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KDDI、3セグ対応の地上デジタルラジオ試作機を公開
-東京タワーで4日から体験イベントを開催


左からバイテックの白井社長、エフエム東京の国城常務取締役、KDDIの村上技術開発本部長
3月3日発表


 KDDI株式会社株式会社エフエム東京株式会社バイテックは3日、東京タワーで3セグメント受信に対応したPDAタイプの地上デジタルラジオの試作機を発表した。なお、3社は3月4日から6日まで、東京タワーで同試作機を使用した放送サービスの実証実験を一般公開する。

発表された試作機

 受信機の基本的な構成は、2003年10月に発表されたものと同じ。しかし、今回は東京タワーから放送されている実用化試験放送を受信し、インターネットと番組を連携させたサービスや、楽曲ファイルのダウンロードサービス、簡易動画の再生なども行なえる。

 実験に使われた試作機は、クレードルタイプの受信ユニットと、地上デジタルラジオ用の専用ソフトウェアをインストールしたPDAで構成される。受信ユニットのフロントエンド部には、VHF受信用のアンテナ、シリコンチューナ、富士通製のOFDM復調LSIを搭載する。

 メイン部のDSPは、英Alphamosaicの「Video Core VC01」を採用。32bitのRISCプロセッサや1MBのSRAMを内蔵し、放送波の分割、デコードなどをソフトウェアで処理する。音声はDACに渡し、簡易動画や文字・静止画のデータは、USB 1.1経由でPDAに転送。PDA側の専用ブラウザで表示している。

番組に連動した文字データ、静止画、動画などを見ることができる メモリースティックスロットも用意する 試作機の構成図

選局と音量ボタンは側面に用意 通信用にAirH"を装備。将来的には「CDMA 1X WIN」を採用するという 簡易動画のフォーマットが決まっていないため、試験放送で流せず、会場ではTSポートから直接データを流していた

 放送はメモリースティックに録音可能。著作権管理技術などは未定だが、製品化時には原則としてコピーワンスがかけられる見込み。データ放送はARIB(社団法人電波産業会)規格に準拠したBMLに対応。液晶はQVGA(360×240ドット)で、簡易動画の全画面表示も可能。なお、簡易動画のフォーマットはMPEG-4のライセンス問題など決定していないが、試作機はMPEG-4に対応。DSPの能力的にはH.264もサポートできるという。音声はAAC。

 電源はリチウムイオン充電池を搭載。2時間以上の連続動作時間を「最低ライン」としており、試作機の可動時間は約150分となっている。外形寸法は169.5×80×44mm(幅×奥行き×高さ)。


■ 放送と通信の融合

 試作機はデジタルラジオのチューナだけでなく、通信用にAirH"端末を搭載している。これにより、ラジオ放送の受信だけでなく、大きく分けて4つのサービスが受けられる。

  • 音楽・静止画・動画などのファイルダウンロード
  • チケット販売/ラジオショッピング
  • アンケート応募
  • EPG配信
イベントで体験できるサービス一覧

 ファイルダウンロードは、ラジオを聴きながら、気に入った音楽ファイルなどを受信機のメニューから購入、その場でメモリースティックにダウンロードできるという機能。その際、コンテンツのダウンロードには放送波を使用し、認証・課金処理にはモバイル通信が使われる。

 チケット販売やラジオショッピングでもシステムは同じで、ラジオを通して商品情報を告知、購入者はモバイル通信を用いて認証・課金サーバにアクセスし、商品を購入する。

 また、アンケート応募では、アンケートの入力フォームを放送波から受信。入力内容だけを通信でサーバへ送る。EPGは放送波で受信。番組の詳細情報を入手する際は通信を利用するといったシステムが考えられている。

 これらのサービスは、3月4日から開催されるイベントで実際に体験することができる。会場には端末が置かれ、4つのサービスを盛り込んだデモ番組が20分サイクルで放送される。なお、同イベントは一般より公募した200名のモニターを対象としたものだが、それ以外の一般ユーザーも、端末に空きがあれば体験できるという。イベントの詳しい概要は以下の通り。

【デジタルラジオ・コミュニケーション!! 体験イベント】

 日時:3月4~6日 午前10時~午後4時まで
 場所:東京タワー2階 特設会場

会場風景 イベントで放送される番組表


■ PDAタイプの受信機は年末、将来は携帯電話に内蔵

KDDIの村上技術開発本部長

 KDDIは、地上デジタルテレビの携帯端末向け放送に対応した受信機も開発している。今回の試作機の位置付けについて同社の村上仁巳技術開発本部長は、「デジタル放送の新しいビジネスモデルを考えた結果、行き着いたのは音楽だった。携帯電話でも着うたが人気で、FMラジオ付きの携帯電話も反響が大きい。地上デジタルテレビの研究も引き続き進めているが、技術面ではデジタルラジオと共通する部分も多く、両方対応できる製品も視野に入れている」という。

 なお、具体的な商品化に関しては「2004年の年末、もしくは2005年頃にPDAタイプの受信機を発売したい。しかし、その際はKDDIではなく、他のPDAメーカーと協力し、技術提供という形になるだろう」とのこと。同社としての製品は「さらなる小型・薄型化を実現し、将来的に携帯電話の中に組み込むことになるだろう」と述べた。

 なお、具体的な本放送開始時期が明らかになっていない地上デジタルラジオ放送だが、「対応機器が発売され、聴取エリアが拡大するに従い、実用化試験放送からシームレスに本放送へ移行するのでは」との見方が多かった。


□KDDIのホームページ
http://www.kddi.com/
□ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0303/index.html
□エフエム東京のホームページ
http://www.tfm.co.jp/
□バイテックのホームページ
http://www.vitec.co.jp/
□関連記事
【2003年10月2日】KDDIとFM東京、デジタルラジオをPDAで試聴する実証実験 (ケータイWatch)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/15859.html
【2003年9月30日】ピクセラ、世界初の3セグ対応地上デジタルラジオを発表
-2004年7、8月頃を目処に商品化を予定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030930/pixela.htm
【2003年5月19日】KDDI、地上デジタル放送向けの携帯端末を開発
-T-Engine上に超漢字OSを実装、CPUはSH-4
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030519/kddi.htm

(2004年3月3日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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