣まで言及することはできない。ただ、当時使っていたCDプレーヤーのSTUDER A730で比較すると、かなり違っていて驚いた。

このアルバムがいかに歴史的な名盤であるのかは、今さら説明する必要もないだろう。①を聴いてみても、当時16歳だった新人・宇多田ヒカルの圧倒的な才能と、それを支えた日本が誇る世界的エンジニアのゴウ・ホトダ氏によるミックス、米国東海岸の巨匠テッド・ジェンセン氏によるマスタリングという、盤石のスタジオワークスに改めて感服してしまう。

「First Love」ライナーノーツより

個人的には後年発売されたハイレゾ版よりも断然こちらのほうが好みだ。余談であるが、1999年に発売されたアナログ盤も素晴らしく、一昨年に再発されたものよりずっといい。いずれにしても①を単体で聴く分には何の不満もない。

①東芝EMIがカッティング→東芝EMIがプレス(品番下にドット無)
写真左上に「IFPI L153」、中央上に「IFPI 2874」(やや見えにくい)の文字

では②はどうだろう。①を標準とすると、こちらは少し高域をEQで強調したような感じがする。とはいえ、音楽性そのものに影響するような大きな変化ではなく、音質的な優劣も付け難い。好みの問題という感じだ。

②東芝EMIがカッティング→東芝EMIがプレス(品番下にドット有)
写真左上に「IFPI L153」、中央上に「IFPI 28U9」、「TOCT-24067 9」の下にはドット上の印が確認できる

次に③だが、これは①や②とは明らかに感触が異なる。刺激成分が減り、耳あたりは良くなるのだが、このアルバムがR&Bの要素も持っていることを考慮すると少々おとなしすぎる。ここまで違うと、プレスによる音質差が音楽性にまで影響を及ぼしているとも言えるだろう。

③コロムビアミュージックがカッティング→コロムビアミュージックがプレス
写真右上に「IFPI L223」、中央上に「IFPI 39A2」の文字

続いて④だが、これは良いと思った。①に較べて明らかに鮮明で、②のようなイコライザー臭さもない。一言で言えば、クリアーでコントラストの高い音である。カッティングが①や②と同じだとすると、プレス(成型)の工程が変わるだけでこんなにも音質に差が出るのかと驚かされる。カッティングとプレスが別工場で行なわれたディスクを比較試聴したのは初めてだったが、当時から国内最高レベルと言われていたソニーのプレス技術に感心させられた。

④東芝EMIがカッティング→ソニーミュージックがプレス
写真左上に「IFPI L153」、「IFPI 45I3」の文字

最後に⑤だが、これはボーカルも埋もれがちでオケも不鮮明。正直褒めるところが見つからなかった。しかし、何も知らされずにこれだけを聴いたら、「ふ~ん、First Loveってこういう音なのかぁ」と思われてしまうだろう。

⑤香港盤?(詳細不明)
写真右上に「IFPI L638」、中央左に「IFPI 1HO9」の文字

……といったような一連の話を、じつは今から10年前の「『First Love』15周年リマスター盤」が発売された際に、某オーディオ雑誌で執筆したことがある。その時の担当編集だったのが、他ならぬ「あべちゃん」だったのだ。

伝説の「First Love」は実在した

「他言無用」と言われたCDプレスの話を、あのタイミングで解禁しようと思ったのには理由がある。それは、CDの生産枚数が減った2000年代以降、CDプレスを取り巻く状況が大きく変わっていたからだ。各社は新たなビジネスを模索するなかで、それまでタブーとされていたCDプレスにおける音質差について、自ら公言するようになっていた。

その最たる例が、「Blu-spec CD」「SHM-CD」「HQCD」といったオーディオマニア向けに企画された「高音質CD」の登場だ。

何かに配慮したのか、敢えて“高音質”ではなく“高品質”と呼んでいるメーカーもあったが、ようするに「カッティング技術の刷新や、ポリカーボネート樹脂、反射膜の素材の変更によって、レッドブックに準拠しながらも音質を向上させた」というもので、AV Watch読者のなかにも(良し悪しはともかく)通常CDとの音質差を体感した人がおられるだろう。なお、それらの詳細は、日本オーディオ協会が発行する「JASジャーナル」で過去に特集が組まれているので、こちらも是非ご一読いただきたい。

JASジャーナル 2009年 Vol.49 No.1(1月号)
特集「高音質ディスク」(PDF)

https://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2015/09/200901_all.pdf

というわけで、一度は記事化し、自分のなかでは過去の話になりかけていた『First Love』のCDプレス問題。にも関わらず、今回ベストアルバム『SCIENCE FICTION』の発売にかこつけて掘り返すことになったのはなぜか。

それは、冒頭で書いた「なかでも◯◯◯の工場で生産されたものが最も高音質で、激レアである」という都市伝説が未解決のままだったからだ。

「え、その激レア盤がソニープレスじゃないの?」と思われた方、スミマセン。

実は、○○○に当てはまるのは「JVC」なのである。

2000年代まで横浜市の子安にあった日本ビクターのプレス工場のことで(現在は横須賀市の横須賀事業所に移転)、当時ビクターとソニーのCDプレスは音質面で双璧とされていた。もちろん他社からは異論も出るだろうが、少なくとも業界内の大方の評判はそうだった。これは、双方ともグループ内に音楽スタジオ(ビクター青山スタジオやソニー信濃町スタジオ)を持ち、綿密に連携していたことが大きかったと思う。

特にビクターは、1996年に高音質CDの先駆け的存在である「xrcd」を発表。自社開発の「K2インターフェース」を中心に、電源やクロックにも徹底的にこだわり、「CDってこんなに凄い音がするのか!」と、国内外で高い評価を受けた。それらの技術は通常のCDプレスにも活かされており、それがビクターのプレスは音が良いと言われる所以であった。実際、クッキリ&ハッキリ傾向のソニープレスに対して、ビクタープレスは透明感のあるナチュラル志向で、アコースティック系の楽曲とは特に相性が良かった。

ちなみに、xrcd立ち上げのメインパーソンの1人が私のオーディオの師匠である田口晃氏である。xrcdは生産設備の老朽化などにより、2022年に惜しまれつつ生産を終了したが、その黄金期は田口さんの監視の目(耳)が光っていた2000年代までだったと思う。実際、後年に再プレスされたxrcdは私の耳には全くの別物に感じられた。工場生産といえども最後は職人技の世界なのだ。

xrcd
xrcdのマスタリング・製造プロセス

話が脇道に逸れた。

そう、噂で聞いた『First Love』の外注先にはビクターも含まれていたのだ。しかし、私はこの四半世紀のあいだ、ついぞ現物を拝むことはできなかった。

だが、あの男は諦めなかった。自宅に何千枚ものCDを所有し、リッピングがライフワークという変態あべちゃんは、仕事終わりに都内各所の中古CDショップに立ち寄るだけでなく、休日には県外へと足を伸ばし、さらにはネットオークションまで駆使して、ついに世紀の大発見を成し遂げた!

それが……

⑥東芝EMIがカッティング→日本ビクターがプレス

……である!

都市伝説は本当だったのだ!!

⑥東芝EMIがカッティング→日本ビクターがプレス
写真左下に「IFPI L153」、中央下に「IFPI 4011」の文字がッ!!!

その一方で、IFPI SID Codeの存在を知っているのに、何故80枚以上も買う必要があったのかとツッコミを入れたくもなったのだが、本人いわく、「カッティングもプレスも両方ともビクターだと思い込んでいた」ようで、「あまりに見つからなくて、途中からは自暴自棄になってヤフオクやメルカリで買いまくっていた」らしい…。まぁとにかく、皆さん、彼の偉業を褒め称えてやってください。

その結果、意外なことも判明した。一番の激レアだと思われたビクタープレスだったが、じつはソニープレスも同じくらい希少盤だったとのこと。お持ちの方は大切になさってください。

ヒカルさん、そんなに見ないでください

確かに違いはある。だが、当てられぬ……

さて、世紀の大発見に湧く秋山と阿部の両名は、早速我が家で試聴会を開催。事前にあべちゃんが自宅で聴いた際にはかなり好感触だったようで、「いや~、やっぱビクター盤はスゲー良いッス! なんなら、リッピングしても違いが分かりまッス!!」と豪語していたので、期待は高まるばかりだ。

私としても10年ぶりの比較試聴である。あいにく愛機STUDER A730が故障中だったため、わざわざオーディオ仲間のS君からソニーの名機「CDP-X5000」を借りて、素早いディスク交換にも対応できるよう万全の態勢を整えた。試聴はブラインドテストとして、お互いがランダムに6枚のディスクを手渡して行なった。

CDトランスポートには、かないまる氏設計の名機CDP-X5000を使用。何故か奈美恵も参戦……

その結果は……

二人とも大外れであった!!

いや、確かに違いはある。だけど、当てられないのだ。

試しにリッピング性能に定評のあるAurenderのミュージックサーバー「ACS10」でリッピングしたデータも比較してみたが、こちらはもっと分からない。

\(^o^)/オワタ

それまでの祝賀ムードは一変。現場は重苦しい空気に包まれた。

特に、80枚以上も『First Love』を買い集めてしまったあべちゃんの、あの日の表情は一生忘れることができないだろう。いつにも増して顔面蒼白であった。

こんなはずじゃなかった筆者

一応、言い訳もしておくと、最初に①を聴いたあとで、次を②~⑥からランダムで選んだ場合には正解率が上がった。つまり基準があれば当てられるのである。さらに、選択肢を③④⑥に絞ると、即答できるようにもなった。

ちなみに、ビクタープレスは予想通りナチュラル系の音であったが、正直期待していたほどのクオリティではなかった。やはりカッティングからやってこそのビクターサウンドなのか? この中からマイ・ベスト『First Love』を選ぶとしたら、④のソニープレスになるだろう。

とはいえ、だ。

10年前にはもっと違いが分かったような気がするし、20年前にこの正解率だったら、私はスタジオをクビになっていたかもしれない。加齢で聴力が衰えているのだろうか? 何とも言えないモヤモヤを抱えたまま、その日の試聴会は解散となった。

そして、四半世紀ぶりに知りたくなった。

――なぜCDはプレスで音が変わるのか?

そこで、改めて教えを乞うべく、当時、某プレス工場で技師として高音質化に取り組んでいた人物と、現在もプレス品質にこだわり続けるマスタリングエンジニアの大先輩に突撃取材を敢行した。貴重な話の数々を聞くことができたので、後編ではそちらの模様をお届けしたい。

≪後編へ続く≫

秋山真

20世紀最後の年にCDマスタリングのエンジニアとしてキャリアをスタートしたはずが、21世紀最初の年にはDVDエンコードのエンジニアになっていた、運命の荒波に揉まれ続ける画質と音質の求道者。2007年、世界一のBDを作りたいと渡米し、パナソニックハリウッド研究所に在籍。ハリウッド大作からジブリ作品に至るまで、名だたるハイクオリティ盤を数多く手がけた。帰国後はオーディオビジュアルに関する豊富な知識と経験を活かし、評論活動も展開中。愛猫2匹の世話と、愛車Golf GTI TCRのローン返済に追われる日々。