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ケンウッド、ホームエレクトロニクスの事業戦略を説明
-「HDDプレーヤーの音質には命を掛けた」


河原春郎代表取締役兼CEO
6月6日発表


 株式会社ケンウッドは6日、ポータブルHDDオーディオプレーヤーの新製品発表会を開催。その中で、ホームエレクトロニクスに関する今後の事業戦略の説明を行なった。

デジタルメディアの移行期は大きなビジネスチャンスになるという

 河原春郎代表取締役兼CEOは、ポータブルプレーヤー市場の中で、フラッシュメモリ/HDDプレーヤーが大きな割合を占めている現状について「レコードからCD、MD、DVDへと進み、今まさにメモリ/HDDという新しいメディアにシフトしつつある時期。過去の例を見ても、こうした時期は、我々にとって大きなビジネスチャンスになる」と説明。「受身になることなく、積極的に魅力的な商品を投入していきたい」と抱負を語った。

 さらに、河原社長兼CEOは、同社のデジタルメディア時代への取り組みについて「音と無線通信をコアコンピタンスとした事業を展開している。それはカーエレクトロニクス事業と、無線トランシーバなどのコミュニケーション事業、シアター機器やオーディオ機器などのホームエレクトロニクス事業の3つ。今後はこれらの分野の技術を互いに利用し、シームレスに異なる製品が繋がるようになるだろう」と予測。

 その一例として、今回発表されたHDDプレーヤー「HD20GA7」と、MD/CDミニコンポ「ES-A5MD」の連携機能を紹介した。HD20GA7とES-A5MDは、別売の専用ケーブル(価格未定)で接続すると、HD20GA7の音声をコンポで再生できるほか、ミニコンポ本体や付属するリモコンから、HD20GA7の基本操作が行なえるようになる。

20GB HDDを搭載したポータブルオーディオプレーヤー「HD20GA7」 MD/CDミニコンポ「ES-A5MD」と、専用ケーブルを介して接続できる

HDDプレーヤーの再生音を入力するだけでなく、コンポのリモコンや本体からHDDプレーヤーが操作可能

 河原社長兼CEOはこの機能について、「アナログ入力でも、HDDプレーヤーの再生音をコンポに入れることはできる。しかし、我々はHDDプレーヤーも、ピュアオーディオのコンポーネントの1つと考え、音質を磨いている。よって、ポータブルプレーヤーであっても、コンポから操作できるという付加価値を追加した」と説明。

 音質へのこだわりは強く、製品の最終段階まで音質を厳しくチェックする「音質マイスター」制度を取り入れているのも特徴。同社では開発にあたり、「圧縮オーディオファイルのプレーヤーだからといって妥協することなく、“ケンウッドのオーディオプレーヤーだ”という気概で開発した。命を掛けたと言うと言い過ぎかもしれないが、そのくらいの気持ちで開発している」という。

 なお、連携機能の今後については「現在は再生音をコンポで聴くだけだが、これはあくまで第1弾。今後はBluetoothなどの無線機能などを利用し、手軽かつ、より高機能な連携を実現していきたい」と語った。

 会場にはコンポ以外にも、カーオーディオとの接続を実現する専用ケーブルも参考展示されていた。これは、HD20GA7の再生音を同社のカーオーディオに入力するためのケーブルで、HD20GA7をカーオーディオのコンソールから制御する機能はない。夏頃の発売を予定しており、価格は未定となっている。

カーオーディオ接続用のケーブルも参考展示された カーオーディオと接続したところ。HDDプレーヤーの制御には対応していない HD20GA7には、新人アーティストの植村花菜さんと、Meyouさんの楽曲がプリインストールされている


■ 米国のシアター事業は縮小へ

 同社が2008年度までに掲げている第二次中期経営計画では、2006年度の売り上げ高は、1,800億円と、前年と比べ11億円の減少を見込んでいる。これは、米国で伸び悩んでいるホームシアター関連事業の黒字化を目的とした大幅な事業縮小が原因で、人員削減やコスト低減、販売計画の見直しなどを実施しているという。

 その反面、黒字となっている国内のホームエレクトロニクス事業を拡大。ポータブルオーディオやピュアオーディオを中心に展開することで、「売り上げ高は同程度となるが、内訳は変化するだろう。まずは基盤事業において安定した収益基盤を増進。そこに収益構造の改革を行なった成長事業を重ねることで、収益ある成長をしていきたい。2008年度には現在より20%成長し、1,800億円から2,200億円を目指している」とした。

第二次中期経営計画では、まず、カーエレクトロニクスやホームエレクトロニクスなどの基盤事業で、安定した収益基盤を増進することが重要としている 収益基盤の再構築を行なうため、2006年度に海外のシアター事業の縮小や、カーマルチメディア事業での自社開発ナビへの切り替えなどが予定されている 2008年度には20%増となる、2,200億円の売上げ高を目指している

 その中でも重要な位置を占める今回のHDDプレーヤーの出荷台数は、月産3,000~4,000台を見込んでいる。また、フラッシュメモリ/HDDプレーヤーの次期機種の開発も既に開始しており、フラッシュメモリプレーヤーに関しては、「現行機種の音質にさらに磨きをかけ、面白い独自機能も盛り込んでいく。今後もHDDとメモリプレーヤーという2つの大きなラインナップで展開していきたい」(同社)とした。

 HD20GA7の販売方法としては、「価格面で厳しい戦いになることは予想しているが、最大のセールスポイントである音質を強くアピールしていきたい。店頭などで音質を確認することは難しいので、販売店などと協力して、従来のメモリー/HDDプレーヤーの売り場ではなく、ピュアオーディオコーナーで取り扱ってもらったり、コンポとセットでパッケージとして訴求するなど、様々な工夫を行なっていきたい」とした。

□ケンウッドのホームページ
http://www.kenwood.co.jp/jhome.html
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(2005年6月6日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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