OVA「雪風」、待望のDVD第5巻のアフレコに直撃 －1カット20万の戦闘機が乱れ飛ぶ、こだわりの最終巻

後方左から山田美穂さん、堺雅人さん、中田譲治さん。前段左から原作者の神林長平さん、大倉雅彦監督

8月26日発売 標準価格：「通常版」6,090円 　　 　　　　「特別限定版」7,140円 品番：「通常版」BCBA-1178 　　　　「特別限定版」BCBA-2329

　「戦闘妖精 雪風」は、近未来を舞台に、突如襲来したJAM(ジャム)と呼ばれる未知なる敵と、人類の壮絶な戦いを描いたハード・SF・アニメーション。バンダイビジュアルのエモーション20周年記念作品として製作され、2Dアニメと、3DCGで再現された戦闘機アクションが高いクオリティで融合。航空自衛隊も制作に協力し、ドルビーデジタル5.1ch音声を収録するなど、ストーリーだけでなく、映像・音声面でもAVファン要注目の作品だ。

　だが、クオリティにこだわり抜いたためか、第5巻の制作期間は長引き、第4巻の発売(2004年4月23日)から約1年以上が経過。多数のファンが待ちわびる中、今回の発売日決定となった。そこで、アフレコが行なわれている都内のスタジオに急行。大倉雅彦監督と深井零役の堺雅人さん、ブッカー少佐役の中田譲治さん、見学に訪れていた原作者の神林長平さんへのインタビューを試みた。

■ 本編が30分から50分に増えるが、価格は据え置き

3DCGを使った美麗でスピーディーなドッグファイトシーンが話題となっている

(c)2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・ビクターエンタテインメント・GONZO

　まず、制作が長引いた理由を聞こうと考えていたが、「時間かかってしまってゴメンなさい」と、質問を受ける前に、既に謝っている大倉雅彦監督。「最終巻ということで、クオリティにこだわり抜いたのが理由です。“物量”を意識し、細部にも手を抜かず、愚直なまでにコツコツ作り上げて、今日のアフレコにたどり着きました」と振り返る。

　また、ストーリー的にもボリュームが増加したようで「今までは1巻約30分でしたが、収まりきらずに最終巻の本編は48分になっています。飛行機も戦闘シーンも期待を裏切らないものになっていると思いますし、人間ドラマの面でも今日のアフレコで確かな手ごたえを感じました」と語る。

　なお、本編は48分だが、プロモ集やスタッフインタビューなどの特典映像を加えると、DVDの総収録時間は約60分となる。しかしながら、DVD 通常版の価格は4巻までと同じ6,090円の据え置き。これなら、首を長くしていたファンも納得だろう。なお、封入特典として16ページのブックレットも付属している。

　また、DVD 特別限定版も同時発売する。収録するディスクは通常版と同じだが、三柴理、塩野道玄によるユニット「ザ・蟹」によるサントラCD第2弾を同梱。さらに、DVD全5巻が収納できるBOXケースと、発売中のエンディングテーマ「RTB」と、サントラCD第1弾も収納可能なCDケースも付属。価格は7,140円と、1,050円高価になっている。

■ アニメならではのラストへ

　南極に突如出現した巨大な霧の柱。それはジャムと呼ばれる異星体による、地球侵略用の超空間通路だった。地球防衛機構は「通路」の向こう側にある惑星・フェアリイ上でジャムの侵攻を食い止めるために、フェアリイ空軍(FAF)を設立。以降、30年以上に渡って戦闘を繰り返していた。

主人公の深井零

(c)2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・ビクターエンタテインメント・GONZO

　主人公は高性能コンピュータを搭載した戦闘機「雪風」を駆る深井零。一方、敵であるジャムは人類側の新技術や新兵器を次々とコピーし、新しい戦術で攻撃を加えて来る。最終巻ではFAFとジャムの総決戦が描かれるほか、FAF内部で反乱が勃発。熾烈を極める戦況の中、人類と零、そして雪風に接触を仕掛けてきたジャムの目的も明らかになっていく……。

　「とにかく密度が濃いので、主役なんですけど、説明を受けないとわからない部分もありました」と笑うのは深井零役の堺雅人さん。「本格的にアニメの仕事をしたのは初めてで、新しい発見ばかりでした。絵や音、声に命をかけるプロに沢山出会えて刺激になったし、雪風のような深い作品を作る日本のアニメ界と、それを理解し、支持してくれるアニメファンが沢山いることを知って、あらためて日本のアニメ界って凄いんだなと感じた」という。

　俳優として活躍している堺さんだが、声優への挑戦という面では「とにかく周囲の声優さんのテクニックに圧倒されるばかりで、大人の中に子供が紛れ込んだような気分でした。でも、共演の皆さんやスタッフに可愛がってもらい、なんとか零を演じ通せました」と振り返る。

第5巻のキーパーソンの1人であるブッカー少佐

(c)2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・ビクターエンタテインメント・GONZO

　もともと原作の大ファンだったと言うブッカー少佐役の中田譲治さんは、「1人のファンとしても、第5巻の収録を待ちわびていた。ブッカーという男は心を閉ざした零の数少ない理解者であり、だからこそ理解しづらい零と雪風、ジャムとの関係に悩まされることになる。優しさと強さを持ったキャラクターでとても気に入っているので、これで最後と考えると寂しい気持ちもあります」とのこと。

　そんな中田さんが「何より嬉しい」というのが、原作者の神林長平さんに会えたこと。最終回のアフレコを見学した神林さんは「注文を受けただけで、何通りもの声が出せる声優さんの仕事ぶりに感動するばかりでした。小説の執筆は、どちらかというと1人で行なう孤独な作業ですが、こうして監督やスタッフ、声優さんなど、様々なクリエイターと出会えて、貴重な経験ができました」と話す。

　今回のアニメ化については「全て監督におまかせしました。文字では表現しにくい飛行機が飛ぶシーンを特に楽しみにしていましたが、全編を通して素晴らしかった。CGなどの技術的進歩もあり、巻を追うごとに着実にクオリティが上がっているので、ラストの5巻にも期待しています」という。

　そんな第5巻の見所を監督に伺うと「原作の小説とは異なるアニメならではのラスト。どんな結末が待っているのか楽しみにして欲しいのと同時に、その意味も考えて欲しい」とのこと。また、映像的には「やはりジャムとの戦闘シーンです。今回は戦闘規模も過去最高で、1カットに20万ものジャムが登場する場面もあります。映画でもできないほどのボリュームをぜひ観て欲しい」と語った。

最終巻にふさわしい空中戦にも注目だ
(c)2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・ビクターエンタテインメント・GONZO

　本来ならばここで取材は終わりだが、最後に第4巻と第5巻の間に作られた、雪風の「萌えバージョン」こと「戦闘妖精少女 たすけて! メイヴちゃん」について、原作者である神林さんに感想を聞きたいところ。思いきって質問してみると、笑いながら「全ておまかせしましたので……よろしいんじゃないでしょうか」と答えていただいた。様々な展開を見せた「雪風」シリーズの締めくくりとして、8月26日の発売に期待したい。

□「戦闘妖精 雪風」の公式サイト
http://www.faf.jp/
□バンダイビジュアルのホームページ
http://www.bandaivisual.co.jp/
□タイトル情報(初回限定版)
http://product.bandaivisual.co.jp/web_service/shop_product_info.asp?item_no=BCBA-2329
□タイトル情報(通常版)
http://product.bandaivisual.co.jp/web_service/shop_product_info.asp?item_no=BCBA-1178
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(2005年6月27日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]

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