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ソニー、BtoB向け展示会「P&B Solution 2005」
-中鉢新社長「顧客視点でソニーの復活を目指す」


会期:6月1日~3日

会場:プリズムホール

入場料:無料


 ソニーは、同社の放送業務用機器や業務用機器を集めたプライベートショー「Professional&Business Solutions 2005」を東京 文京区のプリズムホールにて開催した。会期は6月1日から3日。入場は無料だが、事前登録が必要となる。

 ソニーの民生市場向け製品を除いた、いわゆるBtoB(Business to Business)製品を一同に集めた展示会。従来より、同社が得意とする放送や映像プロダクション向け製品に加え、データプロジェクタや、テレビ会議システムなどの新製品が展示されている。また、同会場で行なわれたセミナーには、6月22日よりソニー社長に就任予定の中鉢良治 副社長兼エレクトロニクスCEOが登壇し、BtoB市場へのソニーの意気込みを語った。


■ 映像コンテンツ制作関連

 コンテンツ制作関連では、9月に発売予定の業務用HDVカメラ「HVR-A1J」を初出展した。民生用の「HDR-HC1」に外部マイクや、シネマトーンガンマ/シネフレーム/ブラックストレッチなどの業務向けの機能を追加したモデル。会場では実写デモも行なわれており、上位モデルの「HVR-Z1J」との比較など、来場者からの質問が絶えなかった。

HVR-A1J アドビ、カノープス、アップルなどによるHDV編集デモも実施

HD対応XDCAMのデモ

 また、ブルーレイディスクと同じ青紫レーザーを利用した放送用ディスクシステム「XDCAM」のHD対応デモも行なわれた。デモは試作したHD対応XDCAMカメラで、既存のディスクメディア「Professional Disc」に25MbpsのMPEG-2 LongGOPでHD撮影。そのディスクを専用プレーヤーにて再生するというもの。

 発売時期、価格ともに未定だが、「今年中の製品化ということはない」とのこと。「ハードウェア的な技術は揃っているが、MPEG-2 LongGOPでの編集環境や、最適なビットレートなどの検証、ソフトウェア仕様策定を進めている段階」という。


HD対応XDCAMカメラ HD対応XDCAMレコーダ

 また、HD対応XDCAM用のPCカードユニットやメモリースティックメディアなども参考出展している。PCカードにより、HD対応XDCAMカメラを無線伝送拡張したり、あるいは、PCカードに装着したメモリースティックにプロキシデータを記録して、そのプロキシデータを元に粗編集するなどの用途を考えているという。メモリースティックについては、PanasonicのP2カードのように、HD映像を直接記録するのではなく、あくまでプロキシデータ用と位置づけている。

カムコーダ組込型のPCカードユニット 解説

 XDCAMで撮影中の映像のプロキシデータをPCにストリーム配信し、専用ソフト「PDZ-1」で編集可能とする「ライブロギング」のデモも行なわれた。撮影が終わる前に、粗編集に入ることができ、編集済みのプロキシデータをディスクに書き戻すことで、ディスク上の録画データにも編集が反映され、作業時間の短縮などが見込める。

ライブロギングのデモ 解説 XDCAM対応のポータブルレコーダ「PDW-R1」も参考展示


■ その他

 また、映像コンテンツ関連以外のBtoB関連製品も、テレビコミュニケーションシステムの「IPELA」をはじめとして多数展示している。

IPELAも大々的に展示 160度の広域監視が行なえるシステム「XIS-S100」。動いたものを検知するとモニタ上に知らせる。価格は1,500万円以上
360度のリアルタイム動体監視が行なえる「XIS-S10DC」。価格は250万円程度の見込み VPL-PX41とWCS-40を利用したウィンドウディスプレイデモ


■ 中鉢新社長「顧客視点でソニー復活を目指す」
中鉢良治社長(ソニー提供)

 会場で行なわれたセミナーには、ソニーの中鉢良治新社長が登壇し、プロフェッショナル/業務市場での意気込みを語るとともに、“顧客視点”という、新生ソニーのポリシーをアピールした。

 「入社してすぐに任されたのが、テープの素材を酸化鉄へ置き換える仕事だった。その際、放送局などにご迷惑をかけたこともあったが、BtoBビジネスが自分の原点にある」と自らの体験を振り返りながら、「ソニーは基本的にコンシューマ向けビジネス(BtoC)の会社だが、プロフェッショナルソリューションズ・ネットワークカンパニー(PSNC)では、放送業務などを中心に売上比率では17~18%のBtoBビジネスを行なっている。現在、BtoCの方は調子がよくないが、BtoCは移ろいやすい市場で、店頭で選んでもらう市場。それにに対し、BtoBは顧客の意見を聞いて製品を納める市場。“顧客視点”をビジネスの中心に考えていきたい」と意気込みを語った。

 さらに、「もちろんBtoBのみならず、BtoCでも顧客の声に耳を傾けて進めていきたい。マスコミ、ひいてはソニーの中からも、“顧客の声にただ応えていくのはソニーらしくない。ソニーらしさを求めている”という指摘もあるが、顧客視点があってこそ、半歩先の提案ができる。これは、PSNC、ひいてはソニー全体の大きなテーマだ。顧客視点に立って、お客様に長期的な利益と満足を提供することを目標に取り組んでいく」と、顧客視点を強調した。

 また、PSNCの今後の取り組みとしては、テレビ会議システムの「IPELA」などの映像コミュニケーション分野を挙げ、第2の成長分野として定義。また、ソニーのエレクトロニクス復活のための施策として、「顧客視点に基づく商品力の強化」、「技術を生かしたデバイスとセットの融合」、「設計、開発、生産まで、メーカーとしてのサイクルを生かした製品投入」を掲げ、「ソニーに入社して、かつては、家庭にトリニトロンのテレビが、放送局にソニーの機材が使われていることが誇りだった。BtoBのプロフェッショナル市場では、作った我々より特性を熟知して、使いこなしている顧客が大勢いる。その声を聞いていくことで、ソニーのエレクトロニクス復活を目指していきたい」と意気込みを語った。

PSNCプレジデント 大木充氏

 続いて、PSNCの大木充カンパニープレジデントは、「HD技術により、プロフェッショナル映像市場には大きな変化が起きている。映像制作分野だけでなく、IPELAなどのコミュニケーション分野まで、PSNCの全ての製品でHD技術を取り入れていく」と述べ、PSNCをHD映像のソリューションカンパニーと定義。

 また、映画業界でのデジタルシネマの流れや、IPELAによるコミュニケーション分野へのHD映像の導入についても語り、「ソニーのHDはまず画質。そして作業効率の向上に役立つソリューションを提供していきたい」とし、今後の営業展開については、「ソニーでは、放送局には強い営業を持っているが、官公庁に弱い。この比率をSBS(ソニーブロードバンドソリューション)と連携して高めていきたい」と語った。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□Professional&Business Solutions 2005
http://www.sony.jp/products/Professional/index/information/PBS2005/index.html
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(2005年6月1日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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