|
パイオニア株式会社は、新パネルを搭載し高画質化を図ったプラズマテレビ「新ピュアビジョン」3モデルを9月上旬より順次発売する。 PDP-506HDとPDP-436HDは、チューナユニット外付けのセパレート型、PDP-436SXがチューナ一体型で、それぞれ地上/BS/110度CSデジタルチューナと、地上アナログチューナを一系統装備する。価格や発売時期は下表の通り。
■ 「究極のXGAパネル」を搭載
P.U.R.E. Black Panelは同社の第6世代パネル。新セル技術の「高純度クリスタル層」を採用したことで、高速安定放電と高発光効率を実現した。高速安定駆動が可能になったことで黒輝度を1/4に低減。コントラストの向上やクリア駆動の低輝度再現能力を5倍に向上させた。
また、発光効率も1.8lm/Wから2.2lm/Wに約22%向上。発光効率の向上により部品点数の削減も可能となり、低コスト化も実現できたという。同社常務取締役 技術開発本部 PDP開発センター所長の佐藤陽一氏によれば、「フルHDパネルのための発光効率の向上などの研究中に、高純度クリスタル層の新材料や機能を発見した。超高速安定アドレスが可能となったことによる黒の再現性や、高発光効率を達成。究極のXGAパネルを実現できた」と、新パネルの実力をアピールした。
画素当たりの発光効率が向上したほか、コントラスト向上なども図れるため、フルHD対応においても、重要な要素技術になるという。また、高純度クリスタル層の採用により「片側駆動」も可能となった。従来は上下方向にデータドライバICを内蔵し、中心に向かって上下から半分ずつ表示/描画していたが、発光効率の向上と新開発のドライバの採用により下方向のドライバのみで全画面の表示が可能となった。この片側駆動技術により部品点数の年間消費電力の大幅低減が実現できたという。
従来モデルと同様に同社独自開発の「ダイレクトカラーフィルター」を採用。前面フィルタのガラスを削除し、フィルムタイプのフィルタを採用。前面フィルタとPDPの間で発生していた多重反射によるフォーカスの悪化を改善している。また、前面フィルタのガラスを削除したことにより、50V型と43V型で業界最軽量を実現できたという。
高画質化回路も「P.U.R.E. Drive II」に強化。フレックスCLEAR駆動法により、最適な階調表現を実現するほか、アクティブDRE(ダイナミック・レンジ・エキスパンダー)」を搭載し、ダイナミックレンジや輝度ピーク、暗部グラデーションなどを制御、コントラスト感を高めているという。また、カラーマネージメント機能や、ノイズリダクションの性能強化も図られている。 スピーカーも「よりワイドレンジな再生に対応する」という新開発の「P.U.R.E.Sound」を搭載する。
チューナは地上/BS/110度CSデジタルと地上アナログに対応。テレビ番組表の表示方式も一新し、8チャンネル分の番組表がそのまま表示可能となった。また、アナログ放送用EPGとしてG-GUIDEを採用する。 なお、セパレート型のPDP-506HD/PDP-436HDでは、2画面表示やPinP表示が可能な「マルチ画面」機能も搭載。また、セパレート型のみフル機能の「ダイレクトリモコン」と、シンプルリモコンの2つのリモコンが付属する。チューナ一体型の「PDP-436SX」はダイレクトリモコンのみ付属する。 全モデルでi.LINK(TS)を2系統装備するが、HDMI端子はセパレート型のみに備えており、チューナ一体型はHDMI無しとなっている。
■ 目標シェアは25%。「われわれはプラズマ一本でいく」
パイオニア株式会社の伊藤周男代表取締役社長は、プラズマテレビ事業への同社の取り組みを説明した。 2004年度の世界市場は230万台と予測していたが、結果的には予想を大きく上回る320万台の市場にまで成長。「今年は560万台、3年後の2009年に1,500万台を見込んでいる」という。PDP市場の拡大にあわせて、パイオニアの今年度の出荷目標は「前年比2.1倍の80万台」。 なお、目標シェアについては「80万台を達成し、さらなる上積みを図りたい。第6世代の新製品でシェア25%を確保したい」と語った。今後の新製品については「フルスペックのHD(1,920×1,080ドット)のパネルについては、CEATECやCEAで発表、展示を行なう。製品は50インチクラスで、2006年6月のワールドカップはフルスペックHDで観戦できる」とした。 また、NECとのPDP事業統合については、「大森の事業所に統合し、組織の一本化を図った。山梨、静岡、鹿児島の3拠点の交流促進を図るとともに、外販向けの統合モジュールや部品点数削減などのコストダウンも進めている」という。 さらに、液晶やリアプロジェクションなどと比較した報道などを例に引き、「最近、プラズマがイマイチという話が良く耳に入ってくるが、“どこを見てそう言っているのか” と思うことが多い。映画で星空を見た時の空の見え方など、プラズマならではの魅力は大きい」と語る。 また、プラズマディスプレイビジネスカンパニープレジデントの五月女勝専務執行役員は、「プラズマの低価格化でリアプロとの価格差が縮まったことと、欧米での壁掛け需要が伸びていることから、“大画面はプラズマ”という流れが再び出てきている。リアプロや液晶テレビを出す予定は今後もない。われわれはプラズマ一本でいく」と宣言した。 パネルの外販事業についても、10月より新型パネルの販売を予定しており、「リアプロや液晶をやっているメーカーでも、“もう一度プラズマをやりたい”という声が増えている。プラズマにいい風が吹き始めたと感じている(五月女専務執行役員)」と説明した。 □パイオニアのホームページ (2005年7月21日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|