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マイクロソフト、AV機能を強化したOS「Media Center Edition」
-80万円の高級機や、10万円の廉価機など搭載PCが登場


10月15日発表


 マイクロソフト株式会社は15日、AV機能を強化したOS「Windows XP Media Center Edition 2004(MCE)」を発表。あわせて、国内PCメーカー各社からMCE搭載パソコンが発表された。

メディアセンター画面

 MCEは、Windows XP Professionalの上位互換OSで、AV機能を強化している。専用の操作画面「メディアセンター」上でテレビや音楽、写真、ビデオ、DVDなどのデジタルエンターテイメント機能がリモコン操作で利用できるのが最大の特徴。

 米国では2002年末よりMedia Center Edition 2003搭載PCが発売されていたが、日本では、Media Center Edition 2004が初めてのリリースとなる。なお、OEM向けのみに提供され、パッケージ販売などは行なわれない。従来モデルのWindows XP Professional/Home Editionなどからのアップグレードもできない。

 発表会では、マイクロソフト株式会社のマイケル・ローディング社長が登壇し、「デジタルエンターテインメントをより身近にする」とアピール。パソコンでテレビ視聴/録画や、写真、音楽、DVD試聴などのさまざまなホームデジタルエンターテイメントを統合するという、MCEの魅力を紹介した。

マイクロソフト株式会社のマイケル・ローディング社長 MCEがデジタルエンターテイメントの中心に

米Microsoft アドバンストストラテジー & ポリシー バイスプレジデントの古川享氏

 その後、米Microsoft アドバンストストラテジー & ポリシー バイスプレジデントの古川享氏がMCEの解説を行なった。

 古川氏は、「'75年のマイクロソフトの創業以来、“すべての机に、家庭にコンピュータを”というテーマを掲げ、事業を展開してきた」とし、「デバイスや求める機能がその中心にあった」と振り返った。しかし、「機能の充実の世界から変わる必要がある。今後はユーザー体験が重要となる。人間は家庭生活の中で、どのようなものを気持ちいいと感じるのか、そこを目指しているのがMCEだ。experience(経験)が中心となり、experienceを考えた技術、デザイン、ライフスタイルが求められている」とMCEを立ち上げたコンセプトを説明した。


リモコンのボタンひとつでデジタルエンターテイメントの世界へ

 MCEでは、リモコンの緑色のボタンを押すことで、専用GUI「メディアセンター」モードになるが、古川氏は、「“仕事モード”から、リモコンのボタンひとつで“新たなデジタルエンターテイメントの世界へ”」とまとめ、実機のデモを行なった。

 デモでは、音楽試聴画面の「マイミュージック」、テレビを楽しむ「マイテレビ」、デジタル写真を楽しむ「マイピクチャ」、ビデオ再生の「マイビデオ」、オンラインコンテンツを利用する「メディアオンライン」などの画面が、シームレスに切り替えられることをアピール。「OSのデスクトップ画面を介さずに、やりたいことをできる画面をすぐに立ち上げられるようにした」と解説された。

 なお、マイピクチャでは赤目修正や簡単な編集機能を搭載。また、マイテレビでは、日刊編集センター提供によるEPG番組録画予約も可能となっており、週単位の帯番組予約なども行なえる。ビデオの記録方式は、DVR-MS形式で、MPEG-2にASFのメタデータを載せているという。そのため、MCE以外のWindowsパソコンで視聴する際には、Windows Media Playerに専用パッチを適用する必要がある。

パソコンはeXperience Computing時代へ マイピクチャの赤目補正デモ。リモコンのみで補正が行なえる EPG予約画面、帯番組予約などにも対応する

PDPに表示してMCEをコントロール

 なお、CDからのリッピングについては、「各著作権者の意向を尊重している」とのことで、例えばCCCDなどでは、各コンテンツ事業者が定めている方式に基づいて、動作するようになっているという。ただし、OEMメーカーによる変更も可能となっている。

 また、同社では、MCE向けのSDKをパートナー企業に公開。OEMメーカーや開発者が柔軟に拡張することができるとしており、例えば米国で発表したソニーのMCEパソコンではATRAC3の再生にも対応するという。

 「オンラインスポット」からは、各種のコンテンツサービスへのアクセスが可能。米国では、映画配信の「Cinema Now」や、Roxioの展開する音楽配信サービス「Napster」などが用意されているが、日本では現在準備中という。


 日本では「テレビパソコン」と呼ばれる、マルチメディア機能を搭載したパソコンが多く出ているが、古川氏は「MCEは、新しいビジネスのプラットフォーム」とし、違いについて語った。

 例えば、ワープロソフト黎明期は各社が参入しており、インターフェイスや操作体系も異なれば、ファイルの互換性などが無かったが、現在のテレビパソコンもそうした状況に近く、開発も個別でそれぞれの操作体系なども異なっている。統一的な操作体系かつ、共通のプラットフォームができることで、各社感のソフトの違いなどを吸収できるほか、オンラインサービスなどを提供するコンテンツプロバイダの参入障壁を小さくするという狙いもあるという。

 また、地上デジタル放送への対応については、「業界でコンセンサスを築きながら、対応作業を進めていきたい」という。従来パソコンでのデジタル放送対応については、さまざまな業界の意向が絡むこともあり混乱が生じていたが、メーカーや放送業界、ARIB(社団法人 電波産業会)などとの協力にもめどが立ち「ようやく筋道が立った状況」とコメントした。


 発表会ではMCE搭載パソコンを発売する各社の代表が集まり、参入にあたって意欲を語った。また、各社のMCE搭載パソコンが展示された。

 なお、チューナカードはソーテックと、東芝が非公開で、デルがATI製カードを採用。その他のメーカーは全てピクセラ製キャプチャカードを搭載している。

各社の代表による記念撮影 各社のMCE搭載パソコン NECの「VALUESTAR U」。液晶パネルがスピーカーとして動作する「SoundVu」を搭載する
ビジュアルテクノロジーの「VT-100」。オーディオ機能を強化したDVDプレーヤー的なデザインが特徴で、8mm厚のアルミ筐体を採用する。価格は798,000円 VT-100背面。24bit/192kHz対応のEGO-SYSTEMS製オーディオカードを搭載する VT-100のリモコン。他のMCE搭載パソコンもほぼ同様のデザインとなっている
日立の「Prius Deck 700G」。20型ワイド液晶テレビ「Wooo」が付属 ソーテックの「PA7250MR」(右)。標準価格が129,800円と他社製品と比較すると低価格となっている。また、キューブ型の「Afina AC」発表された 富士通の「FMV-DESKPOWER C90EW/C」。CPUにAthlon 64 3200+を採用する
デルのDimension 4600C(左)と、Dimension 8300(右)。4600Cは日本独自モデルとなる 東芝のDynaBook G9」。今回発表された唯一のノート型MCEパソコン MCJのPureCube M41C/EasyCube M61D。99,800円~159,800円

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1730
□関連記事
【10月1日】米Microsoft、Windows XP Media Center Edition 2004を発表 (INTERNET)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/10/01/606.html
【10月2日】ATIとNVIDA、ハードウェアMPEGエンコーダ付きTVキャプチャカード
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031002/mce.htm
【8月6日】今秋から「Windows XP Media Center Edition」搭載機が順次発売
-ソーテック、東芝、NEC、日立、富士通の5社からリリース
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030806/ms.htm
【5月8日】ピクセラ、Windows XP Media Center Edition対応キャプチャ製品
-OEM顧客向けに日米で展開
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030508/pixela.htm

(2003年10月15日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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