株式会社日立製作所は、新ALISパネルを採用したプラズマテレビ「Wooo」の新ラインナップを発表した。 AVCステーション(外付けチューナユニット)別に、「BS/110度CSデジタルチューナ内蔵タイプ」、「BS/110度CSデジタルチューナ内蔵およびインターネット対応タイプ」、「地上波チューナ内蔵タイプ」の3タイプをラインナップし、それぞれに32V/37V/42V型を用意。加えて、BS/110度CSデジタルチューナ内蔵タイプには50V型を投入する。計10機種をラインナップし、シリーズ間でディスプレイ部は共通。従来のPDH/PD2100、PDH/PD2200系列は生産中止となる。 インターネット対応タイプの「PDW3000」シリーズが11月中旬、地上波チューナ内蔵タイプの「PD3000」シリーズが10月1日の発売になる。インターネット非対応の「PDH3000」シリーズは、9月10日より順次発売される。 価格はすべてオープンプライス。PDH3000シリーズの店頭予想価格は、32V型が60~65万円、37V型が70~75万円、42V型が80~85万円。PDW3000とPD3000は、それぞれPDH3000の8万円高、10万円安になると見られる。50型のW50-PDH3000は100万円の見込み。
50V型以外のディスプレイ部には、パネル輝度を向上させた新ALISパネルを採用。サブフィールドごとの映像の明るさに合わせてサスティンパルス幅を制御する方式を採用し、輝度を従来比で約30%向上させたという。放電回数も増加。パネル輝度は、32V/37V型が900cd/m2、42V型が1,000cd/m2となっている。 また、新設計の駆動回路を搭載することで、コントラストと消費電力を低減したという。42V型の消費電力は318Wで、前機種の「W42-PDH2200」に比べ、42W減少している。 さらに、パネル前面のカラーフィルタを「Dynamic MBP(Multi Band Pass)カラーフィルタ」に変更。黒の再現性とコントラストの上昇に寄与したとしている。なお、解像度は旧モデルから変更はなく、32V型が852×1,024ドット、37V/42V型が1,024×1,024ドットとなっている。
そのほかのディスプレイ部の変更点は、50V型以外に「リモートスイーベル機構」が備わったこと。これまで手動だったスイベル操作を、リモコンで行なえるようになった。角度は左右30度まで。 ディスプレイ部のデザインは、黒を基調にしたものに変更された。特に、ディスプレイフレームがピアノフィニッシュ調の仕上げになったのが大きな違い。スピーカー部は変わらず、37V/42V型はディスプレイ部との着脱が可能。32V型は引き続きディスプレイ一体型となっている。SRSのTruBassやTruSurroundも継承している。 AVCステーションのデザインも、PDH2200シリーズから大きく変わっていない。全モデルとも、「DIPP(デジタル・イメージ・ピクセル・プロセッサ)」を引き続き搭載。従来のプラズマディスプレイでは、AD変換後にプログレッシブ化を行ない、そののちDA変換、画像をアナログRGBプロセッサで処理していた。これを、表示まで一気にデジタル処理するのがDIPPの特徴で、情報量のロスがなく、ノイズのない画像を得られるという。 そのほか、高画質化回路として「ダイナミックコントラスト」、「デジタルカラーマネジメント」、「デジタルゴーストリダクション」などをPDH2200シリーズから継承。また、50V型以外では、480i/480pを1024iにアップコンバートする「1,024プログレッシブ処理」も従来通り搭載している。
■PDH3000シリーズ VHF/UHF/CATVダブルチューナに加え、BSデジタル/110度CSデジタルチューナを搭載したモデル。BS/110度CSデジタルのEPGにも対応している。また、今回発表中で唯一、50V型をラインナップする。 2画面、マルチ画面(4画面)表示のほか、パソコン画面との同時表示が可能。また、PDH2200から登場した「サテライトマイチャンネル」、「メディアチェック機能」、「メディアパネル」といったGUIも引き続き搭載している。
AVCステーションには、映像入力としてD4×3系統、S映像×3系統、コンポジット×4系統を搭載。さらに、2系統のi.LINKと1系統のアナログRGB入力を備えている。AVCステーションの外形寸法は、430×240×85mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4kg。縦置きにも対応する。 今回から新たに、AVステーションにMMC/SDメモリカードスロットを装備した。デジタルカメラで撮影した静止画を読み込み、ディスプレイで表示できる。サムネイル表示やスライドショーも可能。
■PDW3000シリーズ プラズマテレビにインターネットテレビ端末を組み合わせたようなシリーズで、Webブラウジングとメールの送受信が可能。ブロードバンドルータなどと接続するためのEthernetコネクタを備え、ブラウザはReal playerに対応。ストリーミングコンテンツも楽しめるという。 EthernetのほかUSB端子も搭載しており、キーボード、プリンタ、デジタルカメラなどを接続できる。また、ほかのシリーズにはない、マイク入力端子も搭載している。テレビの視聴中にメールの着信を知らせる機能も装備。
操作は付属の「インターネットリモコン」で行なう。通常のWebページを表示できるほか、同社ではPDW3000シリーズのユーザーに向けたポータルサイトも準備している。 そのほかの機能はPDH3000シリーズと同等で、BSデジタルチューナと110度CSデジタルチューナも搭載。i.LINKやビデオ入力も同等だが、アナログRGB入力だけ省かれている。また、AVCステーションのデザインが異なり、高さが31mm高くなっている。縦置きは不可能。 同社ではPDW3000シリーズのターゲットとして、「インターネットをやりたいが、パソコン操作がいやな人」と、「パソコンを持っているが、リビングでもインターネットを楽しみたい人」の2種類を想定している。年齢層は、前者が60~70代、後者が30~50代。「インターネットをテレビのチャンネルの1つとして利用できる」、「電源ONでインターネットが楽しめる」といった点を訴求するという。
■PD3000シリーズ 地上波チューナ×2だけを搭載した、最もベーシックな商品ライン。チューナ以外のPDH3000との差異は、MMC/SDメモリカードに対応しないことと、i.LINKと光デジタル音声出力が省略されていること。AVCステーションの外形寸法、重量はPDH3000と同じ。店頭予想価格も、従来のPD2100シリーズと同じ程度と見られる。
発表会では、プラズマテレビ市場の現状と、同社の今後の戦略についての説明があった。それによると、2001年度のプラズマテレビの出荷台数は85,000台で、2002年度には20万台と急増する見込み。すでに30型以上の分野では、20.3%(2002年6月時点)をプラズマテレビが占めているという。 こうした中、同社はプラズマテレビで2001年度のシェア1位を維持。原動力を32~37型の小型タイプと説明し、これらがCRTからの買換え需要を牽引したとしている。 同社これまで、「2100シリーズ」(2001年)、「2200シリーズ」(2002年上半期)を投入してきたが、今回は2002年下半期のラインアップとして「3000シリーズ」を発表。市場全体について、2001年を「導入期」、2002年を「育成期」と位置づけている。特に今回の3000シリーズでは、画質面での認知を向上させるのが狙い。新パネルやDIPPなどの高画質化回路により、「CRTを超える高画質を実現した」と説明している。 また、ディスプレイとAVCステーションを分離させたメリットを、「AVCステーションの種類を増やすことで、ニーズに合わせて選べる」と解説。計10機種のプラズマテレビと計18種類の専用オプションの組み合わせを「Wooo SELECTION」と呼び、「選ぶ喜びやカスタマイズする満足感」をアピールしていくという。 なお、既存ユーザーに向けたAVCステーションの単品発売は、旧機種のディスプレイとそのまま接続できないケースがあるため、いまのところ計画されていない。ただし、ブロードバンド機器本部 商品企画課の尾関考介氏は「セパレート型の強みを発揮できる展開なので、ぜひともやりたい」と語っている。 3000シリーズでのパネル別販売目標の構成比は、32V型が50%、37V型が25%、42V型が22%、50V型が3%。また、地上波チューナのみを搭載する機種なら、「来年度中に1インチ1万円を切るのでは」述べた。 また、液晶テレビについては「プラズマテレビとは違い、あくまでもパーソナルなもの。画質も明らかにプラズマが上をいっている」と、その違いに言及した。しかし、32V型クラスでの将来的な競合を示唆し、「今年末に20型クラスを投入する」との発表も行なわれた。
□日立のホームページ (2002年8月6日) [orimoto@impress.co.jp] |
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