|
日本ビクター株式会社は、日本国内市場でのリアプロジェクションテレビの市場投入を発表。D-ILAリアプロテレビ「ビッグ スクリーンエグゼ」として61V型の「HD-61MD60」と、52V型の「HD-52MD60」を5月中旬より順次発売する。
52型は5月下旬より発売され、価格は682,500円。61型は5月中旬より発売され、価格は787,500円。 D-ILA(Direct-Drive Image Light Amlifier)」は、ビクター独自開発のLCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶)チップ。日本市場では業務/民生用フロントプロジェクタでの採用例はあったが、リアプロジェクションテレビでの採用は初。北米市場では2004年7月より展開している。
パネル解像度はともに1,280×720ドットで、輝度は52型が700cd/m2、61型が500cd/m2。D-ILAの約92%という高開口率を生かし、画素間グリッドが目立たず、滑らかな映像再現が可能という。ランプは110W UHPで、交換も可能。交換ランプ「TS-CL110J」も発売され、価格は15,750円。 ランプの小型化により、198Wと消費電力を低減。同社の40V型液晶テレビ以下の低消費電力を実現したという。
チューナーは、地上/BS/110度CSデジタルと地上アナログを搭載。地上アナログ用にゴーストリデューサを装備し、EPGとしてG-GUIDEを採用している。画像処理エンジンとして同社独自のLSI「GENESSA」を搭載する。 GENESSAは32bit CPUによる画像処理エンジンで、コントラスト感を向上させる「インテリジェントガンマ」や、色彩感を向上させる「カラークリエーション」などを搭載。暗部の映像情報を引き出して、従来は見えなかった色彩感や質感を再現するほか、明所でのコントラスト補正により立体感を向上させ、空の青などを”記憶色”に調整するという。
入力端子は、D4×1、コンポーネント×1、S映像×3、コンポジット×3、アナログ音声×3、HDMI×1。i.LINK×2や光デジタル音声出力、10BASE-T Ethernet、モニター出力端子なども装備する。インターネットを介した情報サービス「Tナビ」にも対応する。 スピーカーは同社独自のオブリコーンスピーカーを採用。音声出力は10W×2ch。ドラマなどの音声スピードをゆっくりスタートさせ、徐々に実際の速度の音声に戻していくことで話者が意識的にゆっくり話しているように聞き取れる「ゆっくりトーク」や、声帯域の補正とダイナミックレンジ圧縮を行ない台詞の聞き取りやすさを向上させる「はっきりトーク」も搭載する。 外形寸法/重量は61V型が1,456×470×1,042mm(幅×奥行き×高さ)/46.3kg。52型が1,254×412×914mm(同)/39.8kg。
発表会場では、同社の土屋栄一専務取締役がリアプロジェクションテレビ市場への参入について説明。「日本のリアプロジェクションテレビは、市場をうまく育成できずに現在に至っている。要因を分析してみると、放送がアナログ地上波、パッケージソフトもVHS主体だったため、大画面には耐えなかった。また、画面が暗い、大きくて重いというという印象も残してしまった。このイメージを払拭しないと、日本でのプロジェクションテレビは普及しないと考え、改善を積み重ねてきた。ビッグ スクリーン エグゼでは“これならば絶対いける”というところまで到達した」という。 また、今後50型以上の大画面市場の伸張し、そのうちMD-PTV(LCOS、DLP、3LCDなどのリアプロジェクションテレビ)が半分以上を占めると予測。「プラズマテレビ以上のサイズの大型市場をターゲットに製品戦略を図る」と語り、「D-ILAデバイスを発表して長い年月が経ったが、ノウハウを蓄積して、ようやく民生に展開できるようになった。ビクターのテレビとしては、初めての垂直統合のテレビとなる。ディスプレイ事業をより収益性の高い事業にしていきたい」と意気込みを語った。
また、AV&マルチメディアカンパニー副社長 ディスプレイ統括カテゴリー長の梅本稔氏は、同社のディスプレイ戦略について解説。液晶/PDP/リアプロの各製品をインチサイズ別にラインナップし、40型までを液晶、40~50型までをPDP、50型超をリアプロテレビを投入し、「フラットパネルの3本柱」として製品展開する。今期の販売目標は、北米で26万台、日本で2万台、その他で2万台の合計30万台。D-ILAデバイスについては約40億円の投資を行ない、6月までに現在の月産1万から3万に増産する。
なお、70型などより大型の製品については、「北米では3月より販売している。日本では大きさなどの問題から、需要がどこまであるかわからないが、販売店の声などを聞きながら検討していく」という。さらに、1,920×1,080ドットのフルHD対応機についても、「デバイスとしては既にできている。今後検討を進めていく」とのことで、米国で発表済みの70型に加え、より小型モデルでもフルHD化を図っていく可能性を示唆した。 なお、プロモーションに関しては、4月29日より東宝系劇場で公開予定の映画「Shall We Dance?」とのタイアップ。Shall We Dance?のイメージを利用した宣伝を予定している。 発表会場では、リビングルームを模したスペースに実際に設置し、コーナー置きが可能な薄さや、リビングにフィットしたデザインをアピールした。
□ビクターのホームページ (2005年4月7日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|