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DVDフォーラム、DVDオーディオ・コンファレンスを開催
「CCCDからDVDオーディオへ」 エイベックス依田会長
2003年はDVDオーディオの普及期に。DVD-ARは3月に正式決定


11月28日開催


 DVDフォーラムは28日、東京・有明のパナソニックセンターにて、「DVDオーディオ・コンファレンス」を開催した。DVDオーディオの現状や、将来動向などをテーマごとに報告する会合で、今回はソフトウェア制作関連のトピックも多く紹介されたほか、DVDオーディオ用レコーディング規格「DVD-AR」の解説などが行なわれた。

 まず、開会挨拶では、松下電器産業株式会社常務取締役 AVC社社長で、DVDオーディオプロモーション協議会(DAP)会長の大坪文雄氏が挨拶を行なった。

松下電器 大坪文雄 AVC社社長

 大坪氏は、4つの要素を上げてDVDオーディオを取り巻く現状を解説した。

 まず1つめは、DAPを4月14日に設立したことを報告。DAPは、DVDオーディオのプロモーションするために、冊子の製作や、各種イベントなどを行なう業界団体。当初は16社でスタートしたが、現在では、ソフト10社、ハード13社の23社に増えたという。

 2つめは、年末には、DVDオーディオ機器が40を超えるなどハードウェアが普及してきたこと。対応サウンドカードの発売や、UAの国際線のオーディオシステムでもDVDオーディオが再生できるなどのトピックを紹介し、各所に普及の兆しを見せていることを紹介した。

 3つめは、DVDオーディオ/ビデオの両機能を備えたコンパチ型の1チップLSIの普及。2003年中には、DVDオーディオ/ビデオ両対応のDVDプレーヤーのシェアを70%まで引き上げるとし、2003年度中にDVDオーディオ対応機の出荷台数は1,000万台を超えると予測している。

 4つめはソフトの充実。米国ではエルビス・プレスリーのベスト版が12月に発売、また、日本でも11月にキングレコードが、12月にテイチクが相次いで参入するなど、ソフトウェアメーカーも本腰を入れだしたと述べた。

 大坪氏は、「'80年の発売以来、CDは20年を超えた。その間オーディオは進化しており、よりセキュアで高音質、高機能な媒体への移行が期待されている。音楽産業は、残念ながら決して順風満帆とはいえないとは思うが、DVDオーディオで業界を活性化したい」と、まとめた。


■ CCCDへの理解を呼びかける依田巽エイベックス会長

エイベックス 依田巽会長

 つづいて、来賓としてエイベックス株式会社の依田巽 代表取締役会長が挨拶に立った。

 大坪氏のスピーチを受けて、「音楽業界自体は、落ち込んでいるといわれるが、コンサート関連などは、不況の中で健闘している。ただし、レコード業界的には、前年比で、市場が10%以上の落ち込みを見せるなど厳しい状況だ」と現状を分析し、その要因として、「ひとつには、CDメディアの著作権保護の弱さがある。深刻なのはCD-Rの氾濫で、それを期にエイベックスでもCCCDの採用に踏み切った」と語った。

 また、「現在、約1,700万枚のCCCDを出荷しており、その内3,600人からの問い合わせをいただいた。一応、大筋は理解されたと思っているが、セキュア化は各社とも最も重要な問題と考えている。だからわれわれもDAPに参加した。2003年からは、DVDオーディオにも積極的に投入していきたい」とDVDオーディオへの来春の参入予定を明らかにした。

 また、「大坪氏の1チップ化の話には、非常に勇気付けられた」とし、「業界がはやく新しい媒体に移っていければ、また飛躍的に成長していけるのではないかと考えている」と音楽業界の復活にDVDオーディオが有効であるとの見解を示した。また、「今のCDメディアを、どうやって健康体でDVDにつなげていくかということを、メーカーさんには理解していただきたい。CCCDには問題もあるが、CDからDVDに正常に移行しないと、われわれの業界はなくなっていまう」とし、ハードウェアメーカへの理解を呼びかけた。

 脱パッケージの取り組みは、「いろいろやっているがまだ結果が出ていない。パッケージビジネスを続けていかなければいけない」とし、「もっとDVDオーディオがアクセスしやすく、ユーザーフレンドリーなメディアになった時、CDとのクロスオーバーポイントがあるはずだ。大坪さんの話をお聞きしたら、それはかなり前倒しになると感じた」と述べた。

 最後に「2003年は、音楽業界にとって飛躍が見え出す年になると思う。明るい兆候が目の前に届き始めていると感じる。CCCDでは、ご迷惑をかけていると思うが、これ以外に即効的に効果があるものはないと考えている。21世紀の新しいオーディオメディアにいい形でつなげていきたい」と述べ、挨拶を締めくくった。


■ DVD-Audio Recordingは2003年3月にVersion.1.0に

日本ビクター 渕上徳彦氏

 続いて、WG-4議長で、日本ビクター株式会社 経営企画部技術企画グループ参事の鈴木弘明氏が壇上に立ち、DVDオーディオの規格化を担当するWG-4の活動の概要や基礎情報を解説。その後に、日本ビクター株式会社 技術開発本部VDRユニット主任研究員の渕上徳彦氏が、規格の特徴と推奨事項を解説した。

 渕上氏は、PCMベースやコピープロテクションなど、音楽業界の声を聞きながら、DVDオーディオを策定したことをアピールした後、DVD規格の推奨事項を解説した。

 推奨(Recommendation for DVD-Audio)では、DVD規格書で規定される必須ルールではないが、ユーザーの利便性を向上させるために、DVDディスク/機器において準拠することが推奨される事項。従来、「用語の使い方に関する推奨」、「ボタン名とその機能に関する推奨」、「ボーナスグループに関する推奨」の4つが規定されていたが、2002年5月より、「マルチチャンネル/ステレオ互換再生に関する推奨」、「メニューの自動再生に関する推奨」、「プレーヤーのビデオ出力機能に関する推奨」が加えられた。

音楽産業との協力で策定されたDVDオーディオ規格 新たに追加された推奨項目の概要

松下電器 新保正利氏

 続いて、松下電器産業株式会社 マルチメディア開発センター 音響グループ主席技師 新保正利氏が、DVD-Audio Recording(DVD-AR)規格について解説した。

 DVD-ARは、ユーザーがさまざまなオーディオや静止画、テキストをDVDに記録できるフォーマット。DVDファミリーのアプリケーション規格となっており、DVDオーディオコンテンツをセキュアに記録できるのが特徴。

 コンテンツ仕様としてはDVDオーディオの仕様をサポートしており、最高ビットレートは9.6Mbps、最高チャンネル数は6chで、オーディオコーデックとして、LPCM、Packed PCM(MLP)をサポートしている。また、長時間記録用のLossy Codec(非可逆圧縮コーデック)もオプションでサポートしており、AC-3、MPEG-1/2 Layer2、DTS、ATRAC3、mp3PRO、MPEG-AACが利用できる。Lossy Codecデータは、トランスコーディング無しでの他メディアへの転送に利用できる。

サポートするオーディオコーデック 記録と再生におけるコーデック関係 オプションコーデックの再生互換保証

 JPEG静止画画像やテキスト情報も記録可能となっており、テキストはItem Textとして記録され、ディスク名/アルバム名/曲名/歌詞などが記録できる。コンテンツにあらかじめ付与されるもののほか、ユーザーによるテキスト入力もできる。

 なお、現在のDVD-ARのバージョンは、0.9となっており、2003年1月にVersion 1.0 Draftを、2003年3月にVersion 1.0をリリースする予定。残っている課題としては、セキュア記録再生のためのCopy Control Infomationの利用ルールの確認を挙げている。

代表静止画・テキストの利用例 規格化スケジュール

 また、DAP協議会全体会議 議長で、日本ビクター株式会社AV&マルチメディアカンパニー渉外担当次長の渡邊哲純氏が、DVDオーディオの市場動向について解説した。

日本ビクター 渡邊哲純氏 DVDオーディオ対応ハードウェアの市場予測

 まず、「DVDフォーラムは、技術フォーマットを決めるための情報発信を担当しているが、DAPはビジネスの支援を担当する」と、フォーラムとDAPの活動の違いについてについて説明。また、「2003年には、DVDプレーヤーの累計出荷台数の30%がDVDオーディオ対応となる。広い層に楽しんでいただけるハードの環境が整うだろう。実際、今年のDAP発行のカタログを見ても、8月には21モデルだった対応ハードウェアが、11月のカタログでは34に急増している。あわせてソフトも増えている」と述べ、2003年がDVDオーディオが本格的に立ち上がる年となるという見通しを示した。


■ DVDオーディオはレコードか、それとも映画か?

ワーナーミュージック・ジャパン 森川卓夫氏

 ワーナーミュージック・ジャパン株式会社 法務部の森川卓夫氏は、「セキュアな世界」と題して、著作権保護の現状を解説した。

 まず、レコード産業は、'98年に6,075億円から、2001年に5,031億円に売上が縮小しており、CD-Rの普及やP2Pによるファイル交換などの影響が考えられる。そうした中で、CCCDや各種対策が行なわれている現状を説明した。

 続いて、コピー形態の変遷と著作権関係法制史を提示し、「貸しレコードやDATの登場など、いままでもいろいろな形で、こうしたコピーの事例と戦ってきたのが音楽業界の歴史だった」と述べた。また、昨年の著作等管理事業法の施行により、使用形態による、ライセンス管理の変化などが起こっており、WIPO著作権条約(WCT)、WIPO実演・レコード条約(WPPT)発効による著作権法改正で、作曲家や作詞家だけでなく、歌手などの実演家にも人格権が認められたなど、大きな変化が起こっていることを説明。

 さらに、DVDオーディオに関する著作権の問題として、「DVDオーディオは、レコードか、映画の著作物(動画収録)か」といった、著作権法におけるDVDオーディオの定義の明確化が今後必要となるとの見解を示した。

コピー形態の変遷と著作権関係法制史 WCT、WIPOの実効により変化がおきている DVDオーディオと著作権の問題

 また、音楽コンテンツの契約には、大きく分けて、実演家の録音権に関する契約となる「専属契約(アーティスト契約)」や原盤会社がレコード会社に原盤を譲渡する「原盤譲渡契約」、ライセンス契約により、原盤の使用権のみを得る「原盤供給契約」の3つがあると説明。このうち、ほとんどの洋楽などで採用している「原盤供給契約」の場合、期間限定の複製権のみの契約のため、第三者使用許諾などを独自で行なえないなど、コンテンツ供給者としてはさまざまな問題があるという。そのため、規格に関わる人が多く来場している会場に対し、「法務の実務の視点からの要望として、権利関係のことも念頭に置きながら、DVDオーディオをどうするか検討していって欲しい」とアピールした。

松下電器産業 阿部忠氏

 続いて、松下電器産業マルチメディア開発センター 規格推進グループ参事の阿部忠氏は、ハードウェア側からのコンテンツ保護について解説した。

 阿部氏は、「不正規(海賊)コピーの抑止」、「ネットワーク流出の抑制」「個人コピーの秩序化」とのコンテンツ保護の3つのポイントを挙げ、それぞれを解説した。

 第1の段階として、不正規(海賊)コピーの抑止を挙げた。これは、ディスク固有のAlbum IDによるデジタルコピーの禁止や、電子透かしによる、アナログコピーの抑止などが実際の対策として行なわれており、アナログコピーを行なったディスクでのデモが行なわれた。デモでは最初のうちは再生できるが、15秒後にウォーターマークを検出し、再生がとまるというものだった。

 また、ネットワークへの不正流出や、CPPMを用いた個人コピーの制限などについても言及し、DVDオーディオがセキュアなメディアであることをアピールした。

コンテンツ保護の目標と手段 Album IDのチェックで違法コピーを防止 アナログコピーした違法ディスクでは、ウォーターマークを検出し再生停止


■ DVDオーディオタイトル制作時の問題

ビクターエンタテインメント 高田英男氏

 また、ビクターエンタテインメント株式会社 スタジオ長/ソフト技術部部長の高田英男氏はコンテンツ制作者からの見た、現状のDVDオーディオの問題点を指摘した。

 まず、「ハード側、ソフト側の製作者の連携がまだ十分ではないのではないか?」と述べ、DVDオーディオに移行することで、「ソフト制作者は過剰な音圧競争から脱却し、24bit/192kHzの魅力を引き出すことを考えるべき」とし、ハードウェア製作者については、「データとしての音でなく、ハイスペックの音としての魅力を理解して欲しい」と提言した。

 また、「DVDオーディオになると、製作工程の変化が生じる。オーサリング、プレビューといった工程が、製作者に理解されていないため、そこを伝えていかないといけない。また、何でもできるようになるため、製作負担が増える。製作側は、音を伝えたいのか、マルチチャンネルに力をいえれるのか、映像を重視するのか、など、伝えたいことをきちんと考える必要がある」と解説した。

DVDオーディオソフト制作時のポイント CD作成に比べ、オーサリング、プレビューといった工程が増える

□DVDフォーラムのホームページ
http://www.dvdforum.gr.jp/
□DVDオーディオ・コンファレンス・ジャパンの告知ページ
http://www.dvdforum.gr.jp/AudioConf.02.htm
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―HD-DVDを準備中、2003年6月に発行予定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20021003/dvdforum.htm
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―Blu-ray Discも検討事項に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020301/toshiba.htm
【2001年3月15日】DVDフォーラム、日本コンファレンス開催
〜 中国のDVD-Videoは規格非準拠率100% 〜
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010315/dvdforum.htm

(2002年11月28日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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