JVA、2002年上半期のビデオソフト売上を発表
―「ハリー・ポッター」でレンタルカセットが増加


石崎邦彦委員長、児玉昭義専務理事
9月25日発表


 社団法人 日本映像ソフト協会は25日、2002年上半期のビデオソフト売上実績を発表した。「ハリー・ポッターと賢者の石」の効果もあり、ビデオソフト全体の総売上金額は、前年同期比104.5%の1,410億5,500万円を計上。過去10年で最高の売上金額を記録した。

■ メディア全体

 同統計は正会員37社の売上を基にしたもの。各メディアごとの売上金額は、カセットが589億6,200万円(前年同期比92.3%)、レーザーディスクが17億2,300万円(同87.7%)、CD関連が8億8,900万円(同38.5%)、DVDビデオが794億8,000万円(同120.0%)、DVD-ROMが100万円(同0.2%)。

 各メディアの売上金額の構成比は、カセットが41.8%、レーザーディスクが1.2%、CD関連が0.6%、DVDビデオが56.3%(DVD-ROMは0.1%以下)。DVDビデオがカセットを若干上回っている。

 なお、数量ではカセットが1,159万2,511本(前年同期比82.6%)、DVDビデオが2,385万8,131本(同118.6%)となり、メディア全体に占めるDVDビデオの割合は、63.1%になった。

■ DVDビデオ

 DVDビデオの売上金額は、販売用が721億8,500万円(前年同期比116.0%)、レンタル店用が55億6,500万円(同225.9%)、その他・業務用が173億円(同112.5%)。販売店用は伸びが一段落した状態で、石崎邦彦会長(ポニーキャニオン常務取締役)も、「DVDビデオは安定期に入った」と発言。一方、レンタル市場はDVD全体の構成比7.0%とまだ小さいものの、2002年に入ってから伸びが顕在化、同協会でも「マーケットが動き始めそうな予感がある。下半期に注目したい」としている。

 DVDビデオ全体のジャンル別売上金額では、「洋画(TVドラマを含む)」(構成比37.9%)、「日本のアニメーション(一般向け)」(同27.9%)、「音楽(邦楽)」(同10.2%)の3種類が過半数を占めた。

 伸び率が高いのは、「学校教育・企業教育・語学教育」(前年同期比1,270.0%)、「海外のアニメーション(一般向け)」(同312.3%)、「日本の子供向け(アニメーション以外)」(同161.3%)、「日本のアニメーション(一般向け)」(同154.7%)。なお、DVDビデオの平均単価は3,331.4円で、前年同期に比べ101.2%と微増している。ただし、販売用の主なジャンルについては「日本のTVドラマ」以外下落している。

主なジャンルの平均単価
(平均単価順)
ジャンル 平均単価 前年同期比
日本のアニメーション(一般向け) 4160.9円 90.9%
日本のTVドラマ 4031.2円 155.7%
邦画(TVドラマを除く) 3606.2円 92.8%
音楽(邦楽) 3124.9円 99.7%
音楽(洋楽) 2892.8円 90.2%
洋画(TVドラマを除く) 2670.0円 93.5%

 DVDビデオのルート別売上金額は、レコード店ルート(構成比45.7%)、家電店ルート(同22.8%)、その他(同9.2%)、ビデオレンタル店ルート(同8.8%)の順で多い。伸び率では、インターネットルート(前年同期比247.0%)、その他(同214.5%)、ビデオレンタル店ルート(同191.7%)などが目立つ。同協会では、ビデオレンタル店ルートの伸張を「レンタル市場が動き出した影響」と見ている。

■ カセット

 カセットにおける当期の特徴は、'99年上半期より減少が続くレンタル店用の売上金額が、前年同期比101.3%と久しぶりに上向いたこと。これは、5月にリリースされた「ハリー・ポッターと賢者の石」によるもの。対して販売店用(セル)は、同72.7%と激減した。

 同協会では、「カセットのセル市場は将来に渡ってなくならない」としているが、絶対的な販売数が減ることで「今後はタイトル次第で上下する市場になる」(石崎会長)との予測をしている。ジャンルとしては、音楽とキッズ向けが主体になるという。

 なお当期におけるセルカセットの売上金額では、「洋画(TVドラマを含む)」(構成比20.8%)、「音楽(邦楽)」(同14.6%)、「芸能・趣味・教育」(同13.7%)、「日本のアニメーション(一般向け)」(同10.9%)、といったジャンルが大半を占めている。

■ レーザーディスク

 レーザーディスクの販売用の金額ベースでは、返品のため-3,100万円という結果になった。レーザーディスクは、DVDビデオへの切り替えが最も早く進んだメディアで、販売用はほぼ完全にDVDビデオへの移行が終了した模様。ビデオカラオケの需要が根強いその他・業務用についても、前年同期比79.2%の17億5,400円にとどまっている。


 会見の最後に、児玉昭義専務理事は5月に就任した角川歴彦JVA会長の言葉を引用し、現況を「天気晴朗なれど波高し」と例えた。「統計結果は順調だが、流通を取り巻く現況は依然として厳しい。業界再編、販売店の淘汰・委譲など、業界全体が順調というわけではない。今後はインターネットでの映像配信が本格化するなど、メディアの転換期を迎えるだろう。当協会でもビジネスが順調に進むようお手伝いしたい」と結んだ。

□JVAのホームページ
(この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.jva-net.or.jp/
□2002年度6月度売上速報
http://www.jva-net.or.jp/jva/data/02.01_.html
□関連記事
【9月19日】JVA、7月のビデオソフト売上速報を発表
─「千と千尋」発売でセルカセットが2.5倍増
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【7月8日】JVA、5月のビデオソフト売上速報を発表
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【5月9日】JVA、3月のビデオソフト売上速報を発表
―レンタルDVDが4倍増
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020509/jva.htm
【4月19日】JVA、2月のビデオソフト売上速報を発表
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020419/jva.htm
【3月13日】JVA、1月のビデオソフト売上速報を発表
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020313/jva.htm
【2001年9月18日】JVA、2001年上半期のビデオソフト売上を発表
―DVDが金額で初めてカセットを抜き過半数に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010918/jva.htm

(2002年9月25日)

[orimoto@impress.co.jp]

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