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2002年にOVAシリーズとしてスタートし、全5巻中4巻までが発売中の「戦闘妖精 雪風」。日本SF大会「星雲賞」(日本長編部門)を受賞した神林長平氏の同名小説を映像化したもので、近未来を舞台に、突如襲来した未知なる敵と人類の戦いを描くSFアニメーションだ。バンダイビジュアルのエモーション20周年記念作品として製作され、2Dアニメと、3DCGで再現された戦闘機アクションが高いクオリティで融合。航空自衛隊の協力も受けるなど、映像・音声面でもAVファンに支持されている。
「戦闘妖精少女」というタイトルの通り、同作品では、雪風に登場した戦闘機が美少女キャラクターに変身。彼女達をメインにした、「雪風本編とは何の互換性もありません」(バンダイビジュアル)といオリジナル・ストーリーが展開する。
「たすけて! メイヴちゃん」における主人公は、17歳の少年・レイ。山間の田舎から、東京のアニメイベントへ生まれて初めてやって来た彼は、イベントの雰囲気に圧倒される。興奮を抑えきれない彼は、ひとまず落ち着こうとトイレに入ったのだが、その瞬間、見たことも無い世界に迷い込んでしまう。わけもわからないままメイヴちゃんと名乗るナイフを持った少女に襲われたところ、間一髪、スーパーシルフちゃんに助けられたレイ。彼は、その世界がアニメファンの想念が創り出すイメージの世界であることを知る……というストーリー。
「戦闘機の美少女化」というと突飛な発想にも思えるが、アニメファンにとっては「モビルスーツ型美少女」など、意外と古くからある設定。最近では島田フミカネ氏のイラストと、コナミから2月に発売される予定の「メカ娘」フィギュアが話題で、「兵器や機械の美少女キャラクター化」は、2005年最初のブームになるかもしれない注目のジャンル。
今回の「メイヴちゃん」は、雪風で戦闘機のデザインを担当した山下いくと氏が、作業中の気晴らしに描いたいたずら描きを、雪風の公式Webサイトに掲載したところ、各方面から話題となり、模型誌ホビージャパンでフィギュア化、ウェーブ・ビージェイがそのフィギュアを商品化されたという経緯を持つ。なお、DVDの初回限定版には、単品発売された「萌え萌えメイヴちゃん」フィギュアの小型(約12cm)版が、着色完成済で付属している。 初回限定版の価格は7,350円。通常版(6,090円)との違いは、フィギュア、後述するエンディングテーマを収録したCDを同梱するほか、ジャケットがもりやまゆうじ氏描き下ろしのリバーシブルジャケット仕様となっている。収録するディスクは共通で、収録時間は約30分。映像はビスタサイズをスクイーズ収録。音声はドルビーデジタルステレオで収めている。
設定だけを聞くと「また最近乱造されてる、絵と声優だけの薄っぺらな萌えアニメか」とアニメファンはため息をつくかもしれない。しかし、そこは「戦闘妖精」の名を持つ作品。外見的雰囲気は異なるものの、ストーリー的にはかなりメッセージ性の強い作品になっているという。作品に込められたメッセージとはいかなるものか、アフレコ現場にお邪魔した。
(c)2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・ビクターエンタテインメント・GONZO
■ 大量生産時代にこそ、いつまでも愛されるキャラを 「“硬派な雪風から生まれた違うジャンルの作品”、“戦闘機が女の子になる”と聞いて、初めは自分が演じるキャラクターがどんな子なのか想像できなかった」と語るのは、メイヴちゃんを演じた水樹奈々さん。可愛いキャラクターなので可愛く飛ぶのかと思っていたら、実際は一直線に凄いスピードで飛ぶので「流石は戦闘機」と感心したという。「メイヴちゃんはピュアな女の子なので、純粋な気持ちで演じさせてもらった」と語る。 「各キャラクターの服装などのデザインに、雪風に登場する戦闘機との共通点が隠されているので、細かいところまでよく見てください」と語るのは、スーパーシルフを演じた大原さやかさん。「シルフィードは頑張り屋で、おしゃべりな子」と語るのは清水香里さん。「思ったより台詞が多くて、てんてこ舞いしましたが、頑張って演じました」と笑う。
彼女達はアニメファンの思いや愛情などのパワーによって生み出されたという。しかし、その存在は忘却の魔王・フォゲッタによって脅かされている。彼女達を形作っているのは“ファンの想い”ゆえ、キャラクターへの想いや作品への思い入れが薄れ、忘れ去られてしまうと、彼女達も存在できなくなってしまうというわけだ。 昨今のアニメには、キャラクターの魅力を要素化、属性化し、その魅力だけでアニメファンを惹き付けてしまう、いわゆる“萌えアニメ”が多い。要素のみが一人歩きし、型にはまった似たようなキャラクターが量産され、新しいキャラクターが生まれると過去のキャラクターが陳腐化し、そのキャラクターのみで保たれていた作品自体と共に急速に忘れ去られてしまうという現象が起こっている。主人公のレイが迷い込んだ異世界は、現在の日本アニメ界の縮図と言っても良い世界だ。 大原さやかさんは、「様々なキャラクターを演じさせてもらっている立場上、他人事ではないなと感じた」という。「心を込めて生み出したキャラクターだからこそ、忘れ去られてしまうのが1番辛い。そういうことを、1番強くメッセージとして言ってくれた作品」だという。「だからこそ、この作品を沢山の人に見てもらい、私達に命を与えてほしい」(大原さん)。 「レイは純粋にアニメが好きで、アニメをキッカケに前に進む少年」と語るのは、主人公を演じた吉野裕行さん。「彼は作品やキャラクターを想い続けることで、アニメからもらった力を、キャラクター達に返すことができる」とのこと。レイの存在が、物語の重要な鍵になっているようだ。
同タイトルはシリーズ作品ではないが、今後の展開も気になるところ。水樹さんは「とても素敵な作品なので、続編ができて欲しい。雪風ファンの人にも、そうでない人にも楽しんでいただける作品なので、ぜひ見てください」とコメント。吉野さんは「この作品を見て、視聴者、製作側問わず、アニメが好きな人が同じように悩み、答えを出してもらえれば、アニメ界も安泰だと思う」と語った。
(c)2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・ビクターエンタテインメント・GONZO
■水樹、大原、清水のスペシャルユニットがエンディングを歌う なお、エンディングテーマは、大原さん、水樹さん、清水さんの3人が歌っている。アップテンポな曲で「キュンキュンビーム」(大原さん談)がキーワードだという。コーラスも3人が勤めており、清水さんは「私は可愛い系の声じゃないのですが、2人に合わせて思いっきり可愛く歌ってみました」とのこと。作品の内容だけでなく、こちらにも期待したい。
□バンダイビジュアルのホームページ (2005年1月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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