新宿のアップルコンピュータ株式会社のセミナールームで2002年2月18日に開催された「NAMM Winter Show 2002 Apple Japan Update」。レポートの2回目となる今回は、Hook Up、MIDIA、megafusion、Media Integration、Roland/EDIROLの各社のブースで展示されていた新製品、新情報を紹介する。
■ フックアップ
Sonic FoundryやMagix、Prosoniq、Applied Acoustics Systems、Arboretumなど数多くのメーカーの代理店業務を行なっているフックアップ。今回はアップルの会場でのブースということで、展示される製品は限られていたが、そんな中でメインに出してきたのはソフトシンセだった。 Applied Acoustics Systemsは、フィジカルモデリング方式の音源「TASSMAN 2」というソフトシンセを出している。かなり図太い音が出ることで定評のあるもので、VSTインストゥルメントとDXiに対応していることから、「Cakewalk SONAR」にもその機能制限版がバンドルされていた。 そのTASSMANがバージョンアップして「TASSMAN 3」となる。詳細はまだ明らかになっていないが、リリースは4月の予定。そしてこのTASSMAN 3はMacintoshとWindowsのハイブリッド製品となっており、価格は現在のTASSMAN 2と同じ39,800円。しかもTASSMAN 2ユーザーは無償アップグレードが可能というから嬉しい。 一方、このTASSMANのエンジンを抜き出し、即利用できる音源に仕上げたのが「Lounge Lizard EP.1」という製品。今後このLounge Lizard製品はシリーズ化されていくとのことだが、最初に登場したEP.1はエレピ専用音源。これもMacintosh/Windowsのハイブリッドで3月末に発売の予定。価格は2万円台半ばを予定している。 またフックアップとしては珍しく楽器そのものもである発売する。英EvolutionのMIDIキーボード「MK-249 Music Creator Pro 49 USB」。フルサイズの49鍵でタッチセンスに対応。右上部分には12個の回転式ノブがあり、これを各MIDIコントロールに自由にアサインできるようになっている。スライダーとモジュレーションホイールを含めると計14のコントローラが搭載されていることになる。
電源切断時もメモリとコントローラーの設定が保存できるようになっているほか、全コントローラの情報を他のデバイスに送信するコントローラースナップショット機能も搭載している。外部とはMIDIに加え、USB端子でMacintoshおよびWindowsにも接続できる。発売は3月初旬の予定で標準価格は32,800円。
■ ミディア
EmagicおよびNative Instrumentsの製品を扱うミディアは、今回EmagicのLogic関連製品を全面的に押し出していた。発表そのものは、昨年10月に開催された2001楽器フェアで行なわれていたが、3月の発売を間近に控え、具体的な製品の展示が行なわれた。 その中心となるのは「Logic Platinum 5」。これまで「Logic Audio Platinum」というネーミングだったが、オーディオ機能が当たり前になった現在、この最高峰製品からはAudioの文字が消え、昔のようにLogicに戻った格好だ。グレードとしてはLogic Platinum 5の下に「Logic Gold 5」があり、その下に以前からのネーミングの「Logic Audio 5」、さらにその下が「Micro Logic AV」となる。 最初に発売されるのがLogic Audio Platinum 5。現在のところ3月21日発売の予定で、価格は148,000円。またGold以下の製品はその後順次発売されていく予定で、価格も決まっていない(Micro Logic AVは現在のバージョンのものがそのまま置かれる模様)。なお、最初にリリースされる製品はMac OS Xには非対応だが、近い将来には対応する予定。 このLogic Platinum 5の登場と同時期に発売されるのが、混用のプラグイン・ソフトシンセ「es2」と「evoc20」。es2は同時発音数16のシンセサイザで、オシレーターとしてアナログ、デジタル、FM、Ring、Syncの5種類を3基搭載。Macintosh/Windowsのハイブリッドで38,000円で登場する。 またevoc20は、20バンドフィルタを搭載した高性能ボコーダー。こちらもハイブリッド版で価格は25,000円の予定。
さらにLogic 5専用のコントローラーである「Logic Control」および、その拡張ユニットである「Logic Control XT」も発売される。価格はLogic Controlが178,000円、Logic Control XTが158,000円。 コンピュータとの接続はMIDIで行ない、8つのチャンネルを装備。各フェーダ-にはPenny & Giles製の100mmのモーター制御/タッチセンシティブ対応のフェーダ-が採用されている。Logic 5を搭載したマシンにこれを接続することで、完全に業務用として利用できる環境が構築できる。 なお、Logic Controlは従来のLogic Audioや他社のシーケンスソフトでは使うことはできず、あくまでもLogic 5専用とのことだ。
一方、Native Instrumetns製品として初お目見えとなるのが「KONTAKT」。これはRolandの「VP-9000」のソフトシンセ版ともいえるもので、単なるフレーズサンプリングだけでなく、そのサンプリングサウンドの音程を変化させたり、テンポや音質をも自由に変化させることができる製品。
これはまずWindows版が3月から4月ごろリリースされ、Macintosh版はそれから2ヶ月程度遅れる見込みだ。価格は予価で62,000円となっている。
□ミディアのホームページ
■ メガフュージョン
さまざまな海外製品を扱うメガフュージョンは、今回Propellerheadのソフトシンセである「Reason」の新バージョンとApogee製品を中心に展示していた。 まずReasonは、いま人気のマルチ機能ソフトシンセだが、これが夏ごろまでにバージョンアップし、Mac OS Xに対応するという。
実際、展示されていたマシンではMac OS X上で動作していたが、新バージョンの詳細なスペックは発表されていない。ただ、いくつかのモジュールは追加されるようだ。
一方、アメリカのNAMM Showでも注目を集めていたというのがApogeeの「MiniMe」という製品。これはApogeeの伝説的ADコンバータ「AD-1000」を彷彿させる1/3Uラックタイプの24bit/96kHz対応のADコンバータで、高品位な2chのマイクとHi-Z、ライン入力を装備している。そしてUSBとAES/EBU、S/PDIFの出力という3つのデジタル出力を持つ。 もちろん、Apogee製品の売りでもあるSoftLimetおよびUV22HRを搭載するとともに、独特なマルチカーブ・コンプ&リミッターPush-ITも搭載。ヘッドフォン出力はダイレクト、ミックス、USB経由の3種類を切り替えできるようになっている。24bit/96kHz対応のUSBオーディオインターフェイスは各社から発売されているが、最高レベルを求めるならコレといった感じだろう。
価格は未定だが、アメリカで1,380ドルで発売されるため、国内では4月ごろ20万円弱での発売となりそうだ。
もうひとつ登場したApogee製品が「AMBus FireWire IEEE1394カード」。こちらはApogeeコンバータとFireWire&mLAN対応機器のダイレクト接続を可能にするAMBUSカード。Mac OS X 10.2で対応するため、製品発売はこのOS待ちということになる。また、同様にADATに接続する製品も4月に登場する予定だ。
□メガフュージョンのホームページ
■ メディアインテグレーション
イタリアのIK Multimedia製品をはじめとする各種製品を扱うメディアインテグレーションは、ソフトシンセをメインに発表した。音ネタCD-ROMを数多くリリースしているSpectrasonicsが、新たにバーチャル・インストゥルメント・ディビジョンを設立し、サンプリング・シンセサイザをリリースするという。 プラットフォームはSteinbergのVSTインストゥルメントとMOTUのMAS、それにDigidesingのRTASと一挙に3つに対応するとともに、Macintosh/Windowsのハイブリッド。順次さまざまなラインナップを発売していくとのことだが、今回展示されたのは3製品。 1つは、700種類以上のブレイクビーツループ、DJターンテーブルエフェクトなど、数千種類のサンプルを計2GB以上収録し、同社が「史上初のGrooveControlインストゥルメント」と呼ぶ「STYLUS」という製品。 一方、エレキ、アコースティック、シンセベースとベースに特化したソフトシンセ「TRILOGY」は、LAのトップミュージシャンによるエレキ&アコースティックベースのマルチサンプルと、MOOG、TB-303などのシンセベースのサウンドを1,000種類、計3GB以上を収録している。
さらに、ストリングス系のパッドインストゥルメント専門のソフトシンセ「ATMOSPHERE」は、分厚いアナログシンセ、ウェイブテーブルスウィープ、ボコーダー処理されたコーラスといったものから、暗い雲のようなアンビエントテクスチャー、倍音がプリズムのように変化するサウンドまで1,000種類のサウンドを用意。容量も3GBとなっている。
発売は4月ごろにSTYLUSが4~5万円で登場し、その後順次、発売されていくという。 もう1つ、大きく展示していたのがIK Multimediaの真空管アンプシミュレータ「AmpliTube」だ。これはVSTプラグインとRTASプラグインの形で6月ごろ登場する予定のもので、1,260種類ものアンプのシミュレーションができるようになっている。 見た目も凝ったデザインのAmpliTubeは、リアルタイムに弾いたギター音などを、そのまま出力することも可能。
□メディアインテグレーションのホームページ
■ Roland/EDIROL
最後に紹介するのは、RolandおよびEDIROL。先週、新製品の発表会を行なったばかりなので、ここで新たに登場したというものはなかった。しかし、ブースではUSBオーディオインターフェイス「UA-5」や、MIDIインターフェイス「UM-880」、MIDIシンセサイザモジュールの「XV-5050」といったものが展示されていた。 そこで大きくアピールしていたのは、Mac OS Xへの対応。ブースにも「Roland/EDIROLのUSB MIDI機器は、Mac OS Xに積極的に対応します」という看板が掲示されており、置かれていたマシンにも英語で同様のメッセージがあった。とはいえ、これはRoland/EDIROL側が用意したドライバで動作しているわけではなく、Mac OS X側の汎用ドライバで動作している。また動作するのはMac OS X 10.1.2以降といことで、それ以前のバージョンの場合はアップルサイトからアップデータを手に入れてアップデートする必要がある。これに対応している製品は現在のところUM-880とXV-5050の2つである。 ただし、いまのところ、Mac OS X上で動作するMIDIシーケンスソフトが正式には登場しておらず、結果としてRoland/EDIROLブースでは、MIDIのデモ演奏すらできていない状況だった。 一方、USBオーディオ製品のほうは、現在のところMac OS X上では再生のみということで、こちらも音楽環境で使うという状況には至っていない。この辺はメーカーの問題というよりもアップル側の対応ということになるのだろうが、今後Mac OS Xで本当に音楽環境が構築できるのか見守って行きたいところである。
□ローランドのホームページ
□NAMMのホームページ (2002年2月21日) [TEXT by 藤本 健] |
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp