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日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は2日、デジタルメディアDSP「TMS320DM270(DM270)」を発表した。2003年第1四半期よりサンプル出荷、7月より量産開始の予定。10万個ロット時単価は13ドル以下。 デジタルカメラなどのデジタル機器向けDSPで、640×480ピクセル/30fpsでのMPEG-4リアルタイム録画/再生をサポートするのが特徴。
「DM270」は、低消費電力のDSP「TMS320C54x」と「ARM7TDMI」RISCプロセッサ、コプロセッサをワンチップに集積したデジタルメディアDSP。ソフトウェアを入れ替えるだけで、様々なアプリケーション開発に迅速に対応できるプログラマブルDSPとなっており、デジタルカメラのほか、携帯電話やDVD、TVビューワ、デジタルビデオカメラなどへの応用も可能という。 対応する画像フォーマットは、映像系がH.263/Motion JPEG/MPEG-1/MPEG-4/Nancy/Windows Media Video。オーディオはAAC/ATRAC3/MP3/Windows Media Audio、音声はAMR、G.723.1/G.726。CF、SD、メモリースティックなど各種カードインターフェイスを備えているほか、シリアルやUSBスレーブインターフェイスも内蔵している。製造プロセスは0.13μm。
なお、「DM270」は、日本TIが2月に新設した新組織「デジタル・コンシューマ・エレクトロニクス・ソリューションズ カンパニー(DCES)」が開発した最初の製品となっている。製品発表会ではDCESカンパニーの岡野明一プレジデントにより、カンパニーの今後の戦略などが説明された。 まず、岡野氏は、TIが近年DSPとアナログICにフォーカスして事業展開を行なってきており、それぞれの業界でトップシェアを獲得していると説明。岡野氏によれば、世界の携帯電話の約6割に、TIのベースバンドDSPをベースにしたチップが入っているという。
岡野氏は、「ブロードバンド化の進行により、2002年には、デジタル情報家電が大きくなると考え、DCESを立ち上げた。デジタル情報家電のキーワードは、“繋がる”ということ。それは、ワイヤレスということだけでなく、パソコンから携帯にデータをメモリカード経由で転送といったときも同じようにデータを閲覧できるような“情報のつながり”、という意味でもある」とし、今後のデジタル機器では、データの相互運用性が重要となると解説した。 「従来のデジタル機器でも、例えば、MDでは、今まではATRACというコーデックをサポートするだけだから、ハードワイヤASICでよかった。それは、ローパワー/ローコストを徹底的に追求する方向だ。しかし、これからは、MPEG-4やWMVなどのマルチフォーマットに対応する必要がある。そうした中で、それぞれのコーデック用にハードウェアのASICを制作していたら、コスト高になる。例えば、TIでは、0.13μmのASICの開発費として1億円以上は頂くことになる。しかし、DM270のようなプログラマブルDSPでは、ソフトウェアの変更だけで機能の追加が可能なため、低コスト化や開発期間の短縮が可能となる」と説明した。 また、アナログICについても、「デジタルカメラでもA/Dコンバートが重要なポイントを担っている。今、14bit A/Dコンバータを制作できるのは、おそらくTIとAnalog Devicesのみ。次世代の15bit A/Dのコンバータの開発も行なっている」と解説した。 DCESを日本に設置した理由については、「デジタル家電時代を引っ張るのは、ソニー、松下など多くのプレーヤーがいる日本。そのため、DCESカンパニーを日本に設置し、約300人の体制でスタートした」と説明し、DVD事業部、ビデオ&イメージング事業部、デジタル・オーディオ事業部の3事業部を中心に展開していくことを語った。 デジタル・オーディオに関しては、「最近、デジタルアンプを搭載した機器が多くなっている。特に、プラズマや液晶TVなどのフラットテレビでは、薄さと軽さが求められており、そうした用途は今後も拡大していくだろう」と解説。また、「いままでは、Analog DevicesやCirrus Logic、Motorolaなどが強かったハイエンドオーディオチップにも参入する」とし、既存のオーディオDSPの3倍の処理能力をもつAureus Audio DSPを開発し、日本ビクターのAX-V8000に採用されたことを紹介した。また、24bit/96KHz、ダイナミックレンジ132dBのオーディオDAC「PCM1792」とあわせて、ハイエンドオーディオの分野にも力を入れていくと説明した。 その後、本日発表の「DM270」の解説を行ない、同チップの普及により、「2003年内には、200~500万画素のデジタルカメラで、VGA/30fpsサイズのMPEG-4記録が可能になり、1GBフラッシュメモリで40分の動画を録画できるようになる。また、130万画素CCDカメラ付きの携帯電話なども実現できる」との見通しを示した。 また、そのことで、「ローエンドデジタルビデオカメラ市場の縮小や、ローエンドのデジタルカメラ市場や使い捨てフィルムカメラ市場の縮小が起こる」と予測し「携帯に130万画素のデジタルカメラ機能がついても、データ転送はメモリーカード経由で行なうことになる。最近のテレビでは、メモリーカードスロットを装備したものも増えており、これからはリビングにカードスロット搭載の機器が増えてくる」と説明した。
続いて、日本TI DCESカンパニー ビデオ&イメージング事業部イメージング製品部部長の波多野誠氏が「DM270」の詳細を解説した。 波多野氏の解説では、マルチコーデック対応への重要性や、ベンチマークを示し、DM270のパフォーマンスをアピールした。また、基本はプログラマブルなDSPだが、汎用的なデジタルカメラの処理には専用のハードウェアブロックを内蔵しており、プレビューエンジンや、ピクセルプリプロセッサ、リアルタイムAF、AWB、AE統計値演算エンジンなど、どのデジタルカメラでも必須となる機能については、高パフォーマンス化のために最適化してあると説明した。 □日本TIのホームページ (2002年12月2日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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