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パイオニア株式会社は、世界で初めてDual Layer DVD-Rへの録画に対応したハイブリッドレコーダを発売する。HDD 200GBの「DVR-530H」と、250GBの「DVR-555H」の2モデルをラインナップし、価格はどちらもオープンプライス。発売時期と店頭予想価格は、530Hが5月上旬で7万円台前半、555Hが6月上旬で8万円台前半の見込み。 Dual Layer DVD-Rへの録画に対応したハイブリッドレコーダ。ドライブはPC用の「DVR-A09」と同等のものを採用しており、最大4倍速のDual Layer DVD-Rへの書き込みが行なえる。なお、録画用のDual Layer DVD-Rメディアについて同社は「近いうちに発売されると聞いている。価格はデータ用のDual Layer DVD-Rと同程度になると想定している」と説明している。
【お詫びと訂正】 2層メディアを利用した場合、最長時間モード(マニュアルモード/解像度:CIF 352×288ドット/ビットレート:約750kbps)で約24時間の録画が可能。市販のDVDビデオと同等の画質でも、6時間の録画ができるとしている。 Dual Layer DVD-Rの録画フォーマットはビデオモードで、VRモードはサポートしていない。なお、録画したメディアの再生互換性は、同社が販売している再生専用DVDプレーヤーの場合、「ほぼ全ての機種で再生が可能」(同社)。また、レコーダに関しても2004年10月以降に発売されたモデル(DVR-920H/720H/625H/525H)などで再生確認を行なったという。
そのほかのフォーマットは、DVD-R 12倍速、DVD-RW 6倍速書き込みに対応。DVD-RWだけでなく、DVD-RもVRモードとCPRMをサポートしており、コピーワンス番組の録画が可能。なお、DVR-A09は、最新のファームウェアでDVD-R 16倍速に対応しているが「レコーダでは画質と安定性を重視して12倍速とした。ただし、メディアは16倍速対応のものを使用して欲しい」(同社)としている。 ほかにもHDD録画時に2カ国語録画や、2/3D1、3/4D1解像度に対応し、再生面では新たにDVD-RAM(ノンカートリッジ)の再生もサポート。DVD+R/RWのビデオフォーマットもサポートする。また、MP3/WMA/JPEGを収録したCD-R/RWも再生できる。 高画質LSIと新開発のMPEGエンコーダを搭載。録画モードは、従来のXPモード(約10Mbps)に加え、新たに約15Mbpsの「XP+モード」を追加。さらに、長時間モードにはSLPの下に1.01Mbpsの「SEP」を設けた。これにより録画モードはXP+/XP/SP/LP/EP/SLP/SEPの7モードと、マニュアルモードが利用できる。ただし、XP+モードはHDD録画のみとなっている。 画質面では、MPEGデータの構造を見直すことで高画質化を図っている。具体的には画素データのほかに含まれている動きベクトルや制御情報などのオーバーヘッド情報に注目。同情報を最適化し、不要部分を削減することで、画素データに割り当てるデータ容量を増加させたという。 さらに、HDDからDVDへの等速(再エンコード)ダビングには、2パスプロダビングを実施。シーン毎のビットレート割り当ての最適化などを行なうことで、XP+モードなどで録画した番組をDVDに高画質でダビングできるという。
また、ハイエンドモデルの920H-S/720H-Sで採用されたフルデジタル信号処理「DianaCircuit」の思想を継承。入力部のA/D変換後をすべてデジタルで処理することで、画像の劣化を防いでいる。
チューナ部はアナログのVHF/UHF/CATVをサポート。両モデルとも3次元Y/C分離回路を搭載。555Hのみゴーストリダクションチューナも備えている。なお、920H/720Hはi.LINK端子にデジタルチューナを接続することで、デジタル放送のストリーム録画できたが、今回の2モデルではサポートしていない。また、i.LINKをPCに接続し、PCから録画したタイトルの編集などを行なう「PCエディットゲート機能」も省かれている。
■ 東大と共同開発した新GUI
GUIは、東京大学先端科学技術研究センターと共同で開発したものを採用。簡単、快適で迷わない操作感を実現したという。「快適ディスクナビ」では、録画済コンテンツを1画面に4/8タイトル、サムネイル付きで表示が可能。録画した順や新着順などで並び替えられるほか、サムネイルを多数表示させても素早いスクロールが行なえ、タイトルの複数選択も可能となった。 また、次の操作がわからなくなった時や、表示された用語の意味がわからない時などに利用するヘルプ機能「気がきくナビ」を搭載。説明書を読まなくても、画面右下に専用アイコンが表示される場所でリモコンの専用ボタンを押せば、ガイドと用語の解説が表示される。
さらに、Gガイドを使ったEPGも進化。拡張検索・自動録画機能に対応した「気がきく! 録画辞典」や野球延長対応機能、連ドラ延長機能に加え、新たに「新番組検索」と「おまかせ検索」を追加。新番組検索はEPGから「新」マークのついた番組を検索、おまかせ検索はジャンル選択から目的の番組を検索可能。なお、ジャンル情報はGガイド標準のものだけでなく、「ランキング」や「語学勉強」など、パイオニア独自のジャンルも追加されている。
■ 音楽/デジカメサーバとして利用可能
また、ワンタッチで音楽CDをHDDに取り込める「ジュークボックス機能」を搭載。ボタン1つで、ドライブに挿入した音楽CDをリッピングし、AC3(ドルビーデジタル)の256kbpsで録音・再生できる。ビットレートの変更はできない。アルバムタイトルは手動で入力可能だが、1曲ずつのタイトルを付けることはできず、「Aアルバムの3曲目」といった再生方法になる。なお、音楽ファイルはDVDへの書き出せない。 さらに、上位モデルの555Hは、前面と背面に合計2系統のUSBポートを装備。デジタルカメラを接続することで、JPEG形式の静止画をHDDに保存できる。保存した画像はレコーダでテレビなどに表示(最大3,840×5,120ドットまで)できるほか、ビデオ形式のスライドショーとしてDVDメディアに記録が可能。その際はスライドショービデオとオリジナルの画像データもディスクにコピーされる。同社は「撮影画像の配布に適している」としている。 また、デジタルカメラ内に動画やJPEG以外の画像ファイルがある場合でも、内部データを丸ごとバックアップできる。DVDへの書き出しも可能だが、JPEG画像を使ったスライドショービデオを入れずにデータのみを書き出すことはできない。 なお、USB端子はPictBrigeにも対応。PictBrige対応のプリンタを接続すれば、PCを使わずにレコーダ内の静止画をプリントアウトできる。さらに、USBキーボードを接続して、タイトル入力なども行なえる。ほかにも、USBのカードリーダやUSBメモリ、USBキーボードの接続などにも対応予定。
USB端子を除いた接続端子は2モデル共通。入力端子としてS映像、コンポジット、アナログ音声を各3系統、DV入力を1系統用意。出力端子はD2と光デジタル音声を各1系統、S映像とコンポジット、アナログ音声を各2系統備える。
外形寸法も共通で、420×273×59mm(幅×奥行き×高さ)。重量は530Hが4kg、555Hが4.1kg。消費電力は530Hが37W(待機時0.38W)、555Hが40W(待機時0.4W)となっている。
■ Dual Layer DVD-R対応モデルの拡充へ
AVビジネスカンパニーの宮川務参事は新モデルについて「Dual Layer DVD-R対応機としては世界初だが、価格帯ではローエンドに位置するモデル」と解説。
さらに、今後のラインナップについては「ハイエンドの920H/720Hは引き続き併売するが、今後のラインナップとしてはDual Layer DVD-R対応モデルを拡充していきたい」と説明した。
□パイオニアのホームページ
(2005年3月31日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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