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International CES 2005では、ブルーレイとHD DVDの次世代規格争いが大きなトピックとなった。あわせてDTSやDolbyもHD世代のパッケージメディアに向けたサラウンドフォーマットを発表している。今回は各サラウンドフォーマットの最新動向を紹介する。 ■ DTS、デモディスクVolume9を配布
DTSブースでは、今年も、DTSサラウンドを体感できる特設シアターブースを設置。 整理券による指定人数制の形態を取っており、来場者全員に最新の映像クリップとDTSサラウンドトラックが楽しめるデモディスクがプレゼントされるとあって、人出が減リはじめた最終日の10日でも、人気スポットとなっていた。
01.HERO/BLUEROOM 02.HERO/ARROWS 03.MASTER AND COMMANDER:THE FAR SIDE OF THE WORLD 04.THE LORD OF THE RINGS:THE RETURN OF THE KING(DTS:ES-6.1Discrete) 05.I,ROBOT 06.THE DAY AFTER TOMORROW 07.KILL BILL VOLUME1 08.KILL BILL VOLUME2 09.GHOST IN THE SHELL2:INNOCENCE(DTS:ES-6.1Discrete) 10.BLUE MAN GROUP(DTS:96/24) 11.THE CRYSTAL METHOD/BORN TOO SLOW(DTS:ES-6.1Discrete)
12.SIMPLE MINDS/ALIVE AND KICKING(DTS:96/24) 13.THE POLYPHONIC SPREE/HOLD ME NOW 14.PORCUPINE TREE/SOUND OF MUZAK 15.LTJ BUKEM/UNCONDITIONAL LOVE(QUINTET PLAYS RECONDIONED LOVE REMIX) (DTS:ES-6.1Discrete) 16.SWEDISH RADIO/THE RUN なお、DTSのご協力により、このデモディスクを読者プレゼントとして5枚頂いた。こちらのページから応募して欲しい。
■ 来るべきHD DVDとBlu-ray時代に向けたDTSの取り組み DTSは次世代DVDといわれるHD DVDとBlu-ray Disc(以下BD)のHD映像コンテンツのサウンドトラックフォーマットとして2004年10月末に「DTS-HD」を発表した。今回、このDTS-HDについて、現在までに決まっている情報は、DTSのPR担当のPAUL WOOTEN氏に聞いた。
まず、DTS-HDは、2005年1月時点でHD DVDにおけるオプション扱い、BDではコンテンツメーカー側がドルビーデジタル系と同列に選択可能なフォーマットになったという。もちろんセルベースでのHD DVDソフトやBDソフトは、まだ登場前なので、将来的にどのフォーマットが多く採用されるかはわからない。 DTS-HDは、今回、「DTS」に「HD」を付加し、新しいフォーマットのようにブランディングしているが、実は基本技術自体は'96年に開発された「DTS Coherent Acoustics」をほぼそのまま活用している。DTS-HDでは、オリジナルDTSがもともと持っていたロスレス(可逆)圧縮モードを活用して、7.1chサラウンドを実現するという。 7.1chのDTS Coherent Acousticsロスレスモードは、技術として存在はしていたが、DVDメディアの容量や転送速度、DSP側の演算速度がボトルネックとなり、これまでほとんど実用化されていなかったとのこと。次世代DVDメディアの容量アップ、データ伝送レートの高速化、DSPチップの高性能化により、やっと日の目を見ることになったというわけだ。 第1世代のDTS-HDでは7.1chを基本とするものの、DTS Coherent Acoustics自体は2,048チャンネルまでサポートできる設計であるため、かって初代DTSが5.1chが6.1chに拡張されたように、DTS-HDもチャンネル数の拡張はあるかもしれない、とのこと。7.1chの内訳は、6.1chのリアセンターをデュアル化する。
気になる互換性だが、DTS-HDのストリームには現行DTSのストリームが含まれるため、現行のDTS対応のAVデコーダアンプで再生は可能。いうまでもないだろうが、7.1chのロスレスDTS-HDモードの再生には、対応AVデコーダアンプが必要になる。 DTSでは2005年12月までに、各社からDTS-HD対応デコーダアンプが登場すると予測。HD DVDやBDのROMタイトルも2005年第4四半期のリリースが予定されているので、その頃にはAVアンプ側の対応も進むということだろう。ともあれ、ハードウェアがあるのにソフトウェアがないという事態だけは避けたいところだ。
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■ DolbyはDolby Digital Plusのデモを実演
一方、Dolbyブースでは、特設シアターにて、1080pのHD映像(ハイビジョン)と、次世代DVD向けフォーマットであるDolby Digital Plusのサラウンドサウンドがいち早く楽しめるデモを公開した。 Dolby Digital Plus(以下DD+)とはなにか、これについて、DolbyのPRマネージャ、Adam J.Anderson氏に説明して頂いた。 DD+は、HD DVDに正式採用が決まったサウンドトラックフォーマットで、現行DVDに引き続き、HD DVDでもスタンダードとなる。これに対し、BDでは、2005年1月時点においては、DD+が採用されるかどうかは決まっておらず、現在、BDで採用が確定しているのは現行のドルビーデジタルのサポートまでだという。
サポートされるチャンネル数はこちらもやはり7.1chが基本となり、6.1chの後方センターをデュアル化したイメージになる。ただし、DD+には、5.1chのソリューションも設定され、この場合はスピーカのレイアウトは現行Dolby Digitalと全く同じになる。なお、これはチャンネル構成が5.1chなだけで、音質はDD+クオリティということだ。 Anderson氏は「7.1chを基本とする方針だが、もしかすると、ローエンド向けのAVアンプ製品の中には、5.1ch分しかサポートしない製品も出てくるかもしれない」と予測する。
DD+は、フォーマット的には最大13.1chまでをサポートできるような設計になっており、時代が一層の多チャンネル化を求めてきた場合にはこの範囲で対応可能としている。 ビットレートは最大6Mbpsまで。現行ドルビーデジタルが640kbpsまでだったことを考えると10倍に拡張されたことになる。圧縮方式は現行Dolby Digitalをエンハンスした、同系のロッシー(非可逆)圧縮だが、アルゴリズムの改良とビットレート上限の拡大により、クオリティは各段に向上しているという。
それではDolby系ではロスレスのソリューションはないのかというと、そういうわけでもない。高音質が要求されるソフトには、DVD-Audioのロスレス圧縮で採用されたMLP(Meridian Lossless Packing)方式の活用で対応する。MLPの仕様は従来通りでサラウンドサウンドは24bit/96kHzで、ステレオサウンドは24bit/192kHzでの対応になる。 現行ドルビーデジタルとの互換性についてだが、これは完全下位互換がサポートされる。DD+ストリームには、従来の640kbps以下のドルビーデジタルストリームが織り込まれており、現行のAVデコーダアンプでは、これが有効ストリームとして再生される。
ところで、DTS HDにしろDD+にしろ、次世代DVD向けサウンドトラックのオーディオストリームはどのように伝送するのだろうか? 現在は、同軸デジタルや光デジタルでDVDプレーヤーとAVアンプを接続している人がほとんどだろう。しかし、現行DTSやドルビーデジタルでは、数百kbpsだったオーディオストリーム伝送レートは、DTS-HD、DD+では数Mbpsと10倍近く高速化されるため、現行のデジタルケーブルでは心許なくなる。また、著作権保護の観点からも現行の方式を使い続けるのは限界がある。 これについては、次世代のオーディオストリーム伝送ケーブルとしてはHDMI(High Definition Multimedia Interface)を標準とする動きになっているという。なお、HDMIは、映像と音声の双方を著作権保護機能付きでデジタル伝送する仕組みだ。オーディオのみを伝送したいという用途には、IEEE 1394を推すメーカーもあるかもしれない、とのこと。
■ その他、Dolbyブースに展示されていた注目アイテム
Dolbyのブース内には、今年もドルビーデジタル関連製品の新作が数多く展示されていた。その中でも興味深いものをピックアップして紹介したいと思う。 「Thrustmaster T510」は、バーチャルサラウンドを実現するヘッドフォンだが、ユニークなのは、ドルビーデジタルのデコーダとバーチャルサラウンドプロセッサをマッチ箱程度のユニットに凝縮してしまっている点だ。さらに、DVDプレイヤーやPS2やXboxなどの光デジタル出力端子と直結して使用できる。 ヘッドフォンに内蔵されたドライバユニットは左右1基ずつで、バーチャルサラウンドはHRTF(Head-Related Transfer Function;頭部伝達関数)ベースの技術によって実現される。 イギリスでは近日中に発売、北米は春頃、価格は150ドル前後。日本での発売は未定となっている。 三菱電機「WD-62825」は120GBハードディスク搭載のビデオレコーダを内蔵した単板式DLPリアプロTVだが、そのビデオレコーディングの際のサウンドトラック記録にドルビーデジタル方式を採用しているのが特徴。現在は2chステレオだが、次世代機では5.1ch記録対応が予定されている。
「Dual-Disc」はDVDオーディオとCDを融合する新メディア。1枚の12cmディスクメディアの片面にCDオーディオ、裏面にはDVDオーディオを記録し、フリッパブル(裏返しても再生可能な)を実現している。 レコード会社としては、いまいち踏み切れなかったDVDオーディオへの本格参入を手助け、アーティストとしてはアイディア次第でそれぞれのメディアの特性を活かしたユニークなコンテンツを入れられるようになり、表現の幅が広がる。ユーザーの立場としては、家にいるときは自慢のサラウンドシステムでDVDオーディオトラックを高音質に楽しみ、車のカーステレオやポータブルプレイヤーではCDトラックを楽しむといった活用が可能になる。 5.1 Entertainment/Silverline Recordsは2004年12月、ドルビーヘッドフォンエンコードしたトラックを収録したDualDiscの販売方針を発表。これを受けてDolbyブースでのプロモーションを行なっていた。
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DolbyとIntelが推奨するPCにおけるサウンドクオリティの認証プログラムについても解説されている プログラムは、そのPCがサポートするDolbyのオーディオテクノロジーの種類や品質に応じて「Dolby Master Studio」、「Dolby Home Theater」、「Dolby Sound Room」のロゴがその製品に与えられる。サポートターゲットとなるDolbyテクノロジーはDolby Headphone、Dolby Virtual Speaker、Dolby Digital Live、Dolby Pro LogicIIxなど。 Dolby Master Studioは最大7.1ch再生までをサポートしたハイエンドシステム、Dolby Home Theaterはホームシアター用途に必要十分なクオリティを満たすシステム、Dolby Sound Roomは2chステレオスピーカやヘッドフォンでバーチャルサラウンドが楽しめるカジュアルクラスのシステムに相当する。 この仕組みにより、ユーザは自分の用途や求めるクオリティに応じて柔軟でわかりやすい製品選択が出来るようになる。THXが行なっている「THX Multimedia」ロゴ認証のDolby版だ。
■ THXはTHX Select2システムを展示
THXブースでは、新たに発表されたTHX Selcet2の詳細を伝える内容でブースを展開した。 THXはサウンド再生システムやサウンド制作現場のクオリティ認証を行なう企業だが、既存のサラウンドフォーマットを独自の技術で拡張再生する仕組みも提供している。 その代表格がTHX Ultra2とTHX Selectなのだが、今回、このTHX SelectがTHX Selcet2へとアップデートされた。 2年前より提供されているハイエンドシステム向けのTHX Ultra2は3,000ft3(約85m3/約20畳程度)をターゲットにした規格だが、THX Select2は先代のTHX Selectと同様に2,000ft3(約57m3/約15畳程度)の広さをターゲットにしている。どちらが良い、悪いという概念はなく、部屋の広さにマッチしたものを選べばよいことになっている。 THX Selectに対して、THX Select2の一番大きな違いは、「THX Games Mode」というゲーム向けの音場プログラムが追加されたという点。昨年のInternational CESではTHX Ultra2に「THX Games Mode」が追加されたことを報じたが、今年はTHX Selectに「THX Games Mode」が追加されたというわけだ。 なお、THX担当者によれば、今のところ、次世代DVDのサウンドトラックに関しての関連技術の発表はないとのこと。 なお、THX Ultra2とTHX Select2の仕様の違いを以下にまとめたので参考にして欲しい。
□2005 International CESのホームページ (2005年1月14日)
[Reported by トライゼット西川善司]
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