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イヤフォンやDAPを好きな組み合わせで聴ける!?「REB fes」に参加してみた

finalのREBブランドが企画し、e☆イヤホンが開催協力しているイベント「REB fes」。通常のイベントと異なり、各出展ブースからビュッフェ形式で3台までの製品をピックアップして、自分の席で試聴できるのが特徴。各ブースではイヤフォン、ヘッドフォンのほか、DAPやUSB DAC、アンプなども展開しているため、メーカーやブランドを跨いだ自由な組み合わせで試聴できるのが特長のイベントだ。

今回、東京 ベルサール秋葉原で開催された「REB fes vol.07@東京」を体験したので、そのレポートをお届けする。

これまで、大阪、川崎、名古屋、福岡、札幌、仙台で開催され、今回は7回目の開催となるREB fes。過去最大規模の展開となり、29社60ブランドが出展。オーディオ機器は1,000種類以上が展開される。その中から好きなデバイスを組み合わせて試聴できるというわけだ。

もちろん、自前のデバイスを持ち込むこともできるので、手持ちのイヤフォン/ヘッドフォンを使って、DAPやアンプを聴き比べしたり、その逆のことをしたり、TWSもあるので気になる3台を借りて聴き比べたり、もちろん、イヤフォン、DAP、交換用ケーブルをそれぞれ借りることだってできる。

そんな自由度の高いイベントなのだが、1,000円種類以上はさすがに自由度が高すぎて、悩んでいる間に時間が過ぎてしまう……ということで、今回筆者は、気になっていたqdcのイヤフォン「SUPERIOR EX」を軸にして、DAPやポータブルアンプを試し、最後にリケーブルに挑戦するという計画で臨んだ。

全ての試聴機をQRコードで徹底管理。大規模化でもスムーズな貸出

借りるときは、来場者用のQRコードと、試聴機のQRコードを貸出担当者に読み取ってもらい、システムの方に登録した上で借りられる。このシステムで全てのデバイスの貸し出し状況を把握しており、例えば、3台借りたまま、さらにもう1台借りようとすると、警告が出たり、出口から退出時にすべての試聴機が返されているかの確認しているとのことだ。

スマホで読み取ってもらう。来場者はQRコードを見せるだけだ

試聴機は原則時間制限なしで借りられるが、混雑時や人気機種には、15分〜30分で返却が必要なクイックタグが付けられていた。

ちなみに、来場者数もカウントした上で、入場管理も行なっているため、基本的には入場できれば、自分の席を確保できるという環境がつくられていた。従来のREB fesは、1日の来場者数が150人〜200人くらいだったそうだが、今回は12時半の時点で200人以上が来場しており、予想ではこの規模で3巡して600人ほどの来場者が見込まれるとのことだ。

ブースとは別に試聴席が用意されている

ということで、早速アユートのブースでSUPERIOR EXをレンタル。その次にMUSINのブースでSHAMLINGの「M5 ULTRA」と、エミライのブースでFIIOの「M23」をそれぞれレンタルした。この2台を選んだ理由は、価格帯が近く、どちらもコスパ面で人気の高く、筆者も気になるDAPだからだ。機能なども詳しくチェックしたいところだが、時間も限られているのでサクッと音を聴いてみる。

アユートのブース。SUPERIOR EXには新作のタグが
トレイに乗せて試聴席へ

借りて返してまた借りて、好みの音探し

SUPERIOR EXは、標準の3.5mmステレオミニケーブルだ。バランスケーブルも一緒に借りることができるのだが、貸出機のカウントが2台になってしまうとのことで、まずはDAPの聴き比べを優先。今回は開場前に時間を設けてもらったので、USB DACモードでサクッと聴いていく。

SUPERIOR EX

まずM23で「Midnight Grand Orchestra/Midnght Mission」再生してみると、中低域の響きがボリューミーに広がるのが特徴的で、ヴァイオリンの音の低い要素や、星街すいせいのボーカルもクールなやや低めの響きが強く出ていて、この曲の格好良さをより引き立てている。低域全体のどっしりとした重量感をグッと力強く押し出されている中で、繊細な描写力のある解像感も持ち合わせているので、どんどん曲の世界観へ沈み込んでいく。

FIIO「M23」

これをM5 ULTRAに切り替えると、低域の量感が少し控えめになり、より解像感が際立つ形に。細かな音にも自然と意識が向かうようになる。パワフルさは一歩引いたものの、低域の沈み込みは明確になり、全体の見通しもすっきりとする。どちらのDAPにも良さがあるが、M5 ULTRAではボーカルの存在感が増して、筆者はこちらの方が好みに感じた。

M5 ULTRA

と、いうことでM23を返却し、空いた1枠を使ってリケーブルを試してみる。ちなみに、SUPERIOR EXの端子は2ピンなので、会場でも様々なケーブルが試せる状況だった。SUPERIOR EXとM5 ULTRAで2枠が埋まった状態のため、ケーブルを聴き比べるためには、借りて、試聴して、返却して次へ、を繰り返す必要がある。

まず借りたのは純正の4.4mmバランスケーブル。さっそくM5 ULTRAに繋いで同じく「Midnight Grand Orchestra/Midnght Mission」を再生してみると、音のパワーバランスはそのまま、音場がぐっと広がる。ヴァイオリンの響く範囲が格段に広くなり、すいちゃんの歌声も気持ち良く後ろの方へと抜けていき、思わず聴き入ってしまう。

純正のバランスケーブル。見た目はほぼ変わらない

次に、SOUND Labo AIMSの定番モデルだという「KARAKURT」を試してみる。こちらは低域の量感が少し抑え気味になるのだが、音場が広大に広がる。とくに高域の解像感がグッと増して、楽器の音が広がっていく余韻がより一層心地良くなる。同じイヤフォンを使っているとは思えない変化で、モニターのような見通しの良さと、心地の良い柔らかい響きが両立している。

KARAKURT

さらにWiseTechのブースでSUPERIOR EXとの組み合わせにオススメしてもらったNOBUNAGA Labs「ECLIPSE」を試聴。こちらは低域の量感は純正のバランスケーブルに近いのだが、1音1音に適度な締りがあり、音の輪郭が鮮明。パワフルさと繊細さが両立されていて、筆者の好みにドストライク。「猫又おかゆ/ネコカブリーナ」を再生しても、おかゆんの声が演奏の音の中からしっかりと浮かび上がってきて、特長的な少し低い声の余韻の部分までしっかりと耳に届き、理想的な組み合わせを見つけた。

ということで、今回気に入った組み合わせを購入しようと思うと……

  • SHANLING M5 ULTRA 95,040円前後
  • qdc SUPERIOR EX 33,000円
  • NOBUNAGA Labs ECLIPSE 18,800円

で、計146,840円。よし、頑張って貯金しよう……。

ちなみに据置き機が試せるエリアもある。据置き機もレンタル1台分にカウントされるため、試聴する際は、ヘッドフォン2台やヘッドフォン1台とケーブル1本の組み合わせなど、ほかの試聴機を2台以下の状態にしておく必要がある。

据置き機が用意されたFIIOのブース

好みの音をじっくり探せる今までにないイベント

「REB fes vol.07@東京」の様子

今回初めてREB fesを体験したが、各代理店やメーカーが出展ブースを展開しているという点では、ほかのオーディオイベントと変わらないのだが、そこからレンタルして、なんと言っても、「自分の席で試聴する」という体験に従来のイベントにはない快適さが感じられた。

一般的なオーディオ系のイベントで試聴を行なうときは、各ブースの試聴スペースで聴くので、どうしても後ろに並んでいる人たちのために素早く済まさなければ、と焦ってしまったり、すぐ側を人が通ったりもするので、音にしっかりと集中して向き合うということがなかなか難しい。

試聴エリアの近くも人の動きはあるものの、雑踏の中という感じではないので、試聴する時は結構まったりとリラックスして聴ける。もちろん、クイックタグがついているものに関しては早めに返さなくてはならないので、自分のペースで試聴ができない事もあるのだが、その辺りはブースの担当者に要望を伝えて台数を増やしてもらうなど、また次の機会で改善してもらえることを祈ろう。

なかなか手が出せない憧れの高級機を借りて、好き勝手なカスタムにして、好きな楽曲で聴くという、店員さんの前ではちょっと気が引けることもできてしまうので、販売店での試聴と比べてもかなり気楽な雰囲気だ。

TWSなども用意されていたので、普段量販店で見ないようなメーカーのTWSを3種類借りて、試聴スペースでゆっくり聴く、なんてこともでき、オーディオにあまり詳しくない人でも、楽しめそうなイベントという印象もあった。しかも入場無料で気軽に参加できる。次回の開催時には、イヤフォン購入を検討している友人らも巻き込んで参加してみてみたいところだ。

野澤佳悟