![]() | ||
◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
基調講演に登場した米インテルのルイス・バーンズ副社長は、冒頭、日本の文化のひとつでもある「連歌」について言及し、聴衆を驚かせた。バーンズ副社長は次のように話す。 「連歌は日本に古くからある歌の作り方だが、2人が読みあうことで、1人では実現できないような、より深みのある内容となる。デジタルの世界も同じで、多くのパートナーと連携することで、創造性、拡張性を生み出すことができる」。これになぞらえて、デジタルホームネットーワークでは、パートナー同士が協業することの重要性を繰り返し訴えた。
バーンズ副社長は、CDやDVDが急速な勢いで普及していること、かつてのビデオ戦争でベータマックスが負けたことを引き合いに出し、「標準から逸脱したものは失敗する。まずは標準を確立することが前提である」とした。 ここではインテルが取り組んでいる具体的な例として、DLNA(デジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス)とDTCP-IP(Digital Transmission Content Protection over IP)の2つを取り上げた。
ホームネットワーキング環境における相互接続を目指すDLNAでは、今年6月にガイドライン1.0を策定。これに準拠した製品が今四半期中に出荷されることに触れ、「14か国、160社にまたがる標準規格であり、これよって、複数の機器が相互に接続される。顧客に対してデジタルの世界を楽しむことかできる環境を提供できる」とした。
一方、機器間におけるコンテンツのデジタル著作権保護技術であるDTCP-IPでは、インテルのほか、日立製作所、松下電器、ソニー、東芝の5社が参加していることとともに、年内にはこの技術を搭載した製品が登場する予定であることを明らかにした。
バーンズ副社長は、「標準化することで、大きな市場が創出される」として、現在の家電市場25兆円、コンピュータ市場121兆円、通信市場242兆円の3つが標準化によって融合し、それだけでも388兆円のデジタル市場が創出されると定義した。 また、バーンズ氏は、「データの流れ(River of Data)」という言葉を用い、デジタルコンテンツを様々な機器で再生することが大きな潮流となっていることを訴える。 「この流れは、誰も止めることができない。石を投じても止めることはできない。むしろ、ユーザーはもっと先を望んでいる。そのためには創造性が必要である」。その具体的な例として、過去を振り返りながらいくつかの成功例をあげる。 「過去の成功例に、ソニーのウォークマンがある。これは、カセットテープという標準の上で、創造性を発揮したことで成功したものだ。いま、デジタルの世界でも同じようなことが起こっている。ローマ法王は300万人に対して、携帯電話にメールを送信している」。 「着メロは35億ドルの市場規模となり、CDの販売を着メロの販売が上回るアーティストもいる。インターネットでは、18億分のビデオがストリーミングで配信されており、これは2時間の映画を1,400万人が見た計算になる。また、デジタルカメラでは年間290億枚の画像が撮影されているという。新しい使い方が広がり、新しいユーザーが増えている。また新しい製品やサービスも増えている。日本でも、音楽配信や映画のコンテンツ配信がはじまっている。CinemaNowも、日本で開始されるが、これもDTCP-IPというDRMによって実現されるものである」。
基調講演のなかでは、松下電器およびソニーの薄型テレビやDVDレコーダー、東芝や富士通のパソコンと相互に接続し、DTCP-IPによって著作権が保護されたデジタルコンテンツをデバイス間でやりとりするデモストレーションも行なわれた。 このデモストレーションのあと、バーンズ氏は、「今後は、さらなるアイデアの拡張が必要」だとし、近い将来訪れる今後の高齢者社会においても、デジタルホームで提供される世界をどう生かすのかといった点を考えるべきだとした。 「コンテンツ業界、ヘルスケアの分野に加え、政治の世界でも、標準化されたプラットフォームの普及を待っている。これにより、388兆円のデジタル市場は、ますます高速に、より大きくなっていき、多くのビジネスチャンスが生まれるだろう。そして、それに参加する企業は、デジタルリバーという大きな川の流れに乗って大胆な旅に出かけることもできる。その際には、パートナーとのコラボレーションによって、予期しなかったようなことも乗り越えることができるはずだ。新しい未来に向けて、一緒にコラボレーションをすべきだ」と呼びかけた。 なお、講演終了後に報道関係者を対象にしたQ&Aセッションが開かれ、そのなかでバーンズ副社長は、「インテルが35年間に渡って取り組んできた原点に立ち返ることが必要。それは、競合の前に、協業に力を注ぎ、まずは標準規格を作ることが大切だということだ」と語る。
また、「デジタルホームはまだまだ成長の過程にある。米国ではまだ40%の人がパソコンを所有していない。また、アジアでは、パソコンを購入する余裕があるのにパソコンを持っていない人が3億人もいる。これらのユーザーを顕在化するためには、よりワクワクするような提案が必要であり、従来の垣根を超えた協業による製品やサービスの創出が必要である」と語った。
(2004年10月6日) [AV Watch編集部/Reported by 大河原克行]
Copyright (c) 2004 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |